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君がいるから  作者: 柚果
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第四十九話 冗談じゃないよね

グルグル回る頭の中…今何を考えているのか自分でもわからない。




電車に乗ってちゃんと家に帰った。記憶もちゃんとしてる。




でも気が付いたら朝になっていた感じだ。





「杏聞いてる?」


「うん…」




思考回路が全く追いつかない。今私は教室で自分の席にいるんだよね?



「…聞いてないでしょ?」



前には沙希の姿が見える。何か言ってるけどはっきり言って右から左へスルーしてる。



「…寝てんの?」


「うーん…」



あ。曖昧な返事しちゃってる。でも思考が戻らない…




パンッ!!




ぎゃあ!!何!?



突然、右の鼓膜に破壊音が響いた。



驚きのあまり椅子から転げそうになるが、寸でのところでセーフ。



音の発信源である沙希は不機嫌さを前面に押し出した顔を私に向けている。




「何!?何の音!?」



思いっきり叩いたのだろう。



沙希は

「私の手」と言いながら、両手をさすっていた。



…そんなに痛いならしなきゃいいじゃん!!



「杏今お昼だよ?いくらなんでも上の空の時間長すぎっ!」


「…別に上の空なんてしてないよ」



無茶な言い訳だと思う。ぶっちゃけ今でも上の空だし。



「あのね。そんなウソじゃ騙されてあげないから」



沙希はふぅ、とため息をつきながらも私をじろりと見ている。




「…ごめん。確かに上の空は認める」


「そりゃそうでショ」




何で上から目線なのよ…別にいいけど。




「う〜ん…私って容量こんなに狭かったかなぁ」


「人間って自分が思ってるより精工に出来てないらしいよ」



おぉ。沙希にしては博学なお言葉。



「で、その上の空の元は何よ?」



がっちり私の腕を掴んで離さない。



や。実際には掴まれてないんだけど…気持ち的には四方を固められてる。




「何?もしかして告白した!?」


「えぇぇ!?」



やば!過剰反応してしまった!!



「うそ…本気で?」


「違う違う!!って違うわなくもないけど、半分違うっ!!」



出来るだけのスピードで手を振り、違うって伝えようとして…



「…半分?」



また墓穴…!私ってバカ!?




沙希が見逃してくてくれるはずもなく5時間目が始まるまでみっちり尋問を受けた…




それでも慶くんのことは言えなかった。



…というより"言わなかった"の方が正しいかもしれない。




だって…仮にも人の気持ちをむやみに話したりしたくないし。



中には"冗談でしょ?(笑)”で済ませられる人もいるかもしれないけれど



相手は慶くんだ。絶対そんなタイプじゃない。




…あの言葉




『お前のこと気になってるかもしれない』




今思い出しても信じられない…。




冗談…じゃないよね。やっぱり。




ふぅ…




ダメだ。先生の話も全然頭に入ってこない。


机に伏せがちになり、肩肘をついて窓から外をぼぉっと見る。



…やたら良い天気だなぁ。授業点引かれるかもしれないけど別にいいや。




『どうこうするわけじゃない』




って…私はどうしたらいいの?




慶くんの考えてることがわかんないよ…


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