表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

泣き虫の小鬼、オニオンくん

作者: んが
掲載日:2018/02/13

ある村に、とっても泣き虫の小鬼がいました。

もうすぐ小鬼村の豆入れ大会です。

 とっても泣き虫の小鬼、オニオンくん。

 オニオンくんには生まれつき角が三本あります。

 さいきん、角の事でからかわれることが多くなってきました。



 ある日、オニオンくんはまだ雪が残る畑の一本道を帰っていました。

  一人のおじいさんに出会いました。

 背の高い白髪のおじいさんでした。

「今年は、もしかしたら35年ぶりにスーパー・ブルー・ブラッドムーンが見られるかもしれませんよ」

 突然おじいさんが話しかけてきたので、オニオンくんはびっくりしました。

「ス、スーパーマン?」

「スーパー・ブルー・ブラッドムーンですよ。この間2日に満月が出たでしょう。31日にまた満月が見られるかもしれませんよ。地球に近く見えるときがスーパームーン、ひと月に2回満月がみられるのがブルームーン、月の表面が赤っぽく見えるのがブラッドムーン。3つ合わせて『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』というらしいですよ。今ラジオで詳しく話していました」

 見たこともないおじいさんに話しかけられて、オニオンくんはどう答えたらいいか困ってしまいました。

 おじいさんが眼鏡の奥でやさしく微笑みました。

「へ、変な名前。ウルトラマンの怪獣みたいだ」

「あっはっはっは。怪獣ですか。そうですねえ」

 おじいさんは大きく口をあけて笑いました。

「月から怪獣が出てくるかもしれませんねえ」

 白い髪がさらさらと風になびいています。


「なんじゃそりゃ」

『スーパー・ブルー・ブラッドムーン……』

 舌を噛みそうになって、口に手をあてました。

 後ろを振り返ると、おじいさんの姿はもう見えませんでした。



「おーい、オニオンくーん。今帰るんか?」

 旅鬼のわたさんです。

 いろいろなところを旅しているからでしょうか。不思議な話し方をする小鬼でした。

 去年おじさんと一緒にこの村にやってきました。

「今日練習行くけ?」

「うん、行こうと思ってるよ。もうすぐ小鬼村豆入れ大会だもんねぇ」

「うん。今年は勝てるといいねぇ。去年は赤鬼チームに負けたんやろ」

「そうなんだよ~。相手の投げた豆が僕の角に当たってかごに入っちゃったんだよ~」

 オニオンくんの目には涙がにじんでいます。

「泣かんといてや。オニオンくん。僕たち毎日練習してるやんけ。大丈夫だよ」

 オニオンくんは鼻をすすりました。

「じゃあ、またあとで学校で会おうや。オニオンくん」

 わたさんは、風を切るように走っていきました。



 オニオンくんは、去年のことを思い出すと、悔しいことばかりでした。

 試合で負けたことはもちろんのこと。しょっちゅうバランスが悪くて転んだり……。何度も仲間の投げた豆が角に挟まって練習を止めてしまいました。

(競技用の豆が大きいからいけないんだ)

 オニオンくんは良くおじいちゃんにぐちをこぼしました。

(小さな豆だったら挟まらないのに……)

(わしも小さい頃はよく挟まったものじゃよ、その豆をわしは良く食べてしまってなあ、先生に怒られたものじゃ)

