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第四十八話「ハリザの裏切り」

「我々二番隊はずっと白き聖者ホワイトセイントをおっていた」 


「ハリザさんは二番隊だったのか」


「ああ、あのときは俺はマフィアに雇われて、クルスにあったわけだ」


 そう二人からきかされる。


『だったら、こっちに情報をよこせよ! なんでなにもしない!』


「わるかったな。 それはお前さんたち六番隊が信用できるかはわからなかったからな」


 そうハリザさんがなだめるようにいった。


「総隊長からも接触は禁じられていた。 私に尾行がつく可能性があったうえに、おそらくお前たち六番隊や各隊が自力で黒幕にたどり着くと信じてのことだ」


「それで...... でもこの間のテロなどは必要な情報ぐらいは伝えてくれてもよかった。 あれがもし成功していたら、戦争になっていましたよ」


「それらはちゃんと連絡はとったさ。 アイディアタイムや帝国のことをカイル隊長から聞いただろう」


「あっ、他の隊の情報って」


「ああ、俺たちの得た情報だ」


『でも、なんでそこまで秘密裏にうごく』


 そうミーシャにいわれてサンとハリザさんは顔を見合わせうなづく。


「ひとつは総隊長の命だ。 一番隊には裏切り者がいる。 他の隊にもいただろう」


(ベルトやティナ長官。 確かに他にもいるかもしれないな)


「そして二つ目は我々二番隊の隊員はみな帝国出身者だからだ」 


「帝国...... 亡命者たちですか?」


「まあそうだ。 俺たちは帝国から逃げたり、追われたりしたものたちだ。 お前たちはそれをしって俺たちを信じられるか」


 ハリザさんはそういう。


「それは......」


『そういや確か噂になっていたな』 


「そういうことだ。 微妙に文化や言葉の違いなどが長く接すると違和感をもたれるからな」


 サン隊長はそう首をふる。


「そして、一度疑いをかけられると、我々の情報が隊自体に混乱をきたすだろう?」


 そうハリザさんはおどけるように両腕を曲げていった。


「......確かに情報が嘘かもしれないと、判断を鈍らせますね」


『じゃあなんで今ここにきた?』


「これこそが、我々の目的であり、総隊長ロードとの約束だからだ」


「どういうことですか? 目的、約束......」


「我々は国を売ったわけではない。 共和国の国民になったわけでもない。 奪われた国を取り戻すために、共和国に協力していたのだ」


 そう真剣な目でサンはいった。


「共和国に協力? 奪われた国、あの白き聖者ホワイトセイントにですか」


「ああ、やつらはこの国を奪った。 皇妃を使い、皇帝を操り人形にしてな」


 サンは唇をかみ拳を握る。

 

「それをなぜあなたがしっているんです? 帝国の人とはいえ、そんなことは......」


「このかたはカエルム皇帝の実子、皇太子ソルさまだ」 


「えっ?」


『皇太子...... 確か死んだって』


「そうだ。 そうしないと追手がくるからな」

 

 サン隊長がうなづいた。


「この国にいるとき、かつてよりネクロマンサーに興味があった私は、師であるネクロマンサーに教えをこい、ネクロマンシーを使えるようになっていた。 それを試していたときに、私はみてしまったのだ」


 サン隊長は思い出すようにいう。


『あのフィーメイルの儀式みたいなやつか』 


「ああ、その儀式で衰えた二人目の皇妃【ミズ】が若返っていった姿をみた」 


「それって......」


「ああ、フィーメイルだ。 あいつは若返りで三人目の皇妃になった」


 ハリザさんがそううなづく。


「それをしった私を狙って、やつらは暗殺をしかけた。 私の師であるネクロマンサーは命をとして私を救ってくれた......」

 

「それで共和国に亡命したんですね」


「そう。 そこで接触してきたロードと約束した。 そして共和国との和平の代わりに、この国にすくうやつらを倒すのを協力するいう約束をした」


「それが約束か」


「私はやつらを倒し、帝国の民を救う。 本当はもう少し情報がほしかったが、城内部に潜入する機会はそう多くはない。 ここまでかなりの数の部下をうしなったからな」


『皇太子がいるなら、あのフィーメイルたちを倒しても共和国との戦争にならないんだな』


「本当はライミーアさんに力を借りたいけど、このチャンスは逃せないか」


「そうだ。 力を貸してくれ」


『それなら早くいこう』


「いや、およそあの儀式は一時間といったところだ。 もう蝶が現れる」


「しかも日中は城の中を何かが監視している。 攻めるなら夜、あの儀式は毎日しているからな」


 そうハリザさんはいう。


「だとするなら、あの儀式は若返るだけじゃないってことだ。 なにか別の意図もあるのか......」


「それらを阻止するにも、明日の夜、やつらが儀式を始める。 深夜に攻撃を行う」


『わかった』


「わかりました」


 そして次の日の夜になった。


「そろそろ深夜か」


 ぼくとミーシャ、サン隊長、ハリザさんは部屋を抜け通路を走り抜けると、奥にある階段を降りてうす暗い地下へとむかう。


 かなり深く降りると、そこは通路になっており、古い鉄の格子のあるいくつかの牢獄が並ぶ。 最近は使われていないようで格子の鉄は錆びている。


「ここは昔罪人を捕らえていた牢獄だったらしい。 私もここには入ることを禁じられていた。 あの時興味本意で覗いたことでこうなったがな」


 サン隊長はそういった。 


 通路を奥に進むと、更に下へと続く階段があった。 



 そこを降りると、石の台が並べられている。 しかしその台にはなにもなく。 人もいない。


『どういうことだ』


「これは......」


「ふふふっ、ようこそ」


 振りかえると、皇妃フィーメイルとリジェクトと二人のフードの人物がそこにいた。 ぼくたちは構える。


「はめられたのか......」


「皇太子、お久しぶりですね。 お元気そうで何よりです」


 そうフィーメイルが微笑む。


「貴様......」


「魂の儀式は毎日してるわけではないの。 毎日しているように見せかけただけ、あなたに来てもらうために......」


 フィーメイルはその目を細め輝かせている。


「......私を呼び寄せたのか」


 サン隊長は唇を噛む。


「ええ、皇帝がもうだめそうなの」


 そういうと、ぐったりした老人がフードの人物に抱えられている。 その目は虚ろでなにかのモゴモゴと口を動かしていた。


「父上......」


「そう皇帝は薬や脳をいじったことで、もう廃人、さすがに臣下も亡命があいついでるから、新しい皇帝が必要なのよ」


 そうフィーメイルはほほえむ。


「それでサン隊長か」


「ふふっ、そういうこと。 あなたは死んでなかった共和国にさらわれたということにして、皇帝に即位してもらう。 調べられても本物だものね」


『それで自分が......』


「ええ、私は若返って新しい皇妃になるわ」


 そう嬉しそうにいった。


「そううまくは......」


 ぼくはとっさにサン隊長を横に突き飛ばした。 蹴りが空をきる。


『おまえ!!』


 ハリザさんが飛びかかったミーシャをかわして、向こう側に移動した。


「あーあ、外しちまった。 当てれば一撃だったのに、あの人厄介なのにな。 殺っちゃだめなんだろ」


 そうハリザさんはため息をついた。


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