第十一話 意外な言葉
立花杏。
17歳と2ヶ月。
突然ですが今迷ってます。
…原因は私の目の前で鳴り響く現代機器。
ディスプレイには"恭介"の文字。
…言っときますけど登録したの私じゃないですから!
こうやって登録されてることも今日始めて知ったところだし…
いつもなら出ない。出る理由がない!
でも…文句の一つでも言ってやりたい!!
「役立たず」
ボソッと呟くと着信が切れた。ホッ…
安心したのも束の間。2秒待たずと再着信。
「…出るか」
私は観念して通話ボタンを押して耳にあてた。
『あ、おれ』
…俺でわかりたくいがわかってしまう。名前出てるし。
「…あの、アンタに言いたいことが」
あの二人はもう付き合ってました。手助けも要りません。従ってあなたの番号も必要ありません。
そう言ってやろうとすると、電話越しに意外な言葉が聞こえた。
『悪い』
…え?
『あの二人もう付き合ってんだってさ。俺聞いてなかったし。お前聞いてた?』
ちょっと驚いた。素直に謝るようなタイプじゃないと思ってたし…
「…ううん。今日聞いた」
『何だそっちもか。彰に聞いたら"あれ、言ってなかったっけ?"って。
天然もいいとこだよな〜』
「…ぽいね」
文句言うタイミング逃しちゃったかも…
『結局俺ら何の役にも立ってねぇじゃん?笑える』
「…一緒にしないでよ。そっちが勝手にやったんでしょ」
『その発言かわいくないよ〜杏チャン』
「杏チャン言うなっ!」
『ま。とにかく良かったってことだ。円満円満』
「…まぁね。沙希も嬉しそうだったし」
『悪かったな、電話して。んじゃあな』
「あ…!」
プープー。
…勝手に掛けてきて勝手に切るなよ。
「あんたの番号消すから」って言えなかったじゃん。




