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君がいるから  作者: 柚果
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第三十四話 さらっとした優しさ

あのあとはちょっとした言い合いになった。




…はたから見れば相当バカな2人だったと思う。




 

「自分の分は払う」


「いらねぇ」




二人ともこれの一点張り。




最終的に私がアイツのポケットに千円札を突っ込んだ。



ちょっと多いけどこの際どうでもよし。



さらに改札まで来た途端



「じゃあな」




…は?アンタもでしょ?と思ったら




「俺、東條線」



と言い出したもんだから絶句。



しかも私はもう改札を通ったところだった。




何で?東條線は止まってなかった…




なぁんて思ってたらポケットを見ろというジェスチャーをしているアイツ。



言われた通りポケットを探ると、アイツに渡したはずの千円札。



ニヤリ笑う水嶋恭介。




…やられた。






「今度絶対返してやる」



「え?何のこと?」



現在教室にて昼食中です。



「何でもない。こっちの話」



パクリとウインナーを口に入れた。



「そういえばさぁ杏…」



ん?何だろう?




「昨日カッコイイ外人サンと一緒だったらしいジャン?」




…何で私の情報筒抜けなんだろう。




「そうだね。たまたま会っただけ。で、どこからの情報?」



なんかもう驚くのも面倒くさいや。



「やっぱり恭介くんだったか。隣りのクラスのコ。駅の喫茶店で見たってさ」



「ふぅん。みんなヒマだね」



中身がなくなったお弁当箱を片付けながらお茶を飲む。




…まさか改札前の出来事は見てないよね?




「だってあんた達目立つもん」



アイツが、ね。



「でもたまたま会ってお茶ってどういう心境の変化?」



「別にないよ。雨で昨日電車止まったでしょ?ただの時間つぶし」



「そういえば…二人とも同じ線なんだ?ん?杏が帰る時間止まってたっけ?」



そこは突っ込まないで。スルーしよう。



「それがさぁ。アイツ東條線なんだよね」



「東條線?止まってた?」 



「ううん…動いてた」




実は昨日から考えてたこと。



アイツは私と一緒に待ってくれたんじゃないか…って。



それによくよく考えると




私がアイツに持っる苦手意識ってなんなんだろう…って。




「杏?」




「あ、うん、でね…」



そしてお金のくだりまでを沙希に話した。





「そりゃ受け取らないよ」



「何でよ?奢ってもらう理由ないもん。逆に私が奢るべきじゃない?」



アイツが勝手にしたこととはいえ、仮にも一緒に待ってもらったんだし…



「そこは素直に

「ありがとう」って言えばいいの」



沙希は当たり前でしょ。と言わんばかりの言い方だ。 



「でもそういうことさらっとやっちゃうから変にモテちゃうんだろうね」



「う〜ん…」



「一般的に女のコはそういうのに弱いの。杏は一般的?それとも例外?」



にっこり優しい笑顔で私に問いかける。




どうしてなのかはわからない。





なぜか沙希の質問に答えられない私がいた。


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