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2000年
硬式のテニスのボールが弾けた。
まゆ6歳。
まだ硬式テニスはラケットが重い。球を打つ強い手首を持たない。
向こうではテニスをする男の子。
啓介16歳。
「まゆお兄ちゃんと結婚する。」
そうやっていつも
視線の先に啓介がいる。
まゆと啓介はお隣さん同士。
啓介は生まれた時からまゆの心の一部だった。
お陰で美しく育った。
何をするでも啓介がいた。綺麗になりたいと願った。
だから綺麗に育った。
啓介はかっこ良く育った。
いつもいつも自分を追いかけてくる女の子がいる事を
知らないうちに
知っていた。
守りたい存在がそこにできた。
時は流れ
啓介33歳
まゆ23歳
2人は結婚した。
遠い歴史を紐解けば、二人が血縁関係である事に気付く者もいないでは無かったが
それは長い時間と時代によって、さしたる問題では無くなっていた。
2人の結婚を誰しもが喜んだ。
まゆのウエディングドレスは眞白に
纏う少女の姿は水々しい泉の様に日の光を受けていた。
式場のどこかで朝露を浴びた小さな蕾が芽吹き、花開く。
その後、2人は共に高瀬と名乗った。