冤罪で殺された第三皇子はドラゴンに転生しました
※長編に書き換え始めました。こちらも宜しくお願いします!
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何がどうしてこうなった。
「ーっ、オルステッド様!?お目覚めになられましたのね!良かった・・・!!」
目が覚めたら婚約者のリディアナが涙を流しながら抱きついてきた。
こんなに泣いてる姿を見るのは初めてかもしれない。随分と心配かけちゃったんだな。
それもそうか。俺、死んだもんな。
ーーーうん?なんで生きてるんだろう。あとなんだかリディアナが小さくなってないか?
というか君が抱きついている俺の腕、黒い鱗ビッシリで巨大な爪まで見えるんだけど・・・。
もしかして俺、ドラゴンに転生しちゃった!?
◆◆◆
俺はオルステッド・フィン・クワンドゥルス。
クワンドゥルス王国の第三皇子だ。
でも実はもう一つ『湊 建人』という、俺だけが知る名前がある。
そう、俺は転生者。
しかも何をトチ狂ったのか、攻略系ゲーム『LOVE ROYAL ROAD〜君と紡ぐ王国物語〜』のライバル悪役皇子に転生してしまったのだ!!
プレイヤーが操作する主人公は第二皇子。
皇太子だった第一皇子が病気で死んでしまったため、次の皇太子候補に選ばれた。なぜ候補かというと、腹違いで同じ年齢の第三皇子がいるから。
王立学園に入学してから卒業までの三年間で勉学に励みながら国内の行政改革を行い、貴族と国民からの支持率を上げ、高かった方が皇太子に、未来の王になれる。
このメインストーリーを軸に恋愛あり、箱庭あり、ダンジョン攻略ありとやり込み要素盛り沢山な仕様。名前こそ微妙だがこの作り込まれたストーリーとゲームシステムが良くて、なかなか人気だったゲームだ。
まぁ俺は興味なかったからどハマりした友達から話を聞いてただけなんだが。
しかし・・・。
「平々凡々な庶民から皇子になって次はドラゴンって、すげーな俺」
「テッド様?お身体の調子はいかがですか?」
「ん?大丈夫、すこぶる良好だ。だからなにがどうなってこうなったかの説明をお願い出来る?」
「もちろんですわ!」
ーーーと言ってリディアナが話してくれた内容に俺はドラゴンの姿で頭を抱えた。
「・・・今の話、マジ?」
「マジですわ」
要約すると、俺は冤罪をかけられたらしい。
腹違いの兄弟である第二皇子『ジークムンド・フィル・クワンドゥルス』に。
「有力貴族の買収、内政問題や予算の改竄、その隠蔽・・・その全部が俺の名の下に行われた。んでそれらの証拠をジークに掴まれたから奴の暗殺計画を企ててただぁ?・・・なにそれ、全然身に覚えないんだけど・・・」
「当然ですわ、全部向こうのでっちあげですもの。しかも
『事前にジーク殿下の暗殺計画を察知した騎士団がテッド様を捕らえようとしたところ、激しい抵抗にあってやむなく対抗していたら自身の剣が刺さって死亡した』
・・・というのが向こうの証言ですわ」
「いやいや普通にいきなり押しかけて来て問答無用で殺されましたが」
扉バーン!で即グサーッ!でしたけど?
テイコウ?ナニソレオイシイノ?
「存じております、まさにその場面を見ましたもの。当家の密偵がジークムンド殿下の計画を察知して、わたくしお伝えしにいくところだったのですわ。でもひと足遅く・・・到着した時にはもうテッド様の胸に剣が・・・」
何てこった、リディアナは俺が死んだところを見てしまったのか。
「リディ・・・」
「だからわたくし・・・」
震える体を今すぐ抱きしめたいのに、この体では潰しかねない。どう慰めたら・・・
「ーーその場で全魔力を解放してテッド様の魂を捕まえて保護しましたの!」
ー・・・ぅん?ナンダッテー?
「死亡した直後でしたので難なく成功しましたわ!それですぐに転移魔法で我が領土にあるダンジョンに飛んで、最下層に封印されていたドラゴンに魂を移しましたの!テッド様の魂がキチンと定着するようにドラゴンの魂は先に潰しておきましたわ!!」
「つぶし・・・あー、そうですか」
やべぇ、俺の婚約者チートだった・・・。
さすがライバル悪役皇子の婚約者、悪役令嬢も真っ青な有能っぷりに拍手喝采!!
