第四十一話「ザガールの変貌」
「貴様はザガール!」
シュリエさんが声を上げる。
(あれが元国王)
「様をつけたまえ。 白銀のシュリエ。 この国の英雄だった君が、まさか共和国に屈するとはね」
そう貴族のような出で立ちのザガールは口髭をさわった。
「お前はもうただの市民、いや罪人だ。 捕縛する」
「そうはいかない。 私は国を取り返すのだ。 私の国をね」
「お前の国などもうない」
「もう戻るさ。 なあビエルダ」
「............」
「ビエルダ。 こんなやつと手を組んだのか」
「解放には帝国のつてがいる。 共和国よりはましだろう...... あの戦争でどれだけ仲間が死んだと思っている。 クイン、テリア、ムードみんな死んだ」
「こいつの圧政が介入を招いたんだぞ。 しかも帝国から武器を国内に持ち込んで共和国を挟撃しようとした。 だから共和国に侵攻されたんだ」
「............」
「そのものはお前とはちがい、祖国への忠誠があるのだ。 裏切り者シュリエ」
「なにが忠誠だ。 散財と愚策で国を潰した暗愚が、お前の独裁がこの国を壊した」
「き、貴様! まあいい...... もうすぐ帝国から兵士がやってくる」
(あの作戦が失敗したのに、また帝国が......)
「......元々この国は帝国は友好関係にあった。 だけど共和国との戦争には参戦も協力すらしなかった。 そんな帝国が何の利益もなく手を貸すと思うんですか」
ぼくがそういうとザガールは余裕の笑みを浮かべる。
「嫌なことをいうガキだ。 ......確かにな利益なき行動に帝国は兵はださん。 だがこの国には利益はある。 やつらは星幽石を必要としているからな」
「この寒い土地にそんな多くの家畜などいないのに、夢想ですか」
「いるじゃないか家畜なら、共和国に与したおろかな家畜がな」
「なんだと! それはこのエルバスの住人のことか!」
シュリエさんがそう声をあげビエルダをみる。
「ふざけるな! 何のために俺たちが戦ったと思っている! ビエルダ!」
「......それはこちらのセリフだ。 この国のやつらにガキの頃から孤児の俺たちは何をされてきた」
「それは......」
「俺たちは疎まれ、蔑まれ、そして挙げ句には戦争に駆り出された。 戦争が終われば、今度は戦争に巻き込まれたのお前たちがいるからだ、と罵られたんだ。 こんなやつらのためになぜ俺たちは仲間は死んだ」
「......人は弱い、どこかに理由を求めなければ、我が身におきる理不尽にたえられなかったんだ」
「その理不尽を俺たちが受けなければならない理由がどこにある。 ここにいるのは皆、戦争後いく宛もない元兵士だ......」
そういって口をむすんだ。
「そうかザガール、町の住人たちが俺たちに冷淡なのは、お前たちが脅していたからか」
「ふふっ、私のやり方反抗するやつらを星幽石にかえる。 それでいいのだろう」
「そうねザガール」
ザガールの後ろからリジェクトが現れる。
「リジェクト! やはり白き聖者! 帝国と繋がっていたか」
「さあ、どうかしら...... でもあなたとミーシャが私と来てくれたら話してあげるわよ」
『ふざけるなよ!』
「ふざけてなんかいないわ。 あなたたちはこっちがわなんだもの。 仲良くしましょう」
『うるさい!! だまれ!』
ミーシャは地面をかけ、リジェクトへとむかった。
「きた! や、やれ!」
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【氷雪蠍】《ホワイトスコーピオン》」
ザガールの後ろにいた数人のネクロマンサーが唱えると、大量の白い蠍が現れた。
「くっ!」
ミーシャは飛び退いた。
「な、なんだ!?」
「く、くるな!!」
「ぎゃあああ!!」
「ぐああああ!」
ビエルダの兵士たちが白いサソリに襲われている。
「やめろ!! ザガール!」
ビエルダが叫ぶ。
「悪いがビエルダ、お前たちはもういらんのだ。 私には白き聖者がいるからな」
事も無げにザガールはいいはなった。
「き、貴様!!」
「私はこの国を白く、美しい国にしたい。 戦うしか脳のない薄汚いお前たちに国に残られても困るのだよ」
そう口もとに笑みを浮かべる。 ビエルダたちはゆっくり凍りついていく。
「させない! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 散弾蟻」
放った弾丸がサソリに向かうが触れた瞬間凍った。
「あれは氷のサソリ!!」
「ああ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 氷海鷂魚!」
シュリエさんは星幽石のナイフをクモにさし、氷のエイを作ると、それを操ってサソリたちを凍らせた。
「なっ!? ばかな! あのサソリが凍るだと!! お前たち応戦しろ!」
「蜂鳥弾」
『甲虫!』
「がっ!」
「ぐはっ!」
後ろのネクロマンサーをぼくのハチドリとミーシャのカブトムシが貫く。
「ああ、これじゃ、もう無理ね」
「何とかしろリジェクト!」
「なんとか? かまわないの」
「ああ、なんでもいい! やつらを殺せ! この国は私のものだ!」
「そう......」
「な、なんだ...... これはああああああ!!」
リジェクトがザガールに触れると、ザガールの体が変形し始めた。
「なんでもいいんでしょ。 あの二人は殺さないけど......」
そういってリジェクトは笑う。
「あああああああああ!!」
ザガールの体から骨がでて体を包み込み、巨大なサソリのようになっていく。
「これは!?」
「生屍か!」
「ガアアアアアッ!!!」
サソリはこちらに向かってせまってくる。
『くっ! こっちにくる! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 丸綿羊』
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 石鍬形!」
ぼくたちはその突進をなんとか石のディシーストでとめる。 サソリはその長い尾で石を貫こうとしてくる。
「グギャアアアアア!!」
「まずい!! かなりの力だ!」
『ああ、そんなに長くはもたないぞ!!』
「少しだけ時間をくれ!」
シュリエさんが後ろにはしる。 そして凍ったエイの氷を砕き出した。
「なんのつもりだシュリエ...... もう運命だと諦めろ。 もうお前には力もない」
「俺はあきらめない! ここからでて知った。 自分も人間の可能性もな!」
「可能性......」
「昔の俺は、ただ戦うしかなかった」
「そうだ、俺たちはそうするしかない」
「ちがう本当は色々あった、それを考えることを放棄した。 諦めて逃げたんだ。 戦うという安易な方法に逃げた。 その力を他に向ければよかった。 それに気づかされた」
「......俺は運命だと諦めたからきづけなかったのか」
「いま気づいただろう!」
シュリエさんは自分のナイフをほりあてる。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 氷海鷂魚無反動砲」
シュリエさんがバズーカを肩に乗せはなつと、氷の砲弾となったエイは巨大なサソリを両断した。




