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SPRING  作者: SORA
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違和感 彩花さんって一体何者……?

第二話

その日、俺は一人で、熱海の砂浜を歩いていた。波が打ち寄せるビーチに遠くから聞き覚えのある声がした。

「あ、彩花さん、彩花さーん!」

「和泉くーん!ここまでおいでー!」

彩花さんは砂浜を走り出して俺から遠ざかっていく。

「あっ!まてー!」

「こいつ、さっきからニヤニヤしてない?」

「いったいどんな夢見てるんだろうね」

「和泉!ちょっと和泉!起きなさい!」

「え……う……わー! でたー!」

「出たー!って人をお化けみたいに言わないでよ!」

「あーもう!せっかくいい夢だったのに、一気に現実に戻されたよ。」

「あんたずっとニヤニヤしてたけど、夢の中で何してたの?」

「何でもないよー」

「きっとこの前、旅館に新しく入った女の子の妄想でもしてたんでしょ。」

「えー誰それ?教えて。」

「バカ! 堺! 絶対に教えるな!」

堺にはこの前、彩花さんのことを教えていた。

「はあー! なんでうちには教えらんないの!」

みさきは俺の机にどっしり座ってきた。ほんとに行儀のなってない女だ。

「どうしてもこうしてもあるか! お前はいつもいつも俺の恋愛を台無しにして

きたじゃないか!」

「えーそんなことしてないじゃない、いつも応援してあげてるのに」

「その応援がいらないんだよ!」

ふと、忌まわしい記憶が脳裏によみがえった。そうだ、小学校の時も、あと中学の修学旅行の時も、いつもこの二人に邪魔されて、さんざんな目にあったんだ。

俺は椅子から立ち上がり、堺の胸ぐらをつかんだ。

「うっ、和泉落ち着け! 俺は何もしていないって!全部みさきがやったことじゃないか!」

「いいか! 今回ばかりはお前たちに邪魔はさせない! だから彩花さんに絶対変なこと 言うなよ!」

「へー彩花っていうのねーなるほどなるほど。」

みさきは俺を見ながら、何かを企んでいる様子だった。

 学校からの帰り道、突然ポケットの携帯が鳴った。みさきからだ。

「なんだよ、今日は先に帰ったんじゃないのか?」

「和泉、学校が終わったら駅前の喫茶店に来なさい! すごく面白いことが起きてるか ら!」

みさきの声はいつにもなくうれしそうだった。

「お、面白いこと?」

「いいから早く来なさい!ブツッ」

「あっおい!ちょっと。」

着信が切れた後、俺はその場に立ちつくした。なんだか嫌な予感がする。

「いらっしゃいませ、お好きなお席にどうぞ。」

「あー来た来た! 和泉!こっちこっち!」

俺は言われるがまま、みさきがいる席に向かった。やはり嫌な予感は的中した。

「あっ彩花さん…」

「こんにちは!和泉君。」

「ちょっと! 一体どういうことだよ⁉」

「どういうことって湯浅野旅館に行ったの堺と、それで彩花さんいますかー? って フロントにいたおばさんに言ったら彩花ちゃんを連れてきてくれたの。なんか彩花ちゃんも暇そうにしてたから、ねー!」

「アハハ」

彩花さんは苦しそうに笑っていた。そりゃそうだ、全く面識のない女子高生にいきなり呼びつけられて、連れて行かれたんだから。

「暇なわけないだろ!」

俺は彩花さんのことを勝手に扱われるのがなんとなく嫌だった。

「 彩花さんは旅館で仕事してるんだぞ! あと、俺達より年上なんだからもう少し敬語を使ったらどうだ」

俺はストローでチュウチュウと、のんきにメロンクリームソーダを飲んでる堺をに らみつけた。

「だから、俺は何もしていないって」

「じ、実は今日いろいろあって今日は休もうかなって…」

「えっ? 旅館で何かあったんですか?」

「ううん、何でもないちょっといろいろあって……」

「にしても彩花ちゃんってマジでかわいい!ホントお人形さんみたい!」

「そ、そんなことないって、アハハ…」

グイグイくるみさきに彩花は少し困惑している様子だった。

「彩花ちゃん、和泉ね、彩花ちゃんのこと気になってるみたいだからよろしくね!」

「えっ」

「おっおい! 適当なこと言うな! 彩花さんそいつの言ってることほとんど嘘ですから気にしないでください。」

「和泉君」

「はっはい」

名前を呼ばれて顔をあげると、彩花さんは柔らかな表情をしていた。

「ありがとう」

「えっ」

「私、熱海に来てから同年代で仲いい人が誰もいなくて少し寂しかったの、でも、 いまこうしてみんなと話せてすごく楽しい。和泉君、私のこと気にかけてくれてたんだよね。」

「いっいえ、そんな」

まあ気にかけていたといえば聞こえはいいが、実際俺は何もしていない。

「私、いつまでここにいるか分からないけど、みんなこれからも仲良くしてね!」

「ええ、もちろんです」

この日、今回ばかりは、みさきたちのおかげで、彩花さんと距離が縮まった気がした。でも彩花さんはただのアルバイトの人じゃない、俺の心に芽生えた違和感は、少しずつ大きくなっていた。



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