表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君がいるから  作者: 柚果
33/63

第三十二話 曖昧な空

一昨日、昨日はあんなに晴れていたのに


秋の天気は崩れやすっていうのは本当だな。



今日は朝からどんよりした空気だった。




「あ…雨だ」




教室の窓にポツポツと雨があたっている。



「うそぉ。私傘持って来てないよ…」



それはお気の毒…まぁ私が入れてあげることになるんだろう。




この分じゃ花枯れちゃうな…





「ねぇ沙希」


「うん?」


「花をね。人にあげるときって花言葉気にしたりする?」


「花言葉?うーん…そうだなぁ。

相手が好きな花なら気にしないけど、選んであげる場合なら気にするかも」



というか花はもらう側だし。と笑いながら答えてくれた。



そっか…じゃあやっぱり私の気にしすぎかな…



「チョコ食べる?」

「えぇ??」



「好きでしょ?新作だよ」



びっくりした…タイミング良すぎだってば。




一粒もらったチョコレートを口に入れるとほろ苦い味がした。






「すいません。チョコレートコスモスありますか?」


「申し訳ありません。当店では取り扱ってないんですよ…」


「そうですか…ありがとうございます」



沙希と一緒に駅まで帰った後



私は一人、来た道を引き返していた。



さっきから雨は降ったり止んだり。曖昧な天気だ。




私はなぜか心に引っかかるチョコレートコスモスを買おうと花屋に寄ったんだけど…




「やっぱりないよねぇ…しかもストロベリーチョコ」




…取り寄せなきゃだめかな



でもわざわざ?…一体誰なんだろう



そんなことを考えているとまた雨が落ちてくる。




「…帰ろっかな」






「結構濡れちゃったし…」



雨は止む気配をなくして強くなる一方。台風?って思うほどだ。



駅まではちゃんと傘を差して来たのに。意味ないじゃん。



その時突然に名前を呼ばれた。




「杏?」




え?




「やっぱり。って傘持ってんのにめっちゃ濡れてるし」




顔を上げたらそこにアイツ…水嶋恭介が立っていた。



「ダサッ」



…悪かったわね。でも何か今言い返す気分じゃない。



「…一人?いつもの連れは?」


「残念ながらいつも一緒じゃないんでね。そっちこそ?」


「…駅までは一緒だった…よ」


「ふぅん…

「お客様にアナウンス致します」」



アイツの言葉を遮るように構内にアナウンスが響いた。



「現在豪雨と暴風の為、川沿いを通ります"西浦線"は運休となっております」




…ありえない。それ私が乗る線なんですけど。




落胆している私の表情を察したのか

「お前西浦?」とアイツに聞かれた。



力なく頷く私。…ほんと最悪だ。




「茶でもいきますか」




…は?




驚く私をよそに水嶋恭介は歩き出している。



「どうせ動かないんじゃ帰れないだろ」



…そうだけど。え?



「杏チャン早く♪」



だからいい加減それやめてってば!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