第十八話 招待券と交換条件
夏の日差しが弱くなり
秋の過ごしやすい気候になり始めた今日この頃。
「はい、これ」
薄ピンク色の紙をひらり1枚。沙希が私に手渡した。
何コレ?とにかく読んでみよう。声に出して。
「北高文化祭来る…は?」
「読んで字のごとく。ってなわけで今週土曜ね」
…えぇ!?
「何で私もなの!?」
「だって彰くんクラスの店番もあるし、ずっと一緒に回れないもん」
「そ…そりゃそうかもしれないけど」
「それに5人で会うの久しぶりでしょ?」
そう。あの謝罪の電話以来会っていない。
もちろんだけどメール、電話なんて用もないからしないし来ない。
「ってなわけでよろしく♪」
…まぁいっか。楽しんじゃえば。
「ちなみにその招待券。恭介くんのだから」
うん?
「北高文化祭って、生徒の招待券なきゃ入れないの。
私は当然彰くんの。で、親とかにあげたらなくなったんだって。
だから、それは恭介くんの。」
なるほど。そういうことね。でも…
「アイツもばらまく数多そうじゃない?」
「恭介くんが女の子誘ったら変に勘違いしちゃうでしょ?」
「あー…うん。そうだね」
それこそ本人にしたら最悪だ。世の中勘違い女多いし。
「本当は慶くんのとどっちでも良かったんだけど、その券と交換条件だって…」
「…交換条件出されてまで私行きたくない」
簡単だってば、と笑う沙希は次の瞬間こう言った。
「"壁"だってさ」
…アイツ。人を壁呼ばわりかいっっ!!
んで壁って何!?