「でもそれだけやったのによくバレなかったな」
「テッド様を襲った悪漢どもはその場で密偵たちに捕らえさせましたの。軽く(?)尋問した後、記憶操作の魔法を施して殿下の元に返したと報告を受けておりますわ。なのでこちらの動きはバレていないはずです」
「わぁ密偵さんたちも有能〜。今度お礼しないと」
「では場を作りますのでお声をかけてあげてくださいませ。馬鹿殿下の動きを察知するのが遅れた事を皆悔やんでおりましたもの」
そうなのか、気にしなくて良いよって言ってあげなきゃな。
「ていうか、なんでジークは俺を貶めて殺したんだ?」
「なんでって、このままでは絶対に皇太子になれないからですわよ」
「いや俺とっくの昔に王位継承権放棄してんだけど」
俺は産まれた時から記憶があって5歳を過ぎた頃にここが『LOVE ROYAL ROAD』の世界だと気付いた。もちろん自分の役割も。
だが争い事は嫌いだし、何より国王なんて面倒なものになりたくない。
だから第一皇子の立太子が決まった時に自ら王位継承権を放棄したのだ。
当時、正妃だった母上はすでに亡くなっていて、第一皇子であるルーカス兄上とジークの母が側妃から正妃になっていた。だから俺の立場はかなり微妙で周りからも腫れ物扱い。
しかも政略結婚だった母上と違って兄上たちの母と父上は相思相愛の仲。俺という存在は父上にとってもかなり疎ましかったようだ。そんな訳で愛情をもらった事は一切なく、ゲームのオルステッドもそういった環境が原因で王太子に執着して色々と邪魔をしてくるらしい。
けど俺は別に全然気にしなーい。愛情は幼少期から婚約者だったリディアナのご両親からたっぷり頂いてるしね。
だから王位継承権を放棄してリディアナの家に婿に入る!と立太子の宴で宣言したのだ。
父上は驚きはしたもののすぐに了承。
侯爵家であるリディアナの家を俺の代だけ公爵家に、次代は王国への貢献次第で公爵家を引き続き名乗って良しとの盟約まで頂いて。
晴れて俺は自由の身となり、内政なんて何にも関らずに好きなように生きてきたのだ。
「え、お聞きになっていないのですか?テッド様の王位継承権はルーカス殿下がお亡くなりになった直後に我が国の貴族と商会、あと他国の王侯貴族からの嘆願で復活しておりますわよ?」
ナンダッテ?
「正確な数は我が家に帰って確認しないと分かりませんが、我が国の子爵家以下の貴族と商会はほぼ全部、他国の王侯貴族からの嘆願書も2桁を軽く超えたと聞いておりますわ」
「えぇぇぇぇぇぇ!!?ちょ、なんで!?だって俺何もしてないよ、リディの家の力借りて商会立てたくらいで!」
その商会も俺のわがままと趣味を叶えてもらいたいが為のもので、経理とか全部リディアナの家に投げてたし。
「そのテッド様の商会が、今どれほどこの国を潤しているかご存じないのですか?」
「はぃ?潤すってなにで?」
「本当に貴方様は・・・まぁそういう無欲でちょっと抜けてるところも素敵なのですが」
「リディ?」
「あ、コホン。よろしゅうございますか?先ずテッド様が幼少期に開発された玩具、リーバイスとボーリグは貴族の子ども達に大人気ですのよ」
オセロとボウリングね。
だってこの世界って娯楽少ないんだもん、特に子どもの。ちっさい頃からドレスとかスーツ的なの着てるからあんまり激しく動けないし。だったら座って遊べたり、動くにしても激しくないやつが欲しいと思って。
どっちも作りが簡単だから職人さんに頼んだら即実現した。
円形って最強だよね!
「それからフラワーファイヤー、あれのおかげでお祭りがより華やかになりましたから他国からの観光客がここ数年増加し続けておりますわ」
花火自体は魔法で似たような事が出来るんだけど色とりどりが無理だったんだよな。だから炎色反応を話してみたらこれも職人さんがすぐ作ってくれた。科学って楽しいし、やっぱり円形って最強だよね!
