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第三十五話「帝国の影とテロの予兆」

 夜になると、車がつき髪の長い金髪の女性が新聞社のビルからでてきた。 その女性は車に乗る。


「あれがリスト...... ずいぶん若いな」


「ああ、追うぞ。 ガリッ」


 氷をかんだ。


『だけど、車だと追いかけるとばれないか』


「問題ない...... 彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 氷蜥蜴アイスリザード


 シュリエは小さな針を氷にさすと、氷は小さなトカゲになった。 トカゲはするすると車に近づきくっついた。


「遠くからあれを追跡する」


『お前、どこに氷をもってんだ?』


「これだ......」


 リュックにアイスボックスらしきものをいれている。


「さっきのは星幽石の釘ですか」 


「そうだ。 俺は氷を使うからな」


『なんで氷なんだよ。 使いづらいだろうが。 ほらあれもう冬眠したんじゃないか』


 トカゲはただの氷のようになった。


「それでいいんだ。 走ってるうちに溶けるが、星幽石はあのままくっ付く。 そうしたら俺の術だからそのまま追跡できる。 氷がついていて見つかると怪しまれるからな」


「なるほどだからトカゲを」


「ああ、それに俺は北のエルバス出身だから、氷があると落ち着く。 落ち着くと術をうまく扱える。 ガリッ」


(確かに自分との相性や精神状態で術の効果はかわる...... それで氷か。 でもエルバスって確か......)


 リストの乗る車を遠くから追跡すると、高級なホテル前に来た。


「ここだ......」


 ぼくたちはすこし離れた安ホテルにとまる。


『侵入なら私だな』


「いや高級ホテルだ。 ネコなんて見つかればすぐ大騒ぎになる、ミーシャは待機だ。 俺たちは術を使い潜入するから体を見張ってくれ。 すぐ戻れないから敵の襲撃に無防備になる」 


『なんだと!!』


「ひっ!」


 シュリエさんに飛び付こうとするミーシャをとめる。


「ミーシャはここにいて、ぼくが【金属箔蛾】《メタルホイルモース》で調べるから」


『しかたないな......』


「俺も【雪虫】《スノーバグ》を送ろう。 これは盗聴機だ。 四番隊の新発明らしい。 それとクルス視覚だけ共感はできるか」


「ええかなり体力を消耗しますが、なんとか」


 ぼくたちはリストの入ったホテルへと換気口から侵入した。 部屋をいくつか見ると、最上階にある部屋にリストは座っていて、その前にスーツの男がいた。


「これは、ヤングマン議員ですよ」


「ああ、間違いない...... やはり接触していたな。 だが取材と言うわけではなさそうだ」


 そのまま近づき部屋の天井に張り付く。


「リストさん。 これまたずいぶんな記事を書かれましたね。 『帝国との和平推進などと親帝国派議員ヤングマンまた妄言をはく』ですか」 


「ふふ、そのぐらい大袈裟に書かないと、新聞は売れませんから......」 


「おかげで脅迫やら殺害予告などが事務所に殺到してますよ」


 そうヤングマンは苦笑いをしている。


「ですけれど、その分帝国派や穏健派の支持や寄付をうけ、安定した政治活動をおこなえるのではなくて」


 そうリストは笑みを浮かべた。


「ふふっ、まあ、そうですね。 私が次期大統領を狙えるのも確かにあなたたちのおかげですよ」


 そうヤングマンはおおきく笑った。


「......思っていた関係とは違いますね」


「ああ敵対という風には見えないな」 


『なんかなあなあたな』


 ぼくたちはそう話した。


「それで、今日わざわざ、会いたいとはなんのご用ですか?」


 警戒ぎみにヤングマンがいった。


「こちらは報道のプロ。 あなたとの関係性がばれるような下手は打ちませんの。 今日お越しいただいたのは、【シニア】議員の提案にのってもらいたいと思い来ていただいたのです」


「......彼は反帝国の急先鋒、それはさすがに。 いままでも裏では彼には補助するように画策してきましたが、提案というのは、私を支えるものたちの反発を受けます......」


 さすがにヤングマンも躊躇しているようだ。


「シニアは最古参の議員、帝国との戦争は彼によって引き起こされたとまで言われる大物」


 クールなシュリエさんも驚いているようだ。


「ええ、まさか裏でヤングマンと繋がってるなんて......」


「ええ、もちろんいままでのように表向きは反対していただいて結構です。 ですが帝国がこの国になにかを仕掛けようとしているとの情報をとらえています」


「......帝国が、まさかテロですか」


「その際、あなたがシニア議員の提案に反対をされると、今後あなたの立場が危うくなりますよ」


 そうヤングマンの反応をうかがうようにリストはいう。


「......テロか、起これば一気に開戦に近づくな。 だが帝国からはそんな話は聞いていない。 が君たちの情報はいままで間違ったことがないほど正確だ。 一体なんのつもりなんだ。 まさか本当に戦争をするつもりか」


 ヤングマンは眉をひそめた。


「彼らがなにを企んでいるかはわかりません。 しかし起こってからでもいいので、シニア氏の提案をお受けください」


「......そうですね。 まずは国安や軍を動かしましょう。 もしテロが起これば、民意がおおきく傾いて提案に乗るしかなくなりますし」


「ええ、それで構いません」


 そういってリストは笑みを浮かべた。



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