みいちゃんと3つの流れ星
みいちゃんは今日もベッドの上から出られず、目の前のお薬にためいきがたくさんです。
「もうお薬いや……」
「そんな事言わないで。みいちゃん元気になれないよ?」
おかあさんがなだめますが、みいちゃんは首をブンブン。
「あ、流れ星だ!」
その夜、みいちゃんは夜空に光る流れ星を見つけました。
「お薬が無くなりますように。お薬が無くなりますように。お薬が無くなりますように」
みいちゃんは流れ星におねがいしました。
ほどなくして、みいちゃんのお薬が無くなりました。
でも、その代わりにたくさんの注射が始まりました。
「おちゅうしゃいやぁ!」
「みいちゃん! みいちゃん! お願いだからお注射がまんして!」
お母さんがなんどもお願いしますが、みいちゃんは首をはげしくブンブンします。それでも注射は無くなりません。みいちゃんは注射のたびにわんわん泣きました。
ある日の夜、みいちゃんがねむれなくて夜空をながめていました。
「あっ! 流れ星だ!」
みいちゃんの前にキラリと光る流れ星が見えました。
「おちゅうしゃが無くなりますように、おちゅうしゃが無くなりますように、おちゅうしゃが無くなりますように」
みいちゃんは流れ星におねがいしました。
ほどなくして注射が無くなりました。
「おちゅうしゃおわり?」
「…………ええ、そうよ。よくがんばったわね」
お母さんが泣きながらみいちゃんをほめてくれました。
「おかあさん、どうして泣いてるの? なおったら早くみんなと遊びたいな」
お母さんは何も言わずおおつぶのなみだをこぼしながら、みいちゃんをだきしめました。
その夜、みいちゃんは流れ星を見つけました。小さく細い流れ星。みいちゃんは手を合わせておねがいします。
「みんなと遊びたい、みんなと遊びたい、みんなと遊びた」
しかしみいちゃんが言いおわる前に、流れ星はきえてしまいました。みいちゃんはかなしそうにねむりました。
そして、みいちゃんは目をさましませんでした。
お母さんやお父さんがどれほどのなみだを流しても、みいちゃんには見ることができません。
「先生、みいの最後の願いをかなえてあげて下さい」
みいちゃんが手術室へはこばれていきます。
みいちゃんは今、世界中の子どもたちと遊んでいます。
みいちゃんと同じく、びょうきで苦しむ子どもたち。みいちゃんの体は今、元気になった子どもたちの一部として、みんなといっしょに遊んでいます。
子どもたちがねむりにつくころ、空では綺麗な流れ星がキラリと光っておりました。
絵:秋の桜子さん