「他にも馬車の衝撃緩和装置と脱水洗濯槽!これらがない貴族の家なんて今どこにもありませんのよ?」
ベアリングとサスペンションがない馬車なんてケツが死んでしまいますから!元・工学系高校生舐めんな、さすがにこの時は自作して職人に教えたよ!
脱水機は生クリームが欲しくて遠心分離機を作って貰ってたら、いつの間にか洗濯の脱水機にもなっててビビった。でもそうだよな、ぶっちゃけほぼ同じ作りだもんな。
うん、やっぱり円形って最強すぎだよね!
「他にもまだまだありますけれど、今言ったものだけでも国家予算並みに売れておりますわ。テッド様は我が国きっての天才発明家でいらっしゃるのです。しかもどれも庶民にも届くようにと低コストに改良、更に職人達への休暇制度まで配慮されて・・・。実際嘆願として効力があるのは貴族と名のある商会からだけですが、国民からも相当な数の嘆願書が届いたと聞いておりますわ」
「うわぁ・・・全然知らなかった・・・」
「きっと国王陛下と馬鹿殿下が手を回したのでしょうね。ですが、本人が知らなくてもテッド様に王位継承権が復活しているのは事実。王太子は同じ歳で複数候補がいる場合は投票で決めると国法で決まっております。馬鹿殿下が今から頑張ったところでテッド様の人気を越えることは不可能だったのですわ」
それで考えた策が暗殺ですか、野蛮すぎだろう。
大体一言相談してくれてたらもう一度継承権放棄するなりなんなりしたのに・・・アレ?
「・・・ジークってこんな野蛮な事考えるような奴だったっけ?」
ジークもルーカス兄上もどちらかと言えば父上の俺に対する態度には難色を示してて、普通に仲良くしてくれていた。こんな暗殺を企てられるほど兄弟仲が悪かった覚えはない。
だからこそ余計に争いたくなくて早々に王位継承権を放棄したくらいだ。
「そこなのですテッド様、わたくしもジークムンド殿下がここまでするとは・・・」
リディアナも悩んでいる。呼び方も馬鹿から名前呼びに戻ってるし。
でもそうだよな、普通にお互いの婚約者も連れてお茶会とか、それこそ俺の作ったオセロとかで一緒に遊んでた。なのに、何があって俺を暗殺なんて・・・。
いや、そもそもこれを考えたのは本当にジークなのか?
そんな風に考えていたらリディアナが「ただ・・・」と言いながら思い返すように俺を見上げてきた。
「ちょうどわたくし達が王立学園に入学した辺りからジークムンド殿下のご様子が少し、おかしくなっていったように感じたのです。ルーカス殿下がお亡くなりになられてからは特にそう感じて・・・しかも婚約者のマーガレット様や他何人かのご令嬢にも感じるようになりましたの」
兄上が亡くなった前後はショックで商会に入り浸って商品作りに没頭してた。だからあまり学園に行っていない。必然的にジークともまともに会って話をしていないからリディアナの言う変化に気づかなかった。
それにしてもなんだろう、すごく嫌な予感がしてきた。
「なので不敬とは思いましたがジークムンド殿下に密偵をつけたのですわ。そうしましたら・・・殿下が我が国で禁止されております『誘惑の薬』を入手している事が判明しましたの」
誘惑の薬!?確かゲームでハーレムEDを迎えるには絶対必要なアイテムだったはず。
もしや、これは・・・。
「・・・薬が令嬢達に使われてたって事?誰に使われたか分かる?」
「はい、婚約者のマーガレット様を筆頭に、神官長のご息女ヴァイオレット様、テッド様の商会とライバル関係にある大商会のご息女チェリー様、学園教師のリリィ女史、理事長のお孫様のライラック様です」
はい、アウトー!全員ゲームに出てくる攻略対象のヒロイン達です!
