第五十四話「総隊長の意志」
反乱に加わった隊員たちを皆捕縛した。 グールとリジェクトの姿はそこにはなかった。
総隊長は星幽石の修復を行ったが、動くこともできなくなった。 各隊長と、なぜかぼくとミーシャもその場に呼ばれていた。
「総隊長...... すみません」
カイル隊長があやまる。
「......いや、私の判断が間違った。 もう少しお前たちの成長を信じていれば...... 私もあやつらと同じく人間を信じきれてはいなかったのだろう」
そうベッドに横になり総隊長はつぶやく。
「......お前たちに話さなければならないことがある。 私たちはしってのとおりディシーストだ。 あるものが産み出した」
「あるもの......」
「メシアそう呼ばれたものだ」
(レンブラント隊長がいっていた、救世主)
「たしかネクロマンサーだったと」
「ああ、遥か昔、その力をもちい、この世界に平和と混沌を産み出したもの」
「平和と混沌ですか」
エマ隊長がきき、レンブラント隊長も続けてきいた。
「死したものをよみがえらせることで混乱を起こしたと、それは本人ではないからですね」
「ああ、死してから甦らせたのは、ただの魂...... 記憶の集合体にすぎん。 ネクロマンシーとは死ぬ前に移しかえる秘術だったからだ」
「それを皆が納得しなかった......」
そういったグラード隊長をみてロード総隊長はうなづく。
「そうだ。 人々は際限なくメシアへ望んだ。 死ぬ前にしか効果のない術を死したものに施すように迫った。 結果、多くの我々が生まれた」
『自我のあるディシースト...... でも魂は星幽石はどうした?』
「まさか......」
「そうだ。 ネクロマンシーには星幽石が必要になる」
「人を殺したんですか......」
「ああ膨大な生け贄を使い、星幽石を作り出した。 それをみてメシアは結論をえたようだ」
「どんな結論を......」
「それはわからない...... ただ人の望みを叶えず、次々と争いおこして人々を殺していった。 私はそれをしり、彼と袂をわかった。 彼らは白き聖者となのり、戦争などに介入して人々を殺し続けた」
「それで、黒き使徒をつくったんですか」
「ああ、正確にはさまざまな時代で彼らを阻止するため、騎士団や秘密結社を作り、彼らと対峙した。 そしてついに1000年前メシアを捕らえた。 ただ他の者たちは闇に姿を消した」
「あなたがもっていたのはメシアの星幽石だったんですね」
「ああ、すぐに壊したかったが、私たちはメシアによりつくられたディシーストだ。 壊せば、魂は供給されず私たちは死ぬ。 しかし他につくられたディシーストが死ぬかはわからなかった。 最悪、私は死に、人々には対抗策がないまま滅ぶかもしれなかった」
「そうか、それでネクロマンサーを育てていたのですね」
エマ隊長はうなづいた。
「ああディシーストやネクロマンサーに普通の人間では対処するのは難しい。 だがメシアを壊さないことで、姿を消した者たちが必ず力をもち、人々へ害をなすと考えた」
「白き聖者の目的はメシアの復活ですか」
「......そうだ。 私を監視していたのは、メシアの星幽石をえるためだろう」
「一番隊を含め、あの裏切ったものたちは、まさか......」
レンブラント隊長がきいた。
「......おそらく死んだものの復活を望んでいるのだろう」
『だが、よみがえらないのに......』
「......一縷の望みにすがっているのだろうな。 かつての人々もそうだった。 愛しい人の復活を望み、悪をなした」
「では、メシアは復活するのですね」
カイル隊長がきくと総隊長はうなづく。
「だが、彼らに必要な量の星幽石があるかはわからない。 だからこその戦争だろう。 政界にも白き聖者はいる...... それを止めろ。 うっ......」
「総隊長!!」
「もう限界か...... だが彼らと戦える者たちが育った...... これでいい、クルス、こっちに」
「は、はい」
「私をもっていけ。 なにかの役に立つはずだ」
「えっ?」
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ......」
そう総隊長が唱えると、その姿は消え、そこには蒼い小さな宝石が転がっていた。
「クルス...... もっていってくれ。 総隊長の意思だ」
カイル隊長達はそういい、みんなうなづく。
「わかりました」
ぼくはその星幽石を手にした。
「それでどうするカイル」
「ああ、まず政界の白き聖者を探る」
『まってくれ......』
そうミーシャが話を遮る。
『多分、リストが関わっている......』
「そういえば、リストの屋敷でなにかあったの」
『ああ、あいつの屋敷の地下にいってみたんだ。 そこには星幽石があった。 かなりの数だ』
「ではリストもディシースト...... もしくはその仲間か。 そしてメシア復活の星幽石を集めていた」
「わかった。 我々六番隊はリストを確保する」
「では我々、残りの隊で、リストに関わりのある政治家たちを調べる」
エマ隊長がそういい、ぼくたちはすぐに行動を開始した。




