第四十四話「研究所の罠」
女性はアイリンさんといい、彼女はレジスタンスのメンバーだった。 町をでて、しばらく車では走ると小さな集落につく。
そこは静かな村で目立ってかわったところはなく、荒れた畑があるだけだった。
「ここが、我々のアジトのひとつです」
「ここが......」
「我々は普通の国民がほとんどですので、こういう集落に紛れているんです」
そこから普通の民家の前に車を止めた。
「ここです。 どうぞ」
アイリンさんにいわれて中へとはいる。
(こんな小さな民家に...... アジト)
中にはいり、奥の部屋に入る。
その部屋にあった家具を動かすと地下への扉があった。
「なるほど、地下にあるのか」
梯子で地下に降りると洞窟のような通路がある。
「ええ、私たちはこうやって、いくつかの村に地下通路をほって隠れています」
アイリンさんはそういった。
薄暗い通路を進むと小さな明かりが見える。 殺風景なその場所には銃で武装したものたちが集まっていた。
「黒き使徒の方々ですね。 私はレジスタンス、反帝国民主同盟のリーダー、【ラスト】といいます」
そうそのなかにいた精悍な顔立ちの青年があいさつをした。
「私はライミーア、こっちはクルスです」
そうライミーアさんはいった。
「それで話の方なのですが」
ラストさんは本題を切り出した。 ライミーアさんはうなづく。
「ええ、あなた方の要求の武器、食料、医療品などの物資は提供します。 今あなた方のいっていたルートを通って物資が輸送中です。 今日中に届くでしょう」
ライミーアさんの言葉に周囲がわいた。
「それは助かります。 いま同士たちが帝国各地で戦っていますが、圧倒的に戦力差があり苦境なのです」
「......しかし失礼ながら、現状レジスタンスが帝国を打倒するのは無理だと判断しています」
そうはっきりとライミーアさんがいう。
「正直不満を背景に賛同者がふえたとしても、帝国軍は多い。 各地での戦いも芳しくはないでしょう。 物資は提供しますが、我々も無駄にあなたたちを死なせたくはない。 ここは戦力が整うまで我慢をおすすめします」
ライミーアさんの言葉に周囲のものたちは沈黙しているが、その目は覚悟しているように感じる。
(それはわかっているのか。 それでも......)
「......そうですね。 ですが、このまま圧政に従って、先もないままただいきるのはもはや限界。 我々はもはや引くこともできません。 それにいま大きなチャンスが訪れています」
そうラストさんは拳を握りいった。
「チャンス......」
「ええ、ある施設を攻略できれば戦況を覆せるかもしれません」
「ある施設ですか......」
「研究所と呼ばれている実験施設です」
「研究所......」
「そこで兵器の開発をしているらしく、それを奪取できれば敵の戦力をそぎ、かつこちらの戦力をふやせます」
「......ですが、そのような場所警備も厳重では......」
ぼくがいうとラストさんはうなづく。
「ええ、かなり。 ですが今なら虚をついて総攻撃をかければ勝てると調査ずみです。 我々レジスタンスの兵力をつぎ込み必ず攻略します......」
「......では私も同行します。 ネクロマンサーなので、すこしは役に立つでしょう」
ライミーアさんがそういった。
「それはありがたい! しかし本当にこられるつもりですか...... あなたには得がありませんが......」
ラストさんは感謝ししつも困惑してそういった。
「ええ、私もこの国出身ですから、この国には思うところがあるんです」
そうライミーアさんが答えた。
「そうですか...... 私どもとしてはネクロマンサーの参戦は心強いです。 襲撃は明日です。 今日はここでお休みください」
ぼくたちはその日、アジトでやすむ。
「本気で参戦するつもりですか......」
「ええ、あなたたちは帰っていてくれる。 これはどうしても気になるの。 私のわがままだから......」
『いくに決まってるだろう!』
「ライミーアさん一人でいかせられない」
ライミーアさんはすこし考えると沈黙する。
「......止めても無駄か。 わかったけど、必ず私の指示で動いて」
「わかりました」
『おう!』
ぼくたちはレジスタンスとともに行動することになった。
次の日、レジスタンスについて地下アジトの通路をしばらく通り、別の村からの地上にでる。
「この先の山に隠された研究所があります。私どもの兵も集めています。 先に合流をアイリン頼む。 すぐ追い付く」
「はい」
アイリンさんが先導してくれた。
「ラストさんは?」
「後方の追跡や尾行がないかを確認しています。 あればこの作戦は中止します。 総兵力なので失敗はゆるされませんから。 この先は厳重な警備がしかれているので、ゆっくり行きましょう」
「アイリンさん。 すこしいいですか......」
ライミーアさんはアイリンさんをよんで話をした。
ぼくたちはレジスタンスの人たちと合流すると、追い付いたラストさんと先行して研究所へ偵察にきた。
目の前の山を背にしてかなりの警備の兵力がみえる。
「確かに警備は多い、ここを制圧するにはかなりの兵力が必要ですよ」
ライミーアさんが望遠鏡でみている。
「ええですが、ひと月に一度、研究成果をみに帝国の将軍【ファウスト】がやってくるので、その時警備が将軍に集まります」
そうラストさんはいう。
「それで今日、そこに混乱を起こすんですか」
「ええ、混乱すれば将軍の護衛に相当数の兵力をつかいますから、そのすきにここを制圧、装備を奪取してこの研究所を破壊、逃走します。 できれば将軍を捕縛、最悪でも殺害できれば、かなりの打撃になるでしょう」
「......なるほど、可能かもしれませんね。 わかりました。 それで計画は」
「私と共に侵入して、外と中で挟撃できればかなり有利になります。 一人でやるつもりでしたが、ライミーアさんとクルスさんがいてくれれば成功率は上がるでしょう」
「かなり危険ですが、試してみるかちはありそうですね。 でもこの警備侵入が可能でしょうか」
「ええ私のディシーストならば......」
ぼくたちはラストさんのディシースト、【蛸外套】《オクトパスマント》で擬態して研究所内へとはいった。
「ラストさんはネクロマンサーだったんですね」
「ええ、元軍に所属してました。 だからこそリーダーに選ばれたのです」
「一体、なぜレジスタンスに」
「圧政で国民は疲弊しています。 軍人は国と国民を守るため、なのに守るどころか苦しめていますから......」
そうラストさんは表情を曇らせながら答えた。
研究所にはいると研究員が動き回っている通路をぬけ、大き部屋へとはいる。 そこには様々な銃器などもおかれている。
(これはティナ長官が使っていた機銃か...... やはり帝国のものだったのか)
「将軍の到着まであと30分ぐらいですか」
「......ええ、あとは煙幕や爆薬で、混乱させここに味方を引き入れ、武器を奪取します。 あれは......」
ラストさんがいい、奥にある部屋をみつける。
「なんだ...... ここは」
そこには研究員はおらず、広い空間があり、がらんとしている。
「なにもない、ラストさん...... ぐっ!」
マントがタコになりぼくたちの体を拘束した。
「これはどういうこと!」
「みたままですよ」
そう笑うラストさんに奥から大勢の兵士がやってくる。
「よくやった...... ラスト」
そう軍服をきた男がいった。