これはつまり、乗っ取られたんだ。ジークの体が別の、『転生者』の魂に。
しかも難易度MAXのハーレムEDを狙ってるって事は俺の友達並みにゲームをやり込んだガチ勢とみて間違いない。
よくも、よくも俺の兄弟の体で好き勝手しやがって・・・。
「オルステッド様?」
急に喉を鳴らして唸り出した俺にリディアナは心配そうに声をかけてくれる。こんなドラゴンの姿をしているのに全く怖がった様子がないのが素直に嬉しい。
俺のためにたくさん苦労をかけてしまって・・・。今すごく抱きしめたいのにそれが出来ないこの体が恨めしい。
「テッド様どうされましたの?」
「いや、リディに触れたいのにこの体じゃ難しいなって・・・助けてもらったのにごめんな、こんなわがまま言って・・・」
「まぁ!わがままだなんて!!」
そう言ってリディアナはしょんぼりと垂れ下がっていた俺の頭に手を伸ばしてきた。
尖った鱗がビッシリで硬いし痛いし冷たいだろうに何の躊躇もない。
「テッド様が触れられないならわたくしが触ればよろしいのですわ。・・・あんな事があったのですもの、わたくし片時もテッド様のお傍を離れませんことよ」
鼻先に頬を当ててにっこり笑ってくれるリディアナに愛しさが限界突破です。
俺の嫁、可愛過ぎか!!
友達がリディアナがマジウザいとか言ってたがどこがだ!こんな強くて可愛くて優しい最高な婚約者、世界中探してもどこにもいないぞ!
今すぐ抱きしめたいけどやったら確実にプチるから出来ない!おのれーっ!
「それにドラゴンの魔力はとても多いですから、テッド様の魂がもっと馴染めばそれを使いこなして人型にもなれますわ」
「マジか!?いいこと聞いた、がんばろう!リディとのイチャイチャハグの為に!!」
「も、もぉテッド様ってば!」
赤くなって俺の鼻先をペチペチしてくるリディアナマジ可愛い天使!速攻で人型になってやる!
「ーーさて、それはさておき今後のことだ。・・・リディアナ」
「はい、オルステッド様」
「俺の葬儀とジークの立太子の儀はいつだ?」
「一週間後、同日に行うと御触れが出ております」
「そうか・・・それまでに君の家にはかなり動いて貰わなくてはならない。苦労をかけるが、やってくれるか?」
リディアナは俺から一歩下がると、それはそれは美しい淑女の礼を取る。
更にその後ろにはいつのまにか密偵達がずらりと揃っていて。全員が片膝を折った臣下の礼を俺に向けてくれていた。
「我らはオルステッド様ただお一人に忠誠を誓う者。この身をとして、必ずやご期待にお応え致しましょう」
やられっぱなしは性に合わない。
さぁ反撃開始といこうか!!
◆◆◆
ーー1週間後
城に隣接する大聖堂で厳かに葬儀が行われている。
嘆願書の事もあってそこそこに豪華な葬儀ではあるが本当にそこそこ。王族の葬儀としては簡略化されたものだ。
そこに父上の俺への思いが表れているように思うが、そんなの今更で。むしろ最前列なのを良いことにニヤけた顔を隠そうともしないジークに腹が立つ。
「立太子の儀が始まるな。心の準備はいいか、リディ」
「いつでも大丈夫ですわ、テッド様」
「よし、行くぞ!!」
俺はリディアナをお姫様抱っこした状態で大聖堂の天井を蹴りでぶち壊す。
職人さんごめんなさい!でも人型になれたおかげで穴は小さいので許して!!
急に飛び込んできた俺たちに会場はプチパニック。
今まさに葬式したはずのやつが翼生やした状態で乱入してくればそりゃ驚くよ。
そんな中、ジークムンド、お前だけが嬉しそうだな。
「よぉジークムンド、立太子おめでとう」
「オルステッド!!君、生きていたのか?いやでもその翼は・・・もしやドラゴンに?」
おいおい、演技力ねぇやつだ。セリフは言えてても顔がニヤついてるのが隠しきれてないぜ?
というかこの反応からして俺がドラゴンに転生するのはゲームのシナリオ通りってことか。じゃなきゃ俺の葬式兼立太子の儀でそんなフル装備なのおかしいもんな。
「ドラゴンになってまで王位が欲しいのかい?そこまで君は堕ちてしまったのか!?」
ゲームではここでドラゴンになった俺を仲間と力を合わせて倒してハッピーエンドってところか?最初から最後まで力攻めだねぇ。
ま、俺は文明人ならぬ文明ドラゴンですから?そんな脳筋な事しませんけどね!
