第二話 通訳と笑顔
確かに世間一般に言う
「イケメン」がそこにいた。
しかも外人?ハーフ?
とにかく純日本人じゃないことだけは確かだ。
髪は黒いけど。
外国人を見慣れてる私には何の驚きもない。はずだ…
「お願い!話しかけて!?日本語で話しかけたら"あいきゃんすぴーくじゃぱにーず"って言われちゃったの!!」
…問題ないじゃん。日本語喋れりゃ十分だ。
目をキラッキラさせながら私を見る友達A、B。
…だからつけまつ毛取れてますから。
めんどくさい。とにかくめんどくさい。
冗談抜きでめんどくさい。
とにかく早く終わらせることが1番。
要するにアレだ、ナンパ目的っしょ?夏に大発生する迷惑極まりないやつ。
早々に断られろ。
「Is it good in English?(英語でいいですか?)
話しかけた途端、マネキンは驚いたような表情を見せた。
うわ。目の色すんごい色素薄い。
答えないけどそのまま続けてやれ。
「They seem to want to talk with you.(彼女達があなたと話をしたいそうです。)
Therefore,please decline it clearly.(だから、はっきり断ってあげて下さい。)
Will it be troublesome?(面倒臭いでしょ?)」
これでジ・エンド。
さぁハッキリキッパリ断ってくれ、マネキンさんよ。
「…Are you a Japanese?(…あなた日本人ですか?)」
意外な答えが返って来た。
つーか何見当違いなこと言ってんだこのマネキン?
こっちは生粋の日本人だっつーの。
それより早く断れっ!
「I'm true Japanese.(正真正銘の日本人です。)
Please decline it earlier than it.(それより早く断って下さい。)
I want to return early.(私、早く帰りたいんです。)」
息継ぎナシ早口で伝えると、マネキンは一瞬顔が笑ったように見えた。
えーと、暴言吐いていいっすか?この失礼なマネキンに。
「I'm sorry.I say immediately.(ごめん。すぐに言うよ)」
そう言いならがも口元笑ってますよね?失礼極まりないんですけど。
「ゴメンナサイ。ワタシ用事アリマス。」
にぃっこり嘘臭い笑顔を振りまいてマネキンは言った。
「そ、そうなんだ!じゃ、じゃあまた今度会ったらお話しましょうねっ!!」
友達A、Bはいつもより2割り増しで声が高い。
「アリガトウゴザイマス」
これまた作り物のようにさわやかな笑顔で言う。本当にマネキンだ。
友達A、Bはそのマネキン顔に赤面ぶっこいて走って行った。お〜い、私の存在忘れてますけど。
「I'm sorry that I'm noisy.(うるさくしてすいまん。)
Then…(じゃあ…)」
一応謝る。何で私がって感じだけど。
そう言って去ろうとした時、とんでもない言語が私の耳に入ってきた。
「大変だね、友達のお世話も。通訳さん?」
英語がおかしかったらすいません・・・一応調べたつもりです。




