第五十一話「議事堂テロ」
「助かりました。 ライミーアさん」
『どうしてここに来たんだライミーア?』
「クルスが私に金属箔蛾を送ってきたのよ。 衛兵たちは電気で感電させてなんとかはいりこんだわ。 上は大騒ぎよ」
『ガなんて...... そうか! あのカラスを守ってたときか!』
「ああ、そのまま外へ向かわせた。 ぼくたちだけじゃ厳しいかもしれないと思って......」
『実際ハリザを倒すにはライミーアが必要だったな』
気絶しているハリザをみる。
「まあ、あれだけ金属をつけてたら、私の銅電気鰻の回避もむずかしいわね」
皇帝をみてきたサン隊長がやってきた。
「ディシーストでしたか」
「ああ、体内に星幽石があった」
「つまりとっくに死んでたってことね。 それをネクロマンシーで操っていた」
ライミーアさんがうなづいた。
『あいつら皇帝は限界といっていた。 動かせなくなったということか?』
「奴らも無制限に術をつかえるわけじゃないってことだ。 だからこそ生け贄がいるんだろう」
「なんとか、おさまったみたいね」
「ええライミーアさん、一時町は騒然としてましたけど、いまは落ち着いていますね」
あれから数日後、サン隊長はソル皇太子として生存を公表した。 そして皇帝が白き聖者に操られていたことなどを、臣下や国民に伝えた。
『みんな納得するのかよ』
「みんな圧政で苦しんでいたからね、 それが事実かどうかはさておき、皇帝がいなくなったんだ。 快く受け入れるだろう」
「そうね。 これで共和国との和平交渉を進めてもらえるわ。 とりあえずの戦争危機はさるでしょうね」
ぼくたちは城へと呼ばれていた。
「まっていたぞ。 三人とも、よく来てくれた」
そうサン隊長は正装ででむかえた。 ぼくたちは跪く。
「いえ、閣下におかれましては......」
「堅苦しいのはいい。 まだ皇帝でもないし楽にしてくれ」
「そうなんですか?」
「ああ、各地の領主がまだ懐疑的なんだ。 なにせ死んだことになっていたからな。 偽物なんじゃないかと疑っている」
『確かに、急に死んだ皇太子がでできて、皇帝が死んだといわれても、信じるものはいないかもな』
「そういうことだ。 確かに皇太子として面会したことのあるものは信じてくれたが、他の者は...... まあいい、それより和平交渉だ。 この共和国との緊張状態をときたい、貿易も必要だからな」
「そうですね」
その時、あわてて城へと兵士が走ってきた。
「ソルさま! 大変です! 共和国内の議事堂でテロが発生したとの報告です!! 多くの死傷者がでているとのこと!」
「なっ!?」
「まずいわね...... 和平交渉の前に」
『おいおい、やばいぞ。 このままじゃ、戦争になる』
「ああ、前皇帝が命じたとなれば、戦争は避けられなくなる。 共和国にいる白き聖者がやったのか......」
「ソルさま。 二番隊は気づかなかったのですか?」
「......議事堂はさすがに入り込めるものじゃない。 我々でも接近はできない場所だった」
「つまりは内部に手の者がいたってことね」
『どうする!? 戦争になる!』
「犯人を見つけ出すしかない。 内部犯なら、まずはカイル隊長に相談しよう!」
「私はその間、戦争が起こらないよう内部はおさえよう。 ただそちらが攻めてくれば抑え込めん頼むぞ」
「わかりました」
ぼくたちはすぐに共和国に戻った。
「ああ、まさか議事堂をやられるとはぬかった。 今、国は混乱している。 なにせ政治家の半分は死んだからな」
カイル隊長がくやんだ。
「そんな...... それじゃ」
「ああ帝国へ報復すべきだとの声があがっている。 ヤングマンが抑えようとしているが、世論もそちらに傾いている」
シュリエさんがそういった。
『だが、帝国はサン、いやソルが和平交渉をしようとしているのに』
「そうはいってもねえ。 政治家あんなに殺されちゃったら、報復しないわけにもいかんでしょ」
椅子に座っていたエルダリィーさんが天をあおいだ。
「隊長、どんなテロなんですか」
「どうやら、体が爆発したようだ。 そこに星幽石の痕跡もあった」
「それって......」
「真人教と同じってことね」
ライミーアさんがうなづく。
『やはり、帝国じゃなくて白き聖者かよ』
「だろうな。 だがそんなことはいま関係ない。 国民の声も戦争へと向かっている」
ミーシャを警戒しつつ、シュリエさんがいった。
「それでエルダリィー、国安はどう考えているの」
「そうっすね。 あの時、シニア議員主催の晩餐会にいったシニア派議員たちが爆発した犠牲者だと調べがついてますよ」
ライミーアさんにエルダリィーさんがこたえる。
「それって...... 反シニアに見せかけるため」
「おそらく、とはいえ、シニア議員が仕組んだことを証明しないと、この戦争は止められないわね......」
『証拠なんてあるのか』
「星幽石の痕跡があるということは、ネクロマンシーだったはず。 だからその者を捕らえれば証明はできる」
「そうだ。 もう各隊にそれは伝えていてシニアをマークしている。 いまだ親帝国派や和平派がいるからな。 クルスとミーシャ、お前たちはアイディアタイムスをおってくれ」
カイル隊長がそういう。
「リストですか?」
「ええ、国民を焚き付けるような記事をだしているわ」
『もともとシニアとの繋がりもあるけど、新聞を売りたいだけなんじゃないか』
「いや、やつには何かある......」
カイル隊長は真剣な顔でいった。
「みな、それぞれ探ってくれ。 絶対にこの戦争をとめるぞ!」
「了解!!」
ぼくたちはそう決意し動く。




