第100話 VSオロチ2
「ぐっ……!!」
ミサキは荒い息を吐きながら、なんとか足を踏ん張った。
リーナもツバキも傷だらけ。
全身が痛みで悲鳴を上げている。
だが、オロチは止まらない。
ゴォォォォォ!!!
黒い炎を吐き散らし、巨大な爪を振り下ろす。
「……!!」
(もっとだ……!もっとスピードを!!)
ミサキはスカイブーストで空に飛び立つ。
そして、空中を「駆け抜ける」
「あれは拙者の!」
そう、ミサキはツバキの空中歩行をラーニングしたのだった。
今まで以上に素早い動きでオロチを翻弄するミサキ。
「鬱陶しい……ならば、動けぬ奴から狙うまで!!!」
するとオロチは狙いをミサキからリーナに変えた。
「リーナ!」
リーナはもう避ける力も残っていない。
オロチの爪がリーナを引き裂こうとしたその瞬間。
「ハッ!!!」
ズバッ!!!
「グオォォォォ!!??」
オロチの首が切り裂かれた。
「なっ……!?」
飛び込んできたのは、狼人の侍・クロガネと猫人の忍者・カエデの2人だった。
「ミサキ殿、大丈夫か!!?」
クロガネが鋭い眼光でオロチを睨む。
「へっ……ギリギリ間に合ったようね」
カエデが爪を鳴らしながら睨みつけた。
「貴様ら!!!」
オロチの視線が二人に向かう。
その隙に
「せいやぁぁぁ!!!」
サカズキの土の魔力をまとった刀が一閃する。
ズバァァァァン!!!
「グァァァァァァ!!!!」
オロチの首の一つに深い傷が刻まれる。
さらに
「続けぇぇ!!!」
サカズキの配下の侍と魔術師達が、次々に弓と杖を構えた
「射撃用意……!」
「放てぇぇぇぇ!!!!!」
ヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!
矢の雨と魔法の弾丸がオロチに降り注ぐ。
「なぜ……!?なぜお前達が……!?」
ミサキが驚いた声を上げる。
サカズキは静かに言った。
「……すまぬ。どうやら我が息子が勝手なことをしたようだ」
「えっ……?」
「その尻拭いでもあるし……なにより――」
サカズキは オロチを睨みつける。
「ここヤマトは儂の生まれ故郷。滅ぼされるわけにはいかん」
「サカズキ……!!」
「治癒!!」
回復魔法を使える術者達が、ミサキ達を回復させる。
「ありがとう……なんとか動けるようにはなった」
「これならまだ戦える……!!」
しかし
「鬱陶しいわ!!!」
怒るオロチ。
首の傷はすっかり治っているようだ。
ゴォォォォォォ!!!!
オロチが黒い炎を噴出する。
「うわぁぁぁぁぁ!!!!」
サカズキの配下が次々に焼かれ、蒸発していく……
「くっ……!!」
クロガネとカエデも必死に後退する。
「何としてでも……こいつは止めないと……!!」
ミサキは肩で息をしながら、剣を構え直した。
全身が痛む。
回復してもらったとはいえ、すでに何度もオロチの攻撃を受け、ギリギリの回避を繰り返している。
それでも、まだ戦える。
三つ首龍オロチが、口を大きく開き、黒い炎を放つ。
「させるか!!エクスプロード・カリバー!!!」
ミサキ黒炎を避け、オロチに爆炎の剣を振るう。
剣が爆発し、オロチは大きくよろめく。
「ハァァッ!!!」
ツバキが呪いの斬撃を放つ!
オロチの胴体を切り裂き、呪いが傷口から広がっていく。
クロガネとサカズキが全身に魔力を込めた一撃を叩き込む。
「火炎斬!!!」
「斬岩閃!!!」
ガキィィィィン!!!
オロチの身体に大きな傷が刻まれた
そして
「いっけぇえええ!ホーリー・ジャッジメント!」
「くらいなさい!疾風閃!」
リーナとカエデが裁きの光に風の刃でオロチに攻撃する。
その攻撃にオロチは焼け、切り刻まれる。
しかし。
「無駄だと言ってるだろうが……!」
オロチの傷は、瞬時に塞がる。
「やっぱりダメか……!!」
核が見つからない。
それどころか、時間が経つにつれて、こちらの体力がどんどん消耗していく。
オロチは回復する。だが、こちらの疲労は回復しない。
「ミサキ……!」
リーナが肩で息をしながら、杖を強く握りしめる。
「どうする……?どうすれば……!?」
焦りが胸を支配する。
その時だった。
「……!!」
オロチの視線が変わった。
「……サカズキ!!」
ツバキが叫ぶ。
サカズキが標的にされた。
「……!」
サカズキはすぐに防御の構えを取るが、間に合わない。
オロチの鋭い爪が、高速でサカズキに迫る。
「しまった……!」
「サカズキ様!!」
クロガネとカエデが 叫ぶ。
だが
ズォォォォォォン!!!!
轟音と共に、オロチの胴体が爆炎に包まれた。
「グオォォォォォ!!?」
オロチがのたうち回る。
「なっ……!?」
ミサキが驚いて遠くを見る。
そこには——
無数の影が、空から舞い降りていた。
「龍王様!!」
ツバキが驚きと歓喜の入り混じった声を上げる。
そう、空から飛来したのは大和山の龍たちだった。
「遅くなったな、人間たちよ!」
先頭を飛ぶ 赤い巨龍、龍王が低く唸る。
「おぬしら、よく持ちこたえた!」
「龍王……!」
ミサキの胸に 希望が湧き上がる。
これで戦況は
「いや、まだだ……!」
リーナが 警戒する。
そう、オロチは、まだ倒れていない。
「鬱陶しい……!!!」
オロチの瞳が、怒りに燃える。
「まだ……終わらんぞ!!!」
「……!」
ミサキは剣を握り直した。
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