第十六話「獄炎のリガント」
「殺された......」
撹乱していたベルトと合流したソアラさんがそういった。
「狙撃か。 どこから撃ったんだ? ここの近くの家からだと射線も通らないだろ」
「わからないけどただの銃じゃないですね。 銃創に焦げたあとがない。 銃ですらないかも......」
『やはりディシーストを使ったか』
「でも、なんでブロストを?」
ベルトは首をかしげると、ソアラさんが首をふる。
「捕まったから帝国のやつらが殺したんじゃないのか」
『どうかな。 それなら最初に殺してるだろ』
「でも、優秀な諜報員だから、帝国もいかしときたかったんじゃないかな」
「ベルトのいうとおり、裏切るかどうかを泳がせてたかもしれないな。 捕まって情報を吐きそうだったから殺したとか」
(ブロストはミーシャもリジェクトのこともしらなかった。 もし泳がせるつもりなら、ブロストに情報は教えないな。 それなら帝国の線もまだあるか。 ただ反乱の話をしていた...... あれは嘘か)
「取りあえずいまは、ここの住民の保護と囚人の確保が最優先だ」
「そうだね。 連絡はした。 もうすぐ軍の増援がくる」
「軍人さん! 大変だ!!」
そう住民の一人が慌ててはしってきた。
「どうしました?」
「囚人たちが!!」
「えっ!?」
すぐ町の外を確認する。 望遠鏡でみると遠くから囚人たちが四人程歩いてきていた。 そしてこちらを警戒するように止まった。
『なんだ。 まさかこの町を襲いにきたのか』
「いや、それならすぐくるはずだ。 ブロストと組んでたんだろう。 しかも奴ら......」
ソアラさんが額から汗を流した。
「あれは...... くそ! 奴らがきた! もう他の囚人を仲間にしたんだ!」
「軍が間に合わなかったのか!!」
捕らえた囚人たちが怯えている。
「あれは写真の囚人ですか」
「......そうだよ。 10人の中の四人...... 最悪だ。 まさか結託してるなんて」
ソアラさんの唇が震えている。
「俺たちは、ブロストにだけしたがってた訳じゃない。 あいつら五人に脅されて協力しただけだ...... すぐ降伏しろ! 奴らは異常だ!」
「ああ! じゃないと住民ごと俺たちも皆殺しだ!」
捕縛した囚人たちが騒いでいる。
「どうする!? このままだと囚人たちもまた暴れるよ!」
ベルトが焦りそういった。
「あの四人は名前だけならぼくも知っている......」
『ああ、首都を火の海にしたテロリスト【獄炎のリガント】、政府への反乱を首謀した少数民族レスル族【憤怒のレイス】、町ひとつの住民を毒殺した【狂毒のクネア】、そして味方殺しの元軍人【魔刃グール】......』
そうミーシャは外をにらんでいった。
「援軍が到着するまで、もうすぐだ。 あの四人を何とかこの町にいれないようにしよう。 今この町の状況を把握できてないから、近づいてこない」
「入り口の見張りがいないし門を閉じているからだろう。 軍が駐留していると思っているのかもしれない」
「......そうだね」
ソアラさんとベルトはうなづく。
『ああ、それに今ならこちらから奇襲をかけられる』
「ミーシャのいうとおり、守っていると攻められたとき住人をたてにとられる。 先に仕掛けよう」
「俺たちはなにもしない! お前たちが殺されたら奴らに投降するぞ!」
「ああ、あいつら、他の囚人に指示にするために残ってた。 断った奴らは皆殺しだった......」
囚人たちは怯えるようにいった。
「それでいいです。 いまはぼくたちを信じておとなしくしていてください」
「わ、わかった......」
「俺たちも奴らに従うのはいやだからな」
何とか囚人たちを説得して、ぼくたちは横壁からでて、回り込み後ろから奇襲することにした。
「それでどうします。 一気に鎮圧しますか」
ぼくがいうとソアラさんが首をふる。
「いや、分断しよう。 毒を使うやつがいるクネアだ。 近くだと巻き込まれる」
『それなら、一対一で倒した方がいい。 相手は強いが私たちは相手の情報がある』
「ぼくがリプルで転がって土煙を出す。 それをみんなで攻撃する。 それなら四人は別々に距離をとるはず、ぼくはそのままレイスを狙う彼は四番隊に捕らえられた。 あの能力ならぼくが適任だ」
ベルトはいうと、ソアラさんはうなづいた。
「それならクネアは私がいける。 私のヘビは毒に耐性があるからな」
『......私は魔刃をやる。 サルもヒラメもヘビもヤマアラシも近距離用だ』
「それなら、残りのリガントはぼくだ」
作戦を考えると、ぼくたちは後ろにヒラメで回り近づく。
「鋼穿山甲」
『土猿』
「柔形蛇」
「散弾蟻!」
ベルトのセンザンコウが地面を転がり囚人たちを土煙に巻く。
「後ろから!?」
「奇襲か!」
「......離れるぞ」
それぞれでてきたものへと次々攻撃をはなち、互いに十分な距離をとった。
「なんだ。 その制服軍人だな。 子供までつかうとはよほど人材不足なんだな」
スキンヘッドの男がそういった。
「リガントだな。 投降しろ」
「すると思うか」
そういいながら笑みを浮かべると、こちらにゆっくりと近づいてくる。
(さっきのアリで足を撃ち抜くつもりだったのにかわされた。 遠くだからよくみえなかったが。 あの散弾をどうやって防いだんだ)
「ここから逃げて帝国にいくのか」
「......くくくっ、帝国なんかにいくかよ」
(なんだ...... 亡命じゃない、じゃあ......)
リガントはもってたガスライターをつけた。
「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 【熱太刀魚】《ヒートスキャバードフィッシュ》!」
ライターの火はのび燃える刃のようになった。




