第六十話 最終話「君の隣でいきるために」
「う...... ここは」
目が覚めるとそこは部屋のベッドだった。
「目が覚めたか」
そばにはカイル隊長たち、六番隊のみんながいた。
「ミーシャは!!」
「心配しないでミーシャは無事、今は眠っているわ」
ライミーアさんが目に涙をためていった。
「そうですが...... メシアは」
「ああメシアは、俺たちがあの場についたときにはもう星幽石になっていた」
シュリエさんがいった。
「やはりミーシャが倒したのか......」
「みたいだな。 エルダリィーのことはすまなかった。 俺たちも気づけなかった」
カイル隊長があやまる。
「しかたないです。 まさかワイズマンだったなんて誰にもわからなかった...... それでカイル隊長、民衆は」
「もう終わった。 シニア、ヤングマン以下親帝国派、和平派を含め政治家たちが多く死んだことで、国を動かせるものがいないのに、帝国が攻めても来ないからな。 さすがに帝国の策謀の線はなくなった」
「ええ、帝国も和平交渉すると談話が発表され新聞が速報で伝えたわ。 そして時間がかかったことで、怒りも沈静化し冷静に判断できるようになったようね。 みんな静かに退去したわ」
ライミーアさんがいう。
その時、部屋がノックされた。
ドアがあくと、そこにはレンブラント隊長と、そして人の姿になったミーシャがいた。
「......クルス」
「な、なんで」
「君がもっていたロードの星幽石、あれを使って魂の委譲を行ったんだ。 危険があるからやめるように説得したが、彼女が強く望んだからね。 ミーシャが知っていた秘術で何とか成功したよ」
レンブラント隊長が苦笑してそういった。
「これで、お前の罪はなくなったよクルス」
ミーシャはそう悲しく微笑んだ。
「でもよかった。 ミーシャが元にもどって」
ぼくたちは生まれそだった孤児院が見える丘にいる。 あれから軍をやめ故郷に帰ってきていた。
「......うん」
そう言葉少なにミーシャが答える。 その表情はあの時から固いままだ。
「嬉しくないの。 危険をおかしてまでもとに戻ったのに」
「本当は...... 失敗すればいいと思っていたんだ」
「えっ!?」
「罪を背負い続けるのが辛かったから......」
ミーシャのその目には涙がたまっていた。
「......ミーシャ......」
「............」
ぼくはメシアに刺され倒れたとき、思い出したことがあった。
「あの時、雷が落ちて猫になったミーシャが......」
あの時のことを鮮明に思い出していた。
「......そうクルスだけじゃない、私も罪を犯したんだ」
「そうか、あの時雷にうたれてぼくは......」
「そうすぐに心臓が止まり死んだ......」
その言葉でいろいろな疑問が氷解していくのがわかった。
「だから私がもっていた星幽石にクルスの魂を取り込んだ。 そしてシュリエが私の体を凍らせている間に、クルスの体に星幽石を埋め込んだんだ」
「そうか、ぼくはディシーストだったのか。 だからこの体は成長を止めたんだね」
「ごめん」
「......それでわかった。 ぼくたちが多くのネクロマンシーを使えるのは、その星幽石をもっていたから」
「多分...... 雷は世界に散る魂を巻き込み、私たちの星幽石に落ちた」
「だから、ぼくたちは...... そうか。 罪を犯したのはぼくだけじゃなかったのか」
「ごめん...... どうしても言えなかった。 私は怖かった。 クルスが事実をしって生きることを諦めるかもしれない。 だから......」
「そしてメシアの誘いを拒まなかった」
「......罪が消えるなら、それでいいと思った。 ずっと罪を抱えて生きていくのは苦しかったから......」
そういうとミーシャは唇をかんでいる。
「......でもぼくは君も自分も生きていてよかったと思ってる...... それでみんなの助けになれた。 戦争を止められた」
「それは...... でも私は!」
そのほほから涙がこぼれる。
「かまわない。 ぼくが犯した罪も、ミーシャの罪も消えない。 人間が犯した罪もだ。 でもぼくたちはそれを背負っていきていかないといけない」
「苦しいのにか......」
「苦しんで、辛くても、それでも、ぼくたちはいきるんだ」
「一体...... なんのために」
「こうやって隣で一緒に生きていくためにだよ」
そう微笑みかけると、ミーシャはそうか、そう一言だけつぶやいた。
そして、ぼくたちは孤児院へとあるきだした。




