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男達  作者: N澤巧T郎
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10人目『笑った男』

「ありがとーございました!!」


子供達の元気な声。


「さようなら」


学校の選択授業で保育実習があって今日はその最終日。


さよならをしても子供たちは私達ひよっこ先生の周りを離れようとしない。


ワイワイ


ガヤガヤ


ワラワラ


ふと横を見る。


他のみんなより少々ちいさな子供だかりができている。


最初の授業の時、一緒の教室にいたときはホントびっくりした。


だって無愛想だし人見知りだし、ホントに子供好きなの?って思った。


でもまあこうやって子供達からも慕われてるし、やっぱり子供が好きなのかなあ?


でも……まだ一回も満面の笑みを見てない。


今だってちょっと顔が緩む程度だし。


一体どんな顔で笑うんだろ……。


その時、彼の前に出来ていた子供だかりが一斉に二つに分かれた。


あの子が立っていた。


あの子って言うのは変わっているというか、とても個性的な子で、いつも一人だった。


保母さん達も少々困っているみたいで、私が話しかけたときもずっと地面に寝そべって横を向いてジーっとしていて……。


正直、私は少し怖いと思ってしまった。


他の子供達もこの子のことを怖がってるみたいで。


そういえば彼、あの子の隣にずっといたっけ。


あの子が彼に近づいていく。


すると彼の周りにいた子供達がどんどんと離れていく。


あの子が彼の前にやってきた。


彼は膝をついてあの子を見つめた。



「元気でね」



彼は満面の笑みでそう言って、強く優しく抱きしめた。



「いかないで〜」



泣きじゃくりながら、彼の服をギュッと掴んで放さなかった。


彼らの間にどんなやり取りが交わされていたのか。


あの子から離れた私達にはわからない。


わかった事と言えば、私に尊敬できる人が一人増えた事と。


誰よりも子供を愛している彼の笑顔を



“一生忘れられそうにないということだけ”



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