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一日後

買い物からの帰り道。


冷たい風が吹いて、思わず身を縮める。


昨日は春の陽気だったのに、今日は冬に逆戻りしたみたいだ。


 


「やあ、偶然だね」


「うわ!びっくりした……言っておくけど――」


「死ぬ気はない、わかっているよ。でももし気が変わったら教えてね」


 


死にたいと思う気持ちは変わらない。


だが、こいつにそれを伝えるのは恐ろしい。


 


他人の商売のために死ぬなんてまっぴらだ。


たぶん、こいつも冗談で言っているんだろうけど。


冗談だよな?


 


「ん?」


 


怖い笑顔でこっちを見ている。


まさか本気か!?


 


「なにを買ってきたんだい?」


 


こちらの苦悩などつゆしらず、無邪気な様子で買い物袋をのぞきこんでくる。


 


「いろいろあるね。お、ついに自炊に挑戦する気になったんだね。コンビニ弁当やカップ麺ばかりじゃ体に……ん、これはヨーグルトと納豆……これも料理に?」


「いや。これはそのまま食べるんだよ」


「混ぜて食べるのかな?ヨーグルト納豆みたいな」


「なんでそうなる!?別々に食べるんだ」


「へー。急にどうしてまた」


「お前テレビを見てないのか?免疫力がアップするって言ってたぜ。ウィルスが流行ってるんだからちゃんとしないと」


「あー。うちのおじいちゃんもおんなじこと言ってたよ。『テレビで言ってたから買ってきたぞ、ほら、お前も食べ食べ』ってね」


「あはは……おじいさんと一緒か」


 


なんとも言えない気分だ。


 


「君は死にたい死にたいって言ってるわりに免疫力なんて気にするんだね」


「それとこれとは別だろ」


「えー、そうかな?」


「なにニヤニヤしてるんだ?」


「まあ、いいや。そんなことより君が料理に挑戦っていうのが驚きだよ。いつか君の手料理をごちそうになりたいね」


「ああ、いいぞ。お湯を注いで三分。現時点での俺の得意料理」


「それってカップ麺じゃ?」


「まだ挑戦すらしてないんだ。手料理はもうちょっと待ってくれ」


「ふふっ、楽しみにしてるよ♪」

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