初見からドMに『sKill』を実況プレイ!後半戦
(前回の『初見からドMに『sKill』を実況プレイpart1』の続きです)
あっさり死んでしまったオータムが蜂にコントローラーを渡したのか、【continue】が選択され画面が切り替わる。すると、教室を出てすぐの場所からゲームが再開された。
「部屋を移動するとそこからになるのな」
「そうみたいだな。まあ、ここで無闇に突っ込むオータムみたいなアホをやると死ぬことがわかったから、ここは一回戻るわ」
蜂は笑いながら言う。そして、主人公のクイックターンなんて小技を披露してから教室へ戻る。
「この中でとりあえず金属バッドに対抗できるものさがしゃいいんだろ?」
「ヘルメット強そうじゃね?」
「頭超守れそうだな」
言って、蜂は主人公を動かし教室の中を探る。
すると、主人公の背後で突然激しい破壊音が聞こえた。
「うわぁぁぁぁッ!?」
「ぎゃあぁぁぁぁッ!?」
叫ぶ二人。
振り返ってみれば、教室のドアが破壊されていて、鉄バットを持った男子生徒がこちらを向いていた。
「逃げらんねーのかよッ!?」
鉄バットの男子生徒は主人公を見るなりゆっくりとした足取りでこちらに向かっている。きっと、あの鉄バットをもう一度振られたらお仕舞いだろう。
「なんかノート光ってんだけど!?」
「使えってことじゃね? この際なんでもいいから色々使えよ!」
ガチャガチャと激しい音が響き、主人公がノートを構えた。そして、一瞬だけカットインが入り『スキル発動』と表示される。
「『スキル【問答無用】の記録に成功しました』……? あっ、これそういう感じなのか」
「でもそれでどうすんだ?」
「……ワッカンネ」
言いながら蜂はとりあえず記録した【問答無用】のページを見るよう操作した。するとノートを開く演出のあとに、【問答無用】と書かれたページが表示される。そこには、そのスキルを遣う者の写真と名前、それからスキルの詳細が記されていた。
「『【問答無用】name:タチバナ』あっ、こいつタチバナって言うんだ……」
「そう言えば主人公の名前って何?」
「知らん……どっかに書いてあんのかな?」
主人公の名前など全く書かれていなかったような気がしながら、蜂はスキルの読み上げを続けた。
「『問答無用で目の前のものをぶっ壊す。スキル使用中は相手がなんなのか認識できなくなる』……えっ、怖」
「こいつ今何壊してるか分かんない状態なのかよ!」
オータムが突っ込む。説明の通りならそうなのだろう。中々使い方の難しそうなスキルだ。
と、ここで二人はある重要な点に気が付いた。
「で、記録したからなんなんだ?」
蜂が問う。オータムは答えられない。
「記録したスキルを使えるとかそういうわけでもないし……」
「記録しただけだな」
「ゴミスキルじゃねぇかぁぁぁぁッ!」
キレ気味に叫びながら蜂は記録したスキルの画面を閉じた。そして再び迫り来る鉄バットの恐怖がやってくる。
「おい、コマンドが追加されてんぞ!」
「えっ? あっ、本当だ! スキル記録するとこうなるのか!」
オータムの発見を蜂は喜びながら確認する。喜びはすぐに憤りに変わった。そう、画面下部には【話す】というコマンドが表示されていたのだ。
「なんで会話なんだよぉぉぉぉ! タチバナはその辺にいる村人とはちげぇんだよ倒すコマンドくれよ戦え!!」
蜂は全力で叫びながらタチバナとの会話を試みた。すると会話イベントに突入する。
『タチバナ?』
『…………』
『タチバナ!』
『……!』
『やっと気づいてくれたか……ヒヤヒヤしたよ、殴られるんじゃないかって』
『悪かったよ……スキルのせいで何もわからなくなってたんだ……親友を殴り殺さなくてよかったぜ』
「こいつら親友かよ!」
二人の会話に耐えきれず、蜂が突っ込みを入れた。続いてオータムも突っ込みを入れる。
「もう既に一回殺してるしな」
「それはオータムがタチバナを殴りにいったからだろ……」
後ろから小さな声でずっと空気だった熊がオータムの発言に突っ込む。熊の言うとおりだった。だからこそ、熊は無視される。
「とりあえず記録したスキルの詳細を見て状況を打破しろってことなのか……?」
「これ縛るとゲーム進まねぇんじゃねえかな……つーか、縛って差し支えないところが分かんなくなったぞ……」
「……じゃあ、武器所持禁止で!」
蜂の無責任な発言は、今後この実況動画が伝説となっていく始まりを示していた。だが、このときこの三人はそんなことになるなんて予想だにしていない。
「そんじゃあ、時間もそろそろいい感じだしここらで切るか」
「ん、そうだな」
武器所持禁止という縛りを決めたところで、二人は動画を締めることにする。
セーブをして、セーブ画面が表示されたまま動かなくなり、二人の会話だけが流れる。
「『武器所持禁止』っていう縛りも決定したので、次回、Part2でお会いしましょう! 実況者は俺、オータムと」
「蜂でしたー!」