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未知なる世界の歩き方  作者: リース
1章 王都セントル編
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第29話 島の外へ

ミサキとリーナは、セントル王都から離れ、ネクト港へとたどり着いた。


王都セントルから馬車で数日。港の入り口に足を踏み入れた瞬間、潮の香りと賑やかな市場の声が二人を包み込んだ。


「わぁ……海だぁ……!」


リーナは目を輝かせ、砂浜へと駆け出していく。


ミサキもリーナの後を追いながら、目の前に広がる青い海を見つめた。


穏やかな波がきらめき、遠くではカモメの群れが空を舞っている。


「やっぱり海っていいなぁ……」


ミサキは海風を浴びながら、心地よく目を細めた。


王都での激戦を思い返しながら、二人はしばし穏やかな時間を楽しんだ。


しばらくして、ミサキたちは港の奥へと進んだ。


そこには、これから乗る予定の客船が停泊していた。


「うわぁ……でっかい!」


リーナが目を丸くする。


「確かにデカいな……!」


ミサキもそれに同意する。


豪華客船エンタープライズ。


超巨大なガレオン船の船体は白と青の装飾が施され、船の側面には堂々とした金色の紋章が輝いている。


「折角大金を貰ったんだ。偶にはこういう贅沢もいいよな」


「はい!どんな部屋なんでしょう?食事も豪華なのかな?」


「やっぱりそこ気になる?」


「もちろんです!」


リーナは期待に満ちた顔をしていた。


「ミサキさん!あれ!灯台がありますよ!」


リーナが指をさした先には、白くそびえ立つ灯台があった。


「せっかくだし、登ってみようか」


二人は灯台の入り口へ向かい、らせん階段を上っていく。


上へ行くほどに潮風が強くなり、わずかに肌を撫でた。


やがて展望台にたどり着くと、そこには絶景が広がっていた。


「わぁ……!」


リーナは目を輝かせながら、港町の風景と果てしない海を見渡す。


海はどこまでも青く、空と溶け合うように広がっていた。


遠くには点々とした島々が浮かび、白い波が穏やかに岸辺を洗っている。


「すごいなぁ……」


ミサキも静かに呟く。心が洗われるような光景だった。


「ここから見ると、海って本当に広いな……」


「はい。この海の向こうには、私たちがまだ知らない世界が広がってるんですね……」


「そうだな……これから行く場所も、どんなところか楽しみだな」


潮風が心地よく吹き抜け、二人の髪をそっと揺らす。


ネクト港の灯台から見た景色は、まるでこれから始まる新たな冒険を象徴しているようだった。


***


港の市場で歩き回った後、ミサキたちは海辺のレストランに立ち寄った。


「ここ、シーフードパスタが名物なんだって」


メニューを見ながら、ミサキは興味津々に呟く。


「おいしそうですね!魚介たっぷりって書いてあります!」


「せっかくだし、頼んでみよっか」


注文を済ませてしばらくすると、テーブルに熱々のシーフードパスタが運ばれてきた。


大きな海老やムール貝、イカがたっぷり乗ったパスタに、ガーリックとトマトソースの香りが食欲をそそる。


「わぁ……おいしそう!」


リーナは嬉しそうにフォークを手に取る。


ミサキもパスタを巻き取って口に運ぶと、魚介の旨みがぎゅっと詰まった濃厚な味わいが広がった。


「これ、美味しいな」


「ふふっ、ミサキさん、ムール貝も美味しいですよ!」


「へぇ……じゃあ、もらってみようかな」


「どうぞ、あーん」


「あーん……うん、確かに美味しい」


笑い合いながら、二人は美味しい料理を楽しんだ。


こうして、ネクト港でのひとときを満喫しながら、ミサキとリーナは新たな旅路への準備を進めていくのだった。


***


港の鐘が鳴り響き、出航の時間を告げる。


「そろそろ行きますか」


ミサキは肩にかけた鞄の紐を引き締め、リーナとともに船へ向かった。


大きな客船のタラップを上がると、すでに乗客たちが思い思いの時間を過ごしていた。


デッキで海を眺める者、キャビンに向かう者、そして船員たちが忙しく最後の点検をしている。


「うわぁ……本当に乗るんですね、船!」


リーナは興奮した様子で周囲を見渡す。


ミサキは軽く笑いながら、船の手すりに手を置いた。


やがて汽笛が鳴り響き、ゆっくりと船が動き出す。


波を切りながら、巨大な船が静かに港を離れていく。


「……行っちゃうんですね」


リーナは名残惜しそうに、次第に遠ざかる港を見つめた。


港の市場、騎士たち、そして王都での激闘、すべてが、ほんの数日前の出来事とは思えないほど遠い過去のように感じられた。


「色々あったけど、なんとかここまで来たな」


ミサキは感慨深げに呟く。


リーナは静かに頷くと、最後にもう一度、大陸を振り返った。


青く広がる海の向こうに、大陸の影がゆっくりと小さくなっていく。


「またいつか戻ってくることもあるのかな」


「そうですね。でも今は……次の冒険が待ってます!」


ミサキは前を向く。


リーナもその横で微笑んだ。


こうして二人は、次なる目的地へと旅立っていくのだった。

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