第十七話 仲直りする仲
人間って生き物は、想定外のことが起こると頭が真っ白になる。
…え?私だけですか?
それもそのはず。
だってアイツがあまりにもいつも通りだから。
『お前そうとう嫌なんだな。ツッコミ早すぎ』
アハハ、と電話の向こうでアイツは笑っている。
…笑ってる?何で?
あんなこと言われて…なんで笑ってるの?
『聞いてんのかよ?ダンマリして』
「あ…えっと。小学校時代のあだ名で…さらに同じクラスに小雪ちゃんって子もいて…」
あれ?私何の話してんだ?
『マジ?実写版出来そう』
既に実写版だし小学生じゃ無理…って違ぁう!!
「あのさ…今日さ。私があんたに言ったことなんだけど…」
『…あぁ。何?まだ言い足りない?』
「違うよ…。その、つまり…ごめん」
少しの沈黙、のち
『…気味悪い』
かちん。
「ちょっと!人が謝ってんにの"気味悪い"って!?」
何コイツ!?意味わかんない!!
『あ、そうじゃなくて。やけに素直なもんで』
…あぁ。地味に納得。
「その…あれよ。あんたの素行を勘違いしてたというか…」
『…彰に聞いただろ?』
「はい。ソウデス」
やけに丁寧語になってしまう。
『彰は俺のこと多分かなり美化してるぞ?実際この顔利用してバンバン遊んでるかもしれねぇし』
「…いいよ別に見栄張んなくて」
何となく嘘だと思った。理由はわからないけど。
『…つーかお前"スケコマシ"って古すぎ。いつの時代だよ』
うるさいよそこの人。本人だってわかってます。
『…ま、俺も大人げなかったっつーことで。これって仲直りっつーの?』
「私とあんた直すほど仲良くないし」
素直な女の子って私には無理みたいだ。
…そんな必要今のところないけどね。