 ふぉっふぉっふぉっと、歯の抜けた顔で笑うおじいちゃんが懐かしく思い出されました。



 背中に何かが当たった気がしました。

 オニオンくんの顔の近くに軽く小石が飛んできました。

「おーい、オニオン。元気か?」

 同じ青鬼チームの小鬼トリオです。 

「元気だよ」

 少しむっとした顔で振り向きます。

「今年は角に豆が挟まらないといいなあ~」

 三人がオニオンくんの角に小石を当てようとします。

 オニオンくんはそれをかわしながら、

「平気だよ」

 鼻の奥がつんとしました。

「今度挟まったらその真ん中の角ちょん切っちまえよ」

 オニオンくんは、あわてて角を押さえます。

「へへん、なーきむーしおーにおん、はーさんですーてろー。はさんだら、その角、ちょん切るぞ~」

「だいじょうぶだもん!」

 小鬼トリオはオニオンくんの角に大きめの石をキュキュッとはさむと、わーーーっと逃げていきました。

 オニオンくんは角から石をとると、地面にたたきつけました。

「こんな角!こんな角!なんで僕だけ三本なんだ!」


 オニオンくんは走って家に帰りました。

 途中石につまずいて転びました。


 玄関で靴をそろえていると、エプロンで手をふきながらお母さんが出てきました。

「おかえり、オニオン。おそかったね。おや、角が汚れているよ」

「帰りに小石につまずいて転んだんだよ」

「気を付けなさいよ」

 お母さんは、エプロンの端で角をやさしく拭いてあげました。

「お母さん、『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』って知ってる?」

「『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』?なんだいそれは?ブラッド・ピ―ナッツなら知っているよ。カッコいいよねえ、あの人は。鬼にしたらまたかっこいいと思うんだけど、残念ながら人間の俳優さんなんだよ」

 お母さんは、ほうっとため息をつきました。

「そうじゃないよ。ブラピーなら僕も知っているよ。『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』っていうのはね、皆既月食の事なんだよ」

「へえ~」

「月が地球に近くなった時に見える月がスーパームーン。ひと月に2回満月になるのがブルームーン。さらに皆既月食で月の表面が赤っぽくきれいに見えることをブラッドムーン。3つ合わせて『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』っていうんだって」

「お前、いつの間にそんなに月の事に詳しくなったんだい」

 お母さんはオニオンくんのおでこに手をあてました。

「熱はないみたいだね。」

「さっき、おじいさんに教わったんだよ」

「おじいさん?どこのおじいさんだね。最近、この村におじいさんは見かけないよ。うちのおじいちゃんがこの村最後のおじいさんだったからねえ」

「学校の帰りに会ったんだよ。白髪のやさしそうな背の高いおじいさんだったよ」

「白髪のやさしそうな?危ないねえ。知らない人と話してはだめだよ。連れていかれてしまうよ」

「大丈夫だよ。そのことを親切に教えてくれたんだ」

「何をのんきなことをいっているんだい。親切そうな、が一番危ないんだよ。最近、他の村でも連れ去られそうになった小鬼がいるっていうのに。『いかのおすし』忘れてはだめだよ。はい、言ってごらん」

