06 召喚術のお勉強(笑)と情報収集
昨日お勉強した部屋に移動し、今日も一人で朝食を摂る。姿を消した魔王が隣に居るけど。
念の為、魔王に食べるか訊いたが、また断られた。『美味しそうでない』って。実際、昨日の夕食はあまり美味しくなかったしね。
『貴様の所為で、朝食を食べるどころではなかったわっ。(プンスコ)』
余計な事を訊いた所為で、魔王をまたプンスコさせてしまった。
小声で言っているにもかかわらず、オコな波動がビシビシと伝わってきます。
お陰で、朝食の味がどうだったのか、まったく記憶に残りませんでした。
食器を下げてもらった後、引き続きこの部屋でお勉強。
お勉強の前に、教育係の人に『他の人たちと会いたい』と伝えておく。
何も言わないでおくと、『何も言われませんでしたし。(しれっ)』と素っ惚けられて、会える機会を作ってもらえない気がしたのでね。
まぁ、期待はしていないけど。
それに、魔王にお願いすればコッソリと手紙を届けてもらうことも出来そうだしね。
『魔王が機嫌を直してくれれば』だけど。
今日は、昨日まったくしなかった召喚術のお勉強。
召喚術師の仕事は、召喚獣による攻撃と肉壁。または、狼系の召喚獣による敵の攪乱とのことだった。
まぁ、だいたい予想していた通りだったね。
でも、鳥系の召喚獣による情報収集とかはしなくていいのかな?
そう思ったんだけど、俺に情報収集なんかしてほしくないから、そういう話はしなかったんだろう。
召喚術の練習をする。
詠唱を教えてもらったのだが、かなりイタい内容だった。
この詠唱は御免被りたいなぁ。”あの病気”が発症して目や腕が疼いちゃったらイヤだし。
でも、『御免被りたい』と思ったところでそういう訳にもいかず、ガッツリと練習させられました。
笑いを堪えながら練習をしたので腹筋が鍛えられました。鍛える場所が違うよね?
でも、こんなイタい詠唱を淡々とこなせるだなんて……。
俺は、教育係の女性を恐れを含んだ目で見てしまいます。
もしかして、この国の召喚術師って、全員が”あの病気”を発症しちゃってたりしませんか? そんな国に居たくないんですがっ。それとも腹筋がスゴイのかな? 是非とも、後者の方でお願いします!
この日は狼系の魔獣の召喚を試みたが、詠唱(笑)が無理で失敗を繰り返す。
腹筋の限界に挑戦し続けるも、精神的な限界の方が先に来てしまい、「あー、もう魔力が無いー、もうダメだー」と言って、この日の召喚術の練習を終わらせました。
その後、昨日と同様にこの世界の常識なんかを教えてもらい、今日も情報収集が捗りました。
でも、ピクピクと痙攣する腹筋の恨みは忘れません。
後で、詠唱(笑)をネタに『魔法の王』でもあるらしい魔王をイジり倒して、腹筋の恨みを晴らさせてもらおうと思います。
◇ ◇
夜。
部屋に戻って来た俺は、詠唱(笑)の件で『魔法の王』でもあるらしい魔王をイジり倒すべく、魔王を呼ぶ。
姿を現した魔王は……。
俺を見て大笑いしたのだった。
俺を見て散々大笑いした魔王が、俺に向かって文句を言う。
「何じゃ、あの詠唱とやらはっ、ワシを笑い殺すつもりかっ?!」
あれ?
あの詠唱(笑)って、もしかして魔王とは無関係?
「初めて間近で詠唱とやらを聞いたが、あんなに愉快なものだったとは思わなかったぞ! アッハッハッハッ!」
「…………」
「貴様も貴様じゃ、よくあんな恥ずかしいセリフを真面目な顔で言えるものじゃな! ワシは感心したぞ! ププププッ」
くそう。
まるで他人事の様に俺を笑いやがって。
詠唱(笑)をネタに魔王をイジり倒してやろうと思っていたのに。
あと、『感心したぞ』とか言ってたけど、それ、絶対褒めてないよね!
ちくしょう!
「これ以上ここに居っては、ワシの腹筋が保たん。では、また明日な。ワッハッハッハッハ!」
そう大笑いしながら、魔王は姿を消したのだった。
一人、ポツンと部屋に残された俺は……。
パジャマに着替えてベッドに入り、不貞寝しました。
<設定>
(魔法の詠唱について)
魔法の詠唱は、人間の国で独自に発展したものです。
魔国では、無詠唱か魔法名を言うだけです。
主人公も無詠唱で召喚術を使えましたが、『召喚術の勉強』と思って真面目に取り組んでいるのです。
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