第九話 恋の相手の親友の応援=成就の秘訣
嫌でも時間はたんたんと過ぎてゆく。
相変わらず端の二人は終始笑顔でトーク中。
こちらはといえば…まぁ。相変わらずです…
「お前ら高校からの友達?」
少しの沈黙を破ったのは水嶋恭介だ。
「違う。幼稚園からの幼馴染み」
「へぇ、長いじゃん。俺と彰と一緒だわ。
ちなみに慶は中学からだけどな」
知ってますよ。沙希情報だけど。
「珍しいね。男同士高校まで一緒って」
私はアイスティーをストローでかき回しながら言った。
「そうか?まぁ、そうかもな」
チラリと目線を上げると、灘波慶は頬杖をついて無表情だ。
…話聞いてんのかな?
「…あいつらどこが緊張してんだ?」
って、急に喋り出さないでよっ…!
私は慌てて目線を外した。
「確かに。完璧二人の世界」
…同じくそう思う。つーか沙希そんなキャラでした?
「…何か人懐っこそうだね。彰くんって」
「かもな。人見知りとかしないタイプだし」
コイツら本当に仲いいんだ。お互いわかってるって感じがする。
「あ、お前携帯ド○モ?」
は?
「何使ってる?ちょっと出せ」
いや。意味わかんない。
…なぜか水嶋恭介は手を出している。
「もしかして持ってない子?金銭的?」
はいぃぃ!?
「持ってるわよ!ホラっ!」
バン、とテーブルに携帯を差し出した。
出した途端にアイツはピッピッ、と私の携帯を操作している。
「ちょっと…!何してんのよ水嶋恭介っ!?」
「こっちにも色々あるんだよ。親友の恋の応援に相手の親友の手助けは必須」
ん?どこかで聞いたようなセリフ…
「てか何でフルネームなんだよ。"恭介"でいいって言ってんだろ」
そう言いながらアイツは私の携帯をひょいと投げた。
…絶対に呼ぶことはない
…絶対に!