「怪しい人に付いて『いか』ない、車に『の』らない、『お』おごえをあげる、『す』ぐに逃げる、誰かに『し』らせる、でしょ。わかっているよ」

「節分が近くなると鬼の連れ去りが多くなってくるから、本当に気を付けなさいよ」

「はいはい」

 帽子を壁掛けのフックにかけると、オニオンくんは月のことをお母さんに話すのはあきらめました。

「おやつ食べたら、豆入れの練習に行ってくるよ」

「はいよ。イワシが焼いてあるよ」

 オニオンくんはイワシを口に放り込むと、体操着にパパっと着替えました。


「遅かったやん、オニオンくん」

 わたさんは、もうグラウンドでストレッチをしていました。

「ちょっとね、お母さんがいろいろ話してくるから遅くなっちゃった。ごめんね」

「オニオンくんのところは、お母さんがいるからいいよね」

 わたさんは、自分のシミだらけの体操着を見つめました。

「うちはおじさんだけだから、うらやましいよ」

「そうかな~。やんなっちゃうよ。節分が近くなると小鬼の連れ去りが多くなるから、知らない人に気を付けろってうるさいんだよ」

「確かに、最近行方不明になった小鬼がいるって、僕おじさん達が話しているのを聞いたよ」

「ええ~!本当なの?」

「節分が近くなると人間の村で鬼役が足りなくて小鬼は重宝がられるから……。僕たちも連れ去られないように気を付けないといけんね」


「おーーーい、そろそろ練習を始めるぞ!」

 青鬼先生がぴっぴっと笛を吹きました。

「みんな、ストレッチは済ませたか?」

 先生はプラスチックの金棒を振り回しながら、みんなを見まわしました。

「じゃあ、小鬼体操をしてから練習を始めるぞ。ホイ、小鬼トリオ、音頭をとってくれ」

「おれ達、小鬼トリオじゃないしー!『ぽん』と『こん』と『ちき』ってちゃんと名前があるんだからー!」

「あっはっはっは。悪かった悪かった。じゃあ、ぽんこんちき、頼んだぞ」

「それもいやだなあ」と、三人はぷりぷりしましたが、しぶしぶ小鬼体操を始めました。


「はぁい、では~~~」

『あ、小鬼体操、1234。何人そろっても鬼には勝てぬ 恵方巻食べて出直しなー』

 へんちきりんな歌に合わせて、小鬼たちがえんやこらと体を動かしています。

『鬼に金棒っていうけれど どんな金棒か知ってるかい?』

「しーらない」小鬼たちが返します。

『それは、金色、ぴっかぴかさー』

「あ、そーれ」

『大根みたいに重いのさ』

「そーうなーんだー」

『でーも、大人になったら持ってるのさー。それまでは、プラスチックで我慢しろ』

「あぁー、がまんしーろー」

『ホイ、それまでがーんばるさぁ。そーれ。よよいのよい。おっしまーい』

 みんなで両手をおろして、小鬼体操はおしまいです。

 

「はい、やっぱり小鬼トリオの歌は最高だね。」

「だからぁー」

 先生は、文句を言う小鬼トリオの帽子をポンポンと軽くたたきました。

「心も体もあたたまったところで、みんな一列に並んでダッシュの練習始め」

 笛の音がピーっと校庭いっぱい響き渡ります。

 みんなは五人ずつ横一列に並ぶと、先生の笛に合わせてダッシュの練習を始めました。

「誰が『かご』を持つかわからないからな。『かご』をもって速く走り回れるように練習するんだぞ」

 

「今年の『かご鬼』もブルゾンくんだよね。足、速いもんね」

「そうにきまってら。ブルゾンくんなら安心して任せられるけん。今年の優勝は青鬼チームや」

 わたさんとオニオンくんは、列の後ろでこそこと話していました。


 先生はそんな二人に、

「オニオン!わた!ちょっとこっちにおいで」

 と手招きをしました。

「なんですか?先生」

 二人は何事かと先生の顔を見上げました。

 先生は腰を曲げて二人の瞳をのぞき込むと、ゆっくり話しました。

「今年は二人で『かご』を持ってみないか」

「ええ~!」

「なんでー」


「どうしてー⁉」ブルゾンくんが遠くから飛んできました。

「先生、どうして?僕じゃあだめなの?」

 すごい地獄耳です。

「だめじゃないよ。ブルゾンは去年も『かご鬼』をつとめているだろ。だから、他の子たちにやらせてあげたいと思っただけだよ」

「ふうん、でも多分今年もおれがやることになると思う、って母さんたちにそう話してしまったよ」

 ブルゾンくんの赤いほっぺたがぷくり、とふくらみました。

「それにしても、どうしてよりによってオニオンとわたなんですか。他にも足の速い小鬼はたくさんいるのに」

「それはね、二人に練習の成果を見せてほしいからだよ」

 オニオンくんとわたさんは、はっと顔を見合わせました。

「ああ、ゆり先生から聞いたんだよ。去年、試合が終わってみんなが帰った後、ゆり先生は校庭の隅にある二宮金次郎の前で泣いているオニオンをみつけたらしい。オニオンは、(自分の角ののせいで負けてしまった)と目を真っ赤にしながら話したそうだ。先生は、《ハプニングはいつどこで起きるかわからない。あなたのせいじゃない》と言ったんだよ。」

