第一話 意味不明
ただ今夏真っ盛りの8月…と言いたいところですが8月下旬の下旬。
学生たちの天国、夏休みが終わろうとしている。
夏といえばここ…そう、海に来ています!
照り付けんばかりの太陽…ってか暑すぎる!乙女の肌に焼き色つけたらどうしてくれんだ!?
白い砂浜。…ま、実際は海草やら空き缶やら転がってますけど。
そしてなんと言っても人、人、人!!
…ってテンションあげてみましたが、正直帰りたい
一緒に来た女の子達が私を呼んでいる。超高速スピードで手招きをしている。
…イヤな予感。
あ、ちなみに私の名前は、立花 杏です。
やる気のない自己紹介でどうもスンマセン。
だって今現在、心の底からやる気ないですから。
とは言ったものの、大声で呼ばれてるし。行かないと後でうるさいのでとりあえず走る。
「何?財布でも忘れた?」
「あぁ!杏遅いよっ!!」
私の肩を持ってガンガンガンガン…脳みそ回るんで止めて下さい。直ちに。
ここまで言っておわかりかと思いますが…え?わかんない?…もっと洞察力磨けよ。
嘘です。大嘘です。
と、まぁ話を戻して。そう、特に仲が良いわけではなかった中学の元クラスメイト。ってところです。
何でか知らないけど強制的に連れてこられた私。全く持って意味不明。
「…で、何?何なのそこまで急用?」
んなわけないけど一応聞く。あぁ、どんどんテンション下がってきた…
「通訳してっっ!!」
は?
「杏!英語大の得意でしょ!?よね!?ってか絶対そう!!」
…耳元でデカイ声を出すな。そして勝手に決めるな。まぁ、英語は話せるけどさ。
何でって?
私、帰国子女なんですよ。4年間アメリカにいたんで、話せないほうがありえない環境ってトコ?
「話せるけど、通訳?何で?」
喋りたきゃ自分で喋れ。その冗談でも笑えない英語力で。
…主人公にしては口悪いと思われているでしょうが、ご勘弁下さい。
早朝に起こされ、このテンションで今まで…頑張ったって誉めてもらってもいいくらいだと思う。
「いいからほらアレッッ!見て!超イケメン!!」
原形を感じさせない顔で甲高い声を発する友達B。
つけまつ毛取れてますよ。気付くまで黙っててやろう。
バンバンと遠慮なしに私の肩を叩く。
そろそろ肩が限界に達しそうなので、素晴らしくうっとおしい顔で、友達Aが指差す方向を見た。
そこにはいたのは気味が悪いくらいに端整な顔立ちの人…マネキン?
あ、動いた。つうか背高っ!
「ね、超カッコいいでしょ!?」
友達A、Bはハモる…あぁ、うるさい。




