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魔女と憐れみの花  作者: 林健太郎
第1章:ポルト・ルミナス
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盲目の少女、アンナ

街の中心には、陽光を浴びた白壁と赤い屋根の病院が、まるで絵本の一頁のように静かに佇んでいます。


院内では、窓からの光が白壁に反射し、柔らかな輝きが静謐な空間を満たしています。待合室では、看護師が患者を励まし、医師たちは慈愛に満ちた眼差しで迎えます。そこには、温もりが満ちていました。


その病院の一室に、アンナという名の少女が入院していました。アンナは生まれながらに目が見えません。


誰もが憧れる美しい街に暮らしていても、アンナはその世界を見ることができません。それでも、彼女は鳥の歌、風の囁き、人々の声、廊下に響く足音、薬の香り、シーツの柔らかな感触など、五感を研ぎ澄ませて世界を感じ取っていました。


それら一つ一つが、彼女の世界を形作っていたのです。


ある日、アルバートという少年が病院を訪れます。彼は勇敢で正義感が強く、何よりも純粋な心を持つ、太陽のような少年でした。


母に付き添われて待合室にいたアルバートは、ふと病院内を散策し、偶然アンナの病室の前を通りかかります。


白いワンピースをまとい静かに佇むアンナ。その姿を見た瞬間、アルバートの心は強く引き寄せられました。


「天使がいる!」


透き通るような白い肌、儚げな表情に胸が高鳴り、思わず息を呑みます。


アンナは気配を感じ、不安げに声を上げました。


「だれかいるの?」


「う…うん。」


アルバートは照れくさそうに答えました。


こうして二人は言葉を交わし、少しずつ心を通わせていきます。それ以来、アルバートは毎日のように病院に訪れ、学校での出来事を語るようになりました。


友人たちと笑い合った日々、週末の湖での冒険。彼の語る話は鮮やかで、まるで一幅の絵画のようにアンナの心を彩ります。そして、アンナも次第にアルバートに心を開いていったのです。


そんなある日のこと――。

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