ブルゾン君がじっと聞いています。

「それでも、オニオンはまだおうおう泣いている。(でも、自分の角はみんなより大きくて数も多い。豆も大きいから角に引っかかってしまう。いっそのこと、こんな角なんかない方がいい)と言ったらしいんだ」

 オニオンくんは、ぐっと両手を握りました。

 わたさんが、オニオンくんの背中にそっと手をそえました。

「オニオン、ごめんよ。わた、オニオンをちょっとここから離してあげてくれないか。」

「大丈夫です」

 オニオンくんは、涙があふれてくるのを感じました。あわてて腕で目を押さえます。。

 先生はうなずいて続けました。

「ゆり先生は、《角や豆のせいにするのはどうかしら……。オニオンには他にもやれることがあるのでは?》と話したらしいんだ。」

「先生、やっぱり無理です」

「ああ、みんなとダッシュの練習してなさい」

 オニオンくんとわたさんは、みんなのところに戻りました。

 二人の姿を見送ると、先生は話の続きをしました。

「オニオンはその時は黙ってうつむいていたそうだ。でも、その次の次の週から、オニオンはほぼ毎日昼休みに校庭を走ったり、学校から帰るときも太ももを高く上げてスキップをしたり。わたと一緒に坂道でダッシュを繰り返したり。小石を並べてジグザグに走る練習をしたり。ランドセルに大きな石も入れて、二人で密かに筋力アップ、瞬発力アップの訓練をしていたらしいんだよ。ブルゾンは気づかなかったかい?」

 ブルゾンくんは首をゆっくり振りました。

「わたの方だが、この学校に来たのは去年の事だったな。わたは旅芸人の鬼だからいつまたおじさんと一緒に旅に出てしまうかわからない。おじさんが話していたが、大みそかには、秋田の『なまはげ』にも出ないといけないらしい。オニオン効果か、最近めきめき足も速くなったしな。きっと『かご鬼』もうまくやってくれるだろう。先生は、わたが大人になった時、(昔この町で豆入れ大会をしたな、オニオンと一緒に『かご鬼』をやったな)よ。」

「へえ」

 ブルゾンくんは、先生と遠くのオニオンくんとわたさんをかわるがわる眺めていました。

「よし、わかったよ、先生」

 オニオンくんは、みんなのところに走って戻りました。

「おい、オニオン。わた」

 ブルゾン君は、自分の帽子をオニオンくんの帽子の上にかぶせました。

「今年は二人に『かご鬼』譲ってやるよ。」

「えっどうして?」二人は同時にブルゾン君の顔を見つめました。

「その代わり、敵に点を入れさせたら許さないからな」

「ええ~~~。まだ僕たち何も返事してないのに~」

 オニオンくんとわたさんは手を振り回して訴えましたが、ブルゾン君には届きません。

「さあ、練習練習!」


 ブルゾン君は二人をみんなの前に連れて行くと、背中をそっと押しました。

「みんな、聞いてくれ。今年の『かご鬼』はオニオンとわたに決まったそうだ。みんなで協力して頑張ろうな!」

 ブルゾンくんが大きな声でみんなに伝えました。

 オニオンくんとわたさんの顔がひきつっています。

「ええ~~~。どうして?ブルゾンくんじゃないの?」

「どうしてオニオンとわたなの?」

 みんなは先生に詰め寄りましたが、

「今年はそういうことにしたんだ。ブルゾン、きちんと説明してやってくれ」

 先生はよろしく頼むぞ、と鼻歌を歌いながら倉庫に行ってしまいました。


 その日から、ブルゾンくんの特訓が始まりました。

 オニオンくんとわたさんは、足に豆ができそうになるほど走って走って走りまくり、100メートル走のタイムもオニオンくんは1秒、わたさんは1.2秒縮まりました。

「『かご鬼』はな、最初のダッシュが重要なんだ。最初に敵に入れられないようにすばやく逃げる。そうしたら、味方の集まっているポイントを目指してグラウンドを駆け抜けるんだ。そこでたくさん味方の点を入れてもらって点を稼ぐ」

