表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/11

05 魔王カワイイよ! 魔王! からの……


「知らない天井だ」


朝。

目をました俺は、見慣みなれない天井におどろいたものの、無事に”お約束”を済ませることが出来た。


体を起こして周囲をまわす。

見慣みなれない室内の様子を見て、俺は昨日の出来事を色々と思い出した。


『あー、夢じゃなかったんだぁー』


色々と思い出しはしたものの、夢の中での出来事でなかったことに、俺は軽くショックを受けたのだった。


えず、ベッドから出て着替えをした。

そして、服を着替えている間に、『夢でなかったのなら仕方がないよね』と気持ちを切り替えた。


気持ちを切り替えた俺は……。


昨夜決めていた通りに、魔王を召喚することにした。


自分でもあきれるほどの切り替えの良さを発揮してしまいましたが、決して、夢の様な現実に”ハイ”になっているわけでも、ましてや、ラッキースケベに期待しているわけでもないのです。ええ。

うっかり、のうにお着替え中の魔王の姿が浮かんでしまいましたが、別に何かに期待しているわけではありません。ラッキースケベは事故なので仕方がないだけなのです。ええ。


『事故だから仕方がない。事故だから仕方がない』と心の中でとなえながら、俺は魔王を召喚します。ベッドの上に召喚する様子をおもえがきながら。

ベッドの上に召喚するのは、怒った魔王に飛び掛かられそうになった時に足下あしもとやわらかいほうが動きにくいと思ったからです。

さく』と呼んでください。(ドヤァ)


『朝っぱらから何をしているのやら』と、そういうあきれた気持ちも少しは有りましたが、事故が起こるのに時間帯など関係あるはずがないのです。ええ。


そう心の中でわけをしていると、ベッドの上に魔法陣が現れた。

その魔法陣をジッと見詰みつめていると……。


もふん


その魔法陣のなかに魔王が現れた。


…………魔王だよね?


俺は、ベッドの上で丸まって寝ている”モフモフ”に近寄り、ジーッと見てみる。

その”モフモフ”は、モフモフな着ぐるみパジャマを着た魔王だった。


むはー!

何? このカワイイ生き物?!

魔王カワイイよ! 魔王!

むはー!!


俺は、魔王のモフモフカワイイ姿にかんすると同時に、昨夜、魔王に『召喚するな』と釘を刺された理由を理解したのだった。

なるほど。

このモフモフカワイイ姿を見られたくなかったんだね、魔王は。

モフモフな着ぐるみパジャマを着たカワイイ魔王なんて、げんがまったく無いからね。

なるほど。なるほど。(ニヨニヨ)


納得した俺は、改めて魔王をジックリと見る。

モフモフな着ぐるみパジャマを着たカワイイ魔王がスヤスヤと眠っている。


うむ。

これはいいものだ。

むはー!!(かん


モフモフカワイイ魔王のカワイイ寝顔を堪能たんのうしていて、ふと、気付く。

そういえば、ツノが無いな。

なんでだ?

出したり引っ込めたり出来るのかな? あのツノって。

でも、魔王は、あのツノの『継承者けいしょうしゃ』であるみたいなことを言っていた気がするなぁ。

となると、実はあのツノって取り外しが可能とか?

……もしかして、『知ってはいけないことを知ってしまった』とかないよね?

………………。

いやいや、ないない。そんな事ないって。うん。

俺はそう思うことで『ヤバイ事を知ってしまって消される未来』を頭から振り払おうとしました。


俺が冷や汗をかいていると、ベッドの上で丸まって寝ている魔王がモソモソしだした。

ヤバイ。魔王が目をましそうだ。

俺は、魔王が目をます前に、急いで魔王を送還そうかんした。

これで証拠しょうこ隠滅いんめつはバッチリだ。

無事に”消される未来”を回避できたね。

危ないところだったね。マジで。


ふぅーー。



気持ちを落ち着け、部屋でのんびりとくつろぐ。

思いがけず危ない橋を渡ることになってしまったが、イイモノを見れたことだし”良し”としておこう。うん。

モフモフな着ぐるみパジャマを着たカワイイ魔王の姿を思い出しながら、俺はニヨニヨしました。



魔王がやって来た。

胸を張り、堂々としたげんのある立ち姿だ。

モフモフな着ぐるみパジャマを着ていたカワイイ姿とは大違いだね。ツノもるし。


その魔王が俺をにらみ付けながら言う。


「貴様、ワシが寝ている間に召喚しおったな?(ギロリン)」

「…………」


……ど、どうして分かったのかな?(ビクビク)

激オコなご様子の魔王を直視ちょくしできません。


だが、こんな事で死ぬ訳にはいかない。俺にはまだまだやりたい事があるんです。あんな事とかこんな事とか!

ここは、全力で誤魔化ごまかす!


「お、おはよう? イイアサダネ」

「貴様……。(ギロリン)」


激オコなご様子でにらみ付けてくる魔王にビビッてしまいます。(ビクビク)


「ワシはっ、『ワシが寝ている間に召喚しおったな?』、とっ、訊いておるんだっ、がっ?!(ギロリン)」


そう、語尾ごびに力を込めてめてくる魔王。

くっ。ダメか。

魔王の態度を見るに、何か証拠しょうこつかんでいるのかもしれない。

だが、魔王のかんちがいという可能性もある。証拠しょうこ隠滅いんめつもしたことだしなっ。

俺は、『魔王のかんちがい』の可能性にける!


「ど、ど、どーして、そー思ったのカナー?(ビクビク)」

「メイドが言っておったのじゃ!! 『魔法陣が現れて、姿が消えた』とな!!」

「あうち」


くそう。目撃者が居たのかっ。

ちゃんと証拠しょうこ隠滅いんめつできていたと思ってたのになっ!


だが、さく(ただの自称)は簡単にはあきらめない。

何とか誤魔化ごまかす。


「と……」

「『と』?(ギロリン)」

「とってもカワイかったですよ。(てへペロ)」

「ウガー!!」


激オコな魔王が、俺につかかろうと両手をかまえて向かって来る。

せっかく『とってもカワイかったですよ』ってめてあげたのに!


だけど魔王は、召喚した人に危害を加えられない所為せいなのか、俺に近付いたもののひじを伸ばす事が出来ない様で、俺にその両手を届かせる事が出来なかった。

その事に気付いた魔王は、俺につかかるのをあきらめ、俺と魔王の間の何も無い空間で首をめる動作をする。ギュウギュウと。

さらに、その”首をめている見えない相手”にひざを打ち込む動作も加える。ドスッ、ドスッと。

ギュウギュウ、ドスッ、ドスッと、そんな効果音が聞こえてきそうな光景がそこにはあった。


そんな激オコな魔王に、俺は「どうもすみませんでした」と頭を深くげてあやまったのでした。

本当にやられている様なイヤな感じがしたので。


特に、ひざを打ち込んでいる動作がですね、身長差の所為せいで、食らってはイケナイところに打ち込まれている様に見えちゃっててですね、ものすっごく気になっちゃったんですよっ。

『アレをじかに食らってしまったらドエライことになってしまう!』ってね。(冷や汗)


『魔王を怒らせない様に注意しよう』と、俺はそう思ったのでした。


<設定>

(魔王のひざりにマジでビビッている件について)

『アレをじかに食らってしまったらドエライことになってしまう!』とマジでビビッていますが、現状では実際に魔王から食らうことはありません。

ですが、本当に食らわないのか、まだ安心できていないので、マジでビビッてしまったのです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