「王位?いらねーよそんなもん。むしろ欲しがってんのはアンタだろ、こんなことまでしてさ!」
俺はリディアナに渡してもらった書類をブワっと勢いよくばら撒いた。紙はジークが行った有力貴族の買収、内政問題や予算の改竄・隠蔽、俺の暗殺計画に禁止薬の購入・使用の証拠たちだ。
コピーだからまだまだあるよ〜、ほれほれー。
リディアナも一緒になってばら撒いてるから上から見ると紙吹雪が舞ってるみたい。内容は完全にアウトなもんばっかりだから綺麗とは程遠いけどね。
「な、なななんだコレ!!?み、皆さん、出鱈目です!むしろこれは全部オルステッドがっ!」
「あらあら、ずいぶんおかしな事をおっしゃるのですねジークムンド殿下?」
数枚の書類を扇のようにして持つリディアナがジークを見下ろしながらコロコロ笑う。俺から見たらとっても可愛いんだけど見下ろされてる側はとっても怖いだろうなぁ。
「これらの書類、見て分かりません?殿下の魔術印がありますわよね。王冠に剣という何とも勇ましい印はあなた様以外にいらっしゃらないと思いますが?」
「ぐっ、き、君達が捏造したんだ!!僕はこんな書類も汚職も知らない!」
そりゃ否定するよね、シッテター。
でも残念、逃してやらない。ここからは俺たちの、いや、俺の嫁リディアナのターンだ!!
「まぁまぁ、魔術印の捏造!しかも王家の方の物の捏造なんて国家反逆罪で死罪ですわね、恐ろしい!ではこれが捏造した物だという証拠をくださいませ」
「しょ、証拠?」
「えぇ証拠です。殿下の魔力を翳して頂くか、血を一滴頂くだけで結構ですわ。魔術印はその名の通り魔術の印。誰1人として同じ形はなく、本人の魔力のみに反応するものです。ならこちらの原本に押された印が殿下の魔力に反応しなければ偽物という事で、わたくし喜んで罪を償いましてよ?」
ノリノリだな、楽しそうで何よりだ。
と、思ってたら火魔法が飛んできてリディアナの手にある書類を燃やそうとした。
届く前に俺が弾き飛ばしたけど何してくれてんだこのやろう!
「リディ、大丈夫か?やけどしてない?」
「えぇ、テッド様ありがとうございます。あとジークムンド殿下もありがとうございます、おかげで・・・」
とっても綺麗な笑顔と策士の目を混同させてリディアナが微笑む。
手に持った書類の真ん中、今までは薄っすらとしか見えなかった魔術印がジークの火魔法に反応して赤く赤く輝き出した。
「こちらの魔術印が全て本物だと証明出来ましたわ!」
ーーそこからはもうてんやわんや。
会場にいたほぼ全員でジークと父上を袋叩き。
令嬢達に盛られた薬の効果も俺が消してあげたからジークの味方なんて誰もいない。買収やその他諸々の悪事に関与した貴族も密偵さんたちが逃さず捕縛した。
父上はジークが行った悪事のいくつかに関与していたので、廃位決定。ジークも民衆の前で処刑されるだろう。
空いた王位はこれまた優秀過ぎるからと遠くの領地に追いやられていた父上の弟についてもらう予定。騒動の前に話をしに行ったが、優秀さを鼻にかけない誠実で良い人だった。
この人が王になれば、この国も悪いようにはならないだろう。
で、やることやってさっさと会場からおさらばした俺たちはーー
「リディ!新婚旅行も兼ねて世界中回ってみない?」
「まぁ良い考えですわ!わたくし海が見てみたかったのです!!」
「よし、じゃぁまずは海に行って美味しい物食べよう!」
誰にも邪魔されず空の旅を満喫中。
それから数十年後、各地で色々開発したりした結果、俺は創造の神竜、リディアナは神竜の伴侶となり、子宝にも恵まれて幸せな余生を過ごす。
ちなみに俺の信仰を示す旗印は円を描いた竜なんだとか。
「あ、海でたこ見つかるかな?たこ焼き作りたーい!」
「タコヤキ?ってなんですのテッド様〜」
END
ここまで読んでくださってありがとうございます。
誤字脱字ありましたら、知らせていただけると大変助かります。
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長編小説も執筆中です。こちらも良ければ読んでみてください♫
『夜想曲 〜最強魔法剣士と逃亡魔女の果てなき旅路〜』
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