「そうなんだ(や)ね」

 二人は深くうなずきます。

「ダッシュの練習が必要なのが分かっただろう」

「うん」

「じゃあ、外に出て坂道ダッシュだ」

 ブルゾンくんの首には、ゆり先生の貸してくれた笛がかさかさと揺れています。

 オニオンくんとわたさんは、鬼の特訓が楽しくてたまらなくなってきました。足に豆ができてもへっちゃらです。

 小鬼トリオに、

「三本角のくせに、張り切っちゃって」

「きっとまた豆が角に引っかかって取れなくなるよ」

「旅鬼だって、いつここから出ていくかわからないからな。せいぜい泣き虫鬼と頑張りな」

 とからかわれても、なんとも思わなくなってきました。

 ジョウビタキがひっひっと鳴く声も、自分達を応援しているように聞こえました。


 

 そうこうしているうちに、1月31日になりました。

 オニオンくんは夜のニュースで今日が『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』だということを思い出しました。

「夜の9時41分ごろから月が欠け始めます」

 時計を見ると、9時15分を過ぎていました。

 アナウンサーのおじさんとおばさんが興奮気味に話しています。

 オニオンくんは二階の窓を開けてみました。

 外にはまん丸の月が出ています。まだ黄色い月です

 端っこが少し欠けているように見えます。

(鬼子ちゃんに『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』の事を話したら、《『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』が赤く見えたときに願いごとをすると、願いが叶うんだって!》と目をキラキラさせて僕に教えてくれたっけ)

 月が赤くなったころ、オニオンくんは両手を組んで、(今年は豆が角に当たりませんように)と祈ってみました。

 赤くなった月は、本当に手が届きそうなほど近くに見えました。

 オニオンくんは、精いっぱい月に向かって手を伸ばしました。


 2月3日、小鬼村豆入れ大会がやってきました。

 絶好の豆まき日和です。

 空は青く澄み渡っていました。

 小鬼たちは、みんなでそろって小鬼体操です。

 音頭をとるのはもちろん小鬼トリオです。

『あ、小鬼体操、1234。何人そろっても鬼にはか~てぬ~う~~~』

 まったくもって変な歌です。


 応援に来ている鬼たちに、豆入れのルールが配られました。

 

《小鬼豆入れ大会ルール:小鬼は赤鬼チーム(鬼第一小学校)と青鬼チーム(鬼第二小学校)に分かれる。1チーム10人制。時間は1ゲーム5分。5ゲーム行います。各チームの『かご鬼』のかごにたくさん豆を入れた方が勝ち。勝ったチームの『かご鬼』は、今年の福鬼として一年間、村のために働いてもらいます。今年の『かご鬼』は、赤鬼チームはいろ鬼くんと鬼くるみさん。青鬼チームは鬼オニオンくんと旅鬼のわたくんです。『かご鬼』は監督の指示に従うように。たくさんの応援をよろしくお願いいたします。》


 ピピ――

 審判の笛が響き渡りました。

 かごを背負ってわたさんと一緒に入場を待つオニオンくん。

 二人の持つかごには青いリボンが巻かれています。

 ふと、オニオンくんのかごのリボンが引っ張られるような気がしました。

 顔を後ろに向けると、この間のおじいさんがリボンを結びなおしていました。

「あっ」

「『スーパー・ブルー・ブラッドムーン』はみえましたか?」

 おじいさんはにっこりと笑いかけました。

「み、見ました……」

「リボン、直しておきましたよ」

 おじいさんがすっと消えました。

 ぽかんと宙を見上げるオニオンくん。

 空には昼の月がうっすらと浮かんでいます。

(手に届きそうなほど、近くに浮かんでいたよ)

 オニオンくんは三本の角に手をあてました。

「よーし、頑張るぞ。」

「どうしたんだい、オニオンくん」

 わたさんが驚いて振り返りましたが、オニオンくんは大きく手を振って会場に入っていきました。

 オオタカが、円を描くように大きくつばさを広げています。

 








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