第五十七話「ワイズマンの正体」
『勝手なことを!』
ミーシャは左右にとびはね近づくと、その爪でシニアに振り下ろした。
「......弾けろ」
ミーシャが空中で爆発し地面に落ちた。
『ぐわっ!!』
「ミーシャ!!」
『うっ...... 大丈夫だ』
ミーシャの体に火傷のようなあとがあるが、それほどの傷ではなかった
「よかった。 爆発の威力はそこまでじゃないか」
(これが奴のネクロマンシー、爆発する直前なにか黒い粉が舞った)
「あなたが真人教や政治家を爆発させた本人か」
「いかにも......」
そういうと、ぼくの足元近くでも爆発が起こる。
「くっ!」
シニアは懐から銃を向け、黒い弾丸をうちこんでくる。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ」
そして弾丸はなにかにかわりかわしたがその場で爆発する。
「がっ!」
(くっ! あれが爆発の正体...... ただたいした爆発じゃない。 そういえば、神殿で見つかったあれは石炭か。 あれを爆発させている...... 威力はよわい、直撃さえ食らわなければ)
そう思って動くと、急に足が爆発した。
「ぐあっ!」
『大丈夫かクルス!』
(なんだシニアはなにも撃ってない...... これは)
『おいクルス! 地面をよくみてみろ!』
ミーシャにいわれてよくみると、黒くてちいさなアリが無数に歩いている。
(あれが、石炭で作ったアリか! これが先に放たれてたのか。 このうすぐらい中、小さい黒いアリはみえづらい、しかもこの数......)
「......彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 浅蜊刃」
懐から紙をつかむとナイフを持ち、シニアに向かう。
『おいクルス!なにするつもりだ! 不用意に動くな!』
「無駄なことを」
次々と地面が爆発する。
「くっ!」
それでも前へと進む。
「なぜ倒れない......」
「うおおおお!!」
更にシニアへと迫る。
「なぜちかづける! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ」
シニアは銃を放った。
目の前で爆発するが、盾にかえた浅蜊盾でシニアを殴り付ける。
「ぐふっ......」
シニアは地面を転がった。
「いまだ! ミーシャ!」
『おう!!』
とんだミーシャはシニアを押さえこんだ。
「ぐっ...... きさま、なぜだ。 なぜ爆発をうけたのに......」
「これだ」
ぼくの手に金属箔蛾がいた。
「ガ...... まさか蟻酸を」
「ああ、いくらなんでもあれだけの数のアリを操作できるわけがない。 アリは蟻酸をだし、それを追って仲間がついてきてる」
「その匂いをガでかぎ分け最小のダメージで進んだのか......」
「もう終わりだ。 あなたが最後の白き聖者」
「ふっ...... 違う」
『なんだと!!』
「そんなはずは、もう白き聖者はいないはず」
(いや...... どこかで)
「もうすぐ儀式は終わる。 彼の手によってゆえに私はもう不要。あとは彼がやってくれるだろう」
そういうと、シニアは満足そうにほほえんだ。
「まさかカイル隊長が戦ったワイズマンか!」
「よく知っているな...... 私がどうやって人を殺していたと思う」
「なにをいって」
「アリには自分の体を極限まで収縮して、その自らの圧力で爆発するアリがいるのだ......」
「まさか!! ミーシャ!!」
ぼくはミーシャと横にとんだ。 その瞬間シニアは吹き飛んだ。
『こいつ自爆したのか』
「ああ、石炭アリが自爆したとき、石炭が体内で粉々になる。 それが圧縮したときにでた熱で粉塵爆発をおこしたんだろう」
『それであんな爆発か』
「おーい、大丈夫か!」
エルダリィーさんがこっちに走ってきた。
「エルダリィーさん! 無事でしたか!」
「なんとかね。 それでここにいた白き聖者は?」
『シニアによると、まだいるらしい。 そいつが儀式をしているといっていた』
「シニアがそんなことを...... アリを爆発させたのか」
そう死んだ議員たちをみてエルダリィーさんは眉をひそめた。
「しかし儀式がどこなのかわからん以上、隊長に連絡するために戻るしかないぞ」
『そうだな』
「確かに......」
ぼくたちはきた道を帰り始めた。
「エルダリィーさん。 やつはどうなりました」
「グールかい。 ああ、なんとか窒息させて拘束したよ」
『よく捕まえられたな』
「ああ、ぼくのこのゼリーは拘束力があるからね」
そうゼリーのはいったバッグをみせた。
「そうですか......」
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ......」
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 鍬形!」
ぼくは握っていたナイフをクワガタにかえ、エルダリィーのバッグをきりさいた。
バッグがさけゼリーの容器が地面に転がる。
『おい! なにしてる!』
「ミーシャ離れて。 彼がワイズマンだ」
「............」
エルダリィーは否定もせず、その場にたっている。
『嘘だろ!』
「......どうしてわかったのだ」
そう、エルダリィーは真顔でたっている。
「アリの爆発はぼくたちしか知らない。 あなたが知るはずはないんだ」
「そうか、しくじった...... ついしっているものだからな」
「お前の目的もメシアの復活か。 ならなぜぼくたちに情報を与えてきた」
「ふふふっ、メシアなどどうでもいい」
そうエルダリィーは笑う。
「どういうことだ......」
「私はメシアなど必要ない。 私以外のディシーストが邪魔だった。 そいつらを排除してもらいたかっただけだ」
「裏切るのか」
「ああ、私のためにこの世界はある。 帝国も共和国も、私のもの」
『なに言ってやがる!』
「別におかしくはない。 この国は私がつくった」
「まさか...... ワイズマン、初代大統領......」
「そうだ。 私がこの国をつくり、ロードが帝国を作った」
そうエルダリィー、いやワイズマンが静かに告げた。




