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第十五話「不見のブロスト」

「それでどうだった」


『あの建物には数人の男女がいて、上階にあの写真にあったブロストという男がいた。 どうやら命令しているのはあいつだ』


 帰ってきたミーシャはそう説明する。


「よりによってブロストかよ」


 ソアラさんは天をあおいだ。


「どんな人物なんですか? 聞いたことがない」


「......帝国のネクロマンサーだ。 【不見のブロスト】、諜報活動をしてた男だ」


「うん、数年前、二番隊がブロストが国内にいるとき逮捕したんだ」


『前線の私たちがしらないはずだな』


「それでどうする? 捕縛するにも倒すにも、かなり厄介なやつだぞ。 確か姿を消すらしい」


 ソアラさんがいうと、ベルトはうなづく。


「姿をけす?」


「そうブロストは姿を消すから、不見。 脱走を手伝ったものたちにどんなディシーストを渡されたかわからないけど、戦うなら一人にするしかないね」


「それなら、私とベルトで町の中で撹乱だな」


「じゃあ、ぼくとミーシャで建物内でブロストを捕縛する」


『よし、夜のうちに行動だ』


 ぼくたちは作戦をたて、行動を開始した。



「なんだ!? この騒動は住人の反乱か!」


「わからない! ただ町のあちこちで煙が上がっている!」


「軍が攻めてきたの!」


 そう建物の囚人たちは騒いでいる。


(どうやら、始まったようだな)


 そのすきに上階へとむかう。


 窓際に首にマフラーをまいた囚人服の男がいる。 写真の男、ブロストだ。


「なんの騒ぎだ。 まさか奴らじゃないだろうな...... 約束に遅れているし、やはり信用ならんか......」 


(やつら...... 誰のことだ)


『姿が見えてる。 すきをついて、さっさと捕縛するか』


「いや......」


 何かその場所に違和感を感じる。


「まずい!!」


 ぼくは足を何かにとられ壁に投げつけられる。 


「かはっ!」

 

『くそ! なんだ! 石猿ストーンエイプ!」


 石のサルをミーシャがだした。 


「軍のネクロマンサーか」 


 落ち着いたようにブロストはいった。 その手には銃が握られている。


(何かがいる。 だが見えない! これがやつのディシースト!) 


「ネクロマンサーがこれだけいるここまではいってこれるということは、国安か黒き使徒ブラックアポストルか。 しかもネコのネクロマンサー...... どういうことだ。 共和国は新しいディシーストを作ったのか」


(帝国の諜報員なのにしらない。 じゃあ、リジェクトたちとは関係ないのか)


「まあ、いい」


 ストーンエイプが壁に打ち付けられると、ブロストの姿が消えた。

そして銃をうちだした。


「ミーシャ!」


『大丈夫だ...... だけどディシーストの姿がみえない。 やはり擬態の能力か』


 ミーシャと石のサルは土煙のなかから現れ、こちらに近づく。


(もしくは器になってる素体か。 どちらかで姿が視認できない。 それなら)


「彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 散弾蟻シェルショットアント


 散弾であたりをうつ。 だが反応はない。

 

「見えないものに当てるのは無理な話のようだな......」


 そうブロストの声が聞こえると銃弾がとんできた。 ぼくの前の石のサルがそれを防ぐ。


(姿が見えないから、迂闊に動けない! ただあいつも動けないはず、アリで!)


「ふっ、このアリで探知か。 甘いな」


 アリたちが次々姿を消していく。


(読まれた! ブロストの姿が見えないのに! まさかディシーストが複数いるのか!)


『なら直接やるまでだ! 彷徨える魂よ、我が声に答えよ! 石山嵐ストーンポーキュパイン


 床から大きな石の大きなネズミが現れた。 それはヤマアラシだった。 


『いけ!』


 石のヤマアラシは後ろを向くと、そのまま背中を針のようにたたせ部屋を走り回る。 ドンと音がするとカメレオンが姿を現す。


 その時、ミーシャが吹き飛ばされ壁にぶつかった。


『うっ!!』  


「ミーシャ!!」

  

(カメレオンを一匹倒したのに、銃弾以外の攻撃も!? 二体以上いるのか!)


「なかなかやるな。 そのアリといい研究所がほしそうな逸材だな。 本来ネクロマンサーには扱える動物が決まっている。 珍しい動物は全員が使えるわけじゃない」


 そうブロストの声だけがきこえる。


「......彷徨える魂よ、我が声に答えよ。 蜻蛉ドラゴンフライ


 ぼくの放った連続ではなった弾丸は小さな二匹のトンボとなり左右にとんだ。 なにもないところで音がすると、そこにカメレオンが姿を現した。


「なっ! なぜ! 場所が! ぐあっ!」


 そしてもう一匹がなにかに当たると、マフラーを被ったブロストの姿が現れる。


「そのマフラーにカメレオンをつけていたんだな」


 ぼくは足に銃弾をうけ、膝をおるブロストに近づき銃をつきつける。


「なぜ...... わかった。 アリはすべて潰したはず。 なんだ、地面が濡れている。 上か!」


 天井にぼくが放ったイモリが張り付いている。


「さっきの散弾はブラフか! 水滴、これでカメレオンの位置を調べていたのか!」


『これで勝負ありだな』


「くっ......」 


 ブロストが頭を下げた。  


 ぼくたちはブロストを捕縛して町にでると、あっさりと脱獄