平凡日誌
平凡だ。
俺は全てが平凡だ。
才能?
talent?それはただの英訳だ。
幸か不幸か俺はそんなものを今の今まで持ち合わせたことがない。
まぁ、強いて言うならば、まだ月が上る前から大酒をこれでもかとかっくらい、ご立派な人間たちがせっせと小銭稼ぎに起き上がる頃、俺はまだ酔いが覚めていないのか、まだ夢を見続けていたいのか、自分でもどちらかも解せぬまま寝床から飛び起きる、つもりでいるが再び瞼が磁石の原理を説明する必要の無いくらい簡単に引っ付く。
一体それは特技なのか特異なのか解らないが、俺が平凡で無いところはそんなとこぐらいだ。
いや、待てよ、そんなの良く考えなくてもそこらじゅうによくいるただの酒好きな中年じゃないか。
やっぱり俺は平均的で、想像力も、思考能力も、社会性も、みんなの好きな個性ってやつも全部、可もなく不可もないんだろう。
いや、でもそんなもん簡単に計れるもんじゃないだろ、って、そうやって自分を納得させる術すら平凡だ。
でも、そんな俺が、気が付けば天使になっていた。