第四十五話「実験体サードの真実」
「お前は...... ファウスト」
「ようこそ黒き使徒の、雷銘のライミーア」
その軍服をきた巨漢の男はそういった。
「......なるほど、罠だったというわけね」
「レジスタンスは本物だ。 彼らは今頃、包囲され拘束されているだろうがね」
「レジスタンスを一網打尽にするための策略ね......」
「そういうことだ。 そのためにラストを送り込んだ」
「これも白き聖者の策というわけですか」
ぼくが聞くとファウストは不快そうな顔をした。
「白き聖者、あの胡散臭いネクロマンサーどもか...... 我らは誇りある帝国軍人だ。 あのものたちなどの力など借りはしない」
(ちがうのか)
「君たちには、ここで実験台にでもなってもらおう」
「実験台......」
「ああ、ここは人体実験も行っている。 特にネクロマンサーの強化実験だ」
「強化実験」
「通常のネクロマンサーより、はるかに強いディシースト適合者を作る実験だ」
「そう、でも、お断りさせていただくわ」
「......なに」
『彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 骸黒豹』
ミーシャがぼくの鞄から飛び出し、拘束するタコをきりさく。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 蜂鳥弾」
「ぐあっ!!!」
ぼくの放ったハチドリがラストを撃ち抜いた。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 銅電気鰻」
「ぐああああ!!」
「がああああ!!」
ライミーアさんのウナギが奥の兵士たちを感電させ、ファウスト以外は倒れた。
「くっ......」
「どうやら、感電は避けたみたいね」
「つまり、こちらがはめられたというわけか」
「ええ、今ごろレジスタンスはとっくに撤収しているわ」
(そうライミーアさんはアイリンさんにそう伝えて帰した)
「だが...... 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【鰐武装】《アリゲーターアームド」
ファウストはその軍服をワニの皮膚のようにかえた。
「あれは!! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 雀蜂実包弾」
スズメバチはファウストに当たったが弾かれる。 ライミーアさんの電撃も効かず、そしてミーシャの爪も傷ひとつつかない。
「そんなマグナムが通らない!!」
『くっ、私の爪も効かない』
「わたしの電撃も効かないようね」
「砲撃すら通さない武装だ。 そんな程度の攻撃など効かない」
「そんな大型の魂を扱えるということは、あなたも強化人間ということね」
「そう...... ここでつくられた強化ネクロマンサーは、特殊な大型の魂を扱える。 大きな魂ほど制御が難しい。 最悪、術士本人を襲うこともある。 それに適応したものを薬物などで作り出した。 それが私だ。 お前たちも実験台にしてやる。 光栄に思うがいい」
そういうとファウストの左右の腕の装甲がワニの頭になった。
「......お断りするとさっきいったでしょ」
(だが、あの装甲を破る方法が......)
「大丈夫、わたしに任せなさい」
そうライミーアさんがまえにたった。
「ワニの噛む力は1トン、人間などに防げはしない」
「これだけはもう二度と使いたくなかったけど......」
そういうとライフルをもつ。
「ふん、どんな弾だろうが、この装甲は貫けぬ!」
地面を壊しながら、ファウストがせまる。
「貫くんじゃないわ。 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。【火食鳥】《カソワリ》」
ライフルが大きなダチョウのような鳥になると、その巨大な三本の足の爪でファウストを蹴った。
「ぐふっ!!」
ファウストは飛び地面に転がる。
「がっ、な、なんだ......」
「このヒクイドリの蹴りは120キロはあるの。 装甲は貫けなくてもあんた自身に衝撃は伝わるわ」
「ば、ばかな...... そんな動物、普通の術士が操れるわけが...... き、きさま、まさか脱走した実験体【サード】か......」
そういうとファウストは意識を失った。
「助かりました。 あのままラストを信じていたらみんな殺されていました」
そうアイリンさんが礼を述べる。
研究所から戻ったぼくたちはアイリンさんと合流した。
「それで皆さんは」
「アジトは帝国に見つかりましたから、皆バラバラに...... でも必ずこの国を取り戻してみせます」
そういって捕縛した将軍を連れて去っていった。
「取りあえず、将軍を手に入れたいまは、無謀な行動を行わないでしょう」
『だな』
「研究所は爆破したし、戦略が整うまではうごないでしょうね」
『それにしても、ライミーアよくわかったな。 ラストが嘘をついてたって』
「私はあの研究所出身なのよ。 あの警備を簡単に破れるわけないわ。 軍の心臓だもの」
「でも罠のために兵力を減らしていて、簡単に侵入ができましたね」
「ええ、あそこを破壊した方がいいのは間違いない。 私にとってあれは忌むべきものだったから......」
そうライミーアさんはそういう。
(ライミーアさんが参加するといったのは、そのためか)
『よくあそこから逃げ出せたな』
「ええ、十二年前の帝国との戦争で、独断で動いていたカイル隊長が侵入してきた。 あの人と戦ったけど負けて連れ出されたの。 あそこで隊長に助けてもらわなかったら、外の世界もしらずただの兵器としていきてたわ」
そういうと懐かしそうに空をみながらほほえむ。
「任務のひとつは終了したわね。 さあ次の任務へと取り掛かりましょう」
そういってライミーアさんはウィンクした。
「次の任務って...... まさか!!」
「とばすわよ!」
『いえーーい』
ライミーアさんは車のスピードをあげた。




