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創造主ENKI(和名:縁起)の「第二の約束の地」は「蓬莱日本国」  作者: 如月妙美


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離島の貧農金丸(後の尚円王)の「水満つる田」と「琉球王国」450年の夜明け

第一章 伊是名の干ばつ、金丸の苦悩

 琉球の小島、伊是名島の諸見村は、青い海に囲まれた美しい場所であったが、永楽13年(1415年)に生まれた金丸かなまるは、幼い頃から大地と共に生きる運命を背負っていた。父・尚稷と母・瑞雲の長男として、幼名を思徳金うみとくがねと呼ばれた彼は、朝夕の農作業の合間に海風と潮の匂いを胸いっぱいに吸い込み、澄んだ瞳で空を見上げては夢を語っていた。父とともに農業に従事し、田畑に命を宿す日々を送っていたが、成化3年(1434年)、20歳の時に両親を病で亡くし、幼い弟を抱えて孤独に立たされた。干ばつが島を襲い、田畑はひび割れ、井戸の水も涸れ、村人の目には憂いと恐怖が深く刻まれていた。空は連日のように重苦しい灰色の雲に覆われ、風は熱を帯び、乾いた大地は人々の足元で音を立てて崩れた。

「このままでは皆が飢え死にしてしまう……私の力は、ただこの小さな田を守ることしかできぬのか。」

 金丸は乾いた土を掬い、胸の奥に疼く焦燥を飲み込んだ。だが、不思議にも彼の田だけは潤いを失わず、澄んだ水が湛えられていた。その奇跡は村人の疑念を呼び、「盗水ではないか」と非難されるまでになった。

 耐えかねた金丸は、弟と妻を伴い島を離れた。24歳の時、沖縄本島へと渡り、新たな生を探す旅が始まった。

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第二章 ENKIの顕現と「水満つる田」の啓示

 ある夜、国頭村にて途方に暮れる金丸の前に、天が裂けるように青白い光が幾重にも降り注ぎ、雷鳴のような低い音が大地を震わせ、島中の風と波が静まり返った。その光は空から柱のように伸び、星々が渦を巻いて金丸の周囲を包み、彼の足元にまで青い光が広がった。その光の中から現れたのは、星々をその長い黒髪に宿し、瑠璃の瞳から七色の光を放ち、背後には巨大な翼を広げる創造主ENKI(縁起)だった。彼の出現は天地を貫き、森の動物たちもその気配に息を呑み、金丸の心臓は強く打ち、全身を温かな光が覆った。

「汝、金丸よ。」

 深海のように重く、果てしない宇宙の奥底から響くような深淵の力を孕み、それでいて春の雨のように優しく、大地を抱きしめるように温かく、空気を震わせて森の葉が揺れるほどの力強さで、波の音や鳥の囀りさえ一瞬止めるほどの神秘性を帯びた声が大地全体を包んだ。

「日本国と琉球の未来を繋ぐ使命が汝にはある。この使命は単に一時のものではなく、幾世代にもわたる民の未来を照らすものであり、この田は神の恩寵によるものであり、汝が王となり、民の希望と調和の象徴となる証だ。さらに、この田は琉球王国全体に繁栄をもたらす神聖な源泉である。」

 ENKIは指先で空をなぞると、その動きに合わせて空気が震え、星々が光の軌跡を描き、国頭村全体に神秘的な風が吹き抜けた。その光が大地を包み、山々を越えて波のように広がり、空は七色に輝いた。やがて金丸の田に向かって光の川が流れ込み、地中深くから泉が湧き出すように水が溢れ、田の隅々まで満ちていった。大地は息を吹き返し、周囲の草花も一斉に芽吹き、国頭村でも、金丸の田に再び神聖な水を満たした。

「これを“水満つる田”と呼べ。この聖なる田は神々の祝福が宿り、干ばつも洪水も恐れることはなく、四季の移ろいにも決して衰えぬ命を宿す。汝が民を守り、国を導き、王として相応しいことを示すための揺るぎなき証であり、未来永劫に琉球を潤し続けるだろう。」

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第三章 琉球王国への道と金丸(尚円王)の決意

 金丸は首里に辿り着き、越来ごえく王子の家臣として仕官する。彼は下役から始め、持ち前の勤勉さと知恵、そして誰よりも深い民への思いで頭角を現し、信頼を得ていく。次第に重職を任され、外交や貿易にも関わり、御物城御鎖側官(貿易長官)にまで昇進する。その頃、琉球は貿易の拠点として繁栄しつつも、尚徳王の時代に入ると無謀な政策と専横により国は乱れ、民の苦しみが増していった。金丸は何度も諫言したが聞き入れられず、ついには内間村に隠遁する。そこでも彼は民と土に寄り添い、田を耕しながら未来の琉球を静かに思い描いていた。

 成化5年(1469年)、尚徳王が薨去した。重臣たちは後継を決めるため何度も会議を重ね、国中に混乱が広がる中、金丸の名が幾度も推戴された。彼は王位を辞退し続けたが、民の声と重臣の願いに押され、ついには決意を固め、金丸は尚円王として即位し、第二尚氏王統を開いた。ここに琉球王国は新たな夜明けを迎えた。

「民を守るためならば、私はこの身を差し出そう。民の苦しみも喜びも自らのものとし、琉球を潤す水のように、穏やかで力強く、忍耐と知恵を持ち、嵐の中でも決して揺らがぬ王となり、幾世代にも民の平穏を支える柱となる。」

 ENKIは微笑み、その微笑みは夜空を照らす月光のように穏やかで力強く、ユグドラシルの枝が大きく揺れ、そこから溢れる無数の星の粒が煌めき、祝福の光が幾重にも降り注ぎ、大地を覆い、空を七色の光で満たし、金丸の心にも深く沁みわたるように降り注いだ。

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第四章 尚円王の治世と琉球王国450年の繁栄

 尚円王は「水満つる田」の奇跡を胸に、治水・農業・交易を改革し、村々を潤し、港を整備し、国中に灌漑と水路を張り巡らせ、民の暮らしを安定させ、琉球を“海の王国”へと押し上げた。交易路は日本・中国・朝鮮・東南アジアに広がり、王国は異国の文物や技術も取り入れ、東アジアの交易の中心として栄華を極め、民の心に誇りと安心をもたらした。

 夜、首里城から見上げる星空には、無数の星々が幾重にも光を結び、水の波紋のような模様を描き、その波紋はまるで夜空全体に広がる湖面のように揺らぎ、光の輪が幾重にも重なり、青と銀と金の色彩が混ざり合い、天と地を繋ぐ神秘の道を形作り、ENKIの見守る気配が暖かな風となって漂い、王と民の心を優しく包み込んでいた。

 彼の築いた「琉球王国(第二尚氏王統)」は、150年後からは薩摩の支配に苦慮する時代も続いたが、約450年に及び歴史上でも長期の王国となり、海の彼方までその名を響かせた。もともと台風や日照りの被害がある地域で、国民の生活は豊かとはいえなかったが、それでも知恵と工夫によって農業と交易が発展し、500年に及ぶ戦乱と王朝乱立・交代の時代は終焉し、大明帝国や大清帝国とも良好な外交関係を築き、さらに多様な文化交流を促進して民には長い安寧と繁栄の時代が訪れ、世代を超えて語り継がれた。

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第五章 守護の証と永遠の潤い

「水満つる田」は、龍神ENKIの意思でその場所が移動し、枯れることを知らず、永遠に湧き続ける命の水である。その水は尚円王の血脈とともに琉球の未来を支え続け、島々に命を与えてきた。伝説によれば、伊是名島から国頭村、首里を経て、現在は与論島か沖永良部島へと移動し続けたという。島全体が未曽有の日照りや旱魃に見舞われ、民が絶望に沈む時こそ、「水満つる田」はその神秘的な姿を現し、湧水が島を潤し生命を蘇らせる。伝説は現代にも息づき、尚円王の魂は水の精霊として琉球の島々を巡り続け、日本国と琉球を繋ぐ神聖な橋渡し役を果たすという。琉球国が再び覚醒の時を迎えるその日まで——ENKIの加護は決して絶えることはない。



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