第五十二話「操られた歴史」
『街中がざわついていたな』
「ああ、みんな戦争のことを話している」
どこにいっても皆殺気だっているように話をし、怒号も飛び交っていた。
ぼくたちはリストを探るべく、エルダリィーさんから聞いたリストの家に近づく。
「ここか......」
森のなかにある大きな屋敷へときた。
『でけぇな。 新聞ってのは儲かるんだな。 嘘ばかりなのに』
「まあ報道が新聞だけだからね。 特に偏った報道をするアイディアタイムスは、特定の人たちには好まれてるみたいだ」
『ふーん、あまり読まないからわからん。 じゃあいってくる』
「ああ、ぼくもいく」
金属箔蛾を自ら操り屋敷へとむかう。 下ではミーシャが器用に雨どいをつたい開いている窓からなかにはいった。
「完全にネコだな。 よし、ぼくもいくか......」
煙突から中へと入った。
部屋にはいると、声のする方へと向かう。
「ええ...... 多少計画は狂ったけど、問題はないわ。 国民は怒り、それをおさめるすべもない......」
そう誰かと話すリストがいた。
(誰と話しているんだ......)
「それより見つかったの」
『ああ、やはりロードが隠しているな。 他には見つからない』
(隠す...... なんのことだ)
「やはり、でも黒き使徒が邪魔ね」
『今ほとんどの隊員はシニアを捜査している。 一番隊には今指示した、もう囲んでいる。 アイディアは早く計画を進めろ』
(アイディア...... 会社のことか。 いやロード総隊長が!! 速く帰らないと.....)
ぼくはすぐにそとにでた。 ミーシャも聞いていたのか、外にでてきた。
「ミーシャ!」
『ああ...... 早く戻ろう』
ぼくたちはカイル隊長に連絡すると、すぐに本部のある首都に向かった。
「これは......」
そこでは各隊と、制服を着たものたちの激しい、戦闘が繰り広げられていた。
「あっ! クルスさん!」
シーナさんがいた。
「どうなってるんです!」
「え、ええ各隊に命令が下り、ロード総隊長を守るように指示があったのですが、この通りです」
『一番隊か』
「......だけじゃないんです。 各隊にいた裏切り者たちが一斉に蜂起しました。 お二人は屋敷へ向かってください! ここは私たちがなんとかおさえます!」
「わかった! 気をつけて!」
ぼくたちは戦いを避けながら、屋敷へと向かった。
「まさか、これ程大勢の裏切り者がいたなんて」
『そうだな...... だけど、今は』
目の前から、馬が何頭も突進してくる。 一番隊の制服を着たものが前に複数いた。
「くっ...... 一番隊のディシーストか!」
そのとき白い鞭が馬たちを弾いた。
「ここは私がやる! お前たちは先にいけ、地下があるそうだ!」
後ろからきたソアラさんが前にでた。
「頼みます!」
ぼくたちは横の通路を進み、地下らしき階段へと進む。 かなり深くまで続いている。 下まで降りると洞窟があった。
「こんなところがあったのか」
『............』
「どうしたの?」
『今いうべきか、あのリストの屋敷に地下があった。 あそこに...... 危ない!!』
そういったミーシャが飛びかかり、ぼくを突き飛ばした。
「くくっ......」
壁だと思っていたところから人が現れた。
『お前は、グール!!』
そこには体中から刃物のようなヒレを出したグールがいた。
「くくくっ、久しぶりだな。 まさかネコのお前が俺をやったあのガキだったとはな」
「なんで、おまえが!」
「あいつらがお前らを殺したら、解放してやるといったんでな」
『......こいつは私がやる。 クルスは先へいけ』
「いや、二人で!」
『だめだ。 いまはロード総隊長を守れ!』
そういうとミーシャはクロヒョウへと変わった。
(しかたない!)
「わかった...... 死なないでね」
『当たり前だ!』
ミーシャとグールの戦いが始まり、ぼくは奥へと向かった。
「ロード総隊長......」
ぼくが洞窟奥へとむかうと、そこには倒れた多くの一番隊の隊員と
ともにリジェクトがいた。 目の前には傷つきひざまずく、ロード総隊長もいる。
「まさか、ここまでくるなんてね......」
リジェクトは微笑んで答えた。
「リジェクト、君たちは何者なんだ」
「知ってるでしょう。 ディシーストよ」
「それは知っている。 なぜこんなことをしている。 人間への復讐なのか」
「そうね。 確かにそう思っていたものもいるわ」
「そう思っていたもの......」
「私たちもそれぞれの考えがあるの。 つまり私欲よ」
「......私欲、それがなぜ戦争につながるんだ」
「星幽石をつくるには多くの人の魂が必要。 でも実際に殺してしまえば、私たちには手に入らない」
(反発のことか)
「だから人間に戦争をさせるのか」
「正確にはさせたのか...... ね」
「そうか、今までも」
「そうよ。 私たちは人間の歴史のなかで人々を操ってきたわ。 まあ操らなくても必ず争い始めるのだけど......」
そうリジェクトはうつむいた。
「......それで邪魔になったロード総隊長を」
「まあそれもあるけど、さっきいったでしょう。 おのおの考えがあると」
「......おのおの、まさか!!」
「そうよ。 ロードと私たちと同じディシーストなの」
そうリジェクトはロード隊長をみて微笑む。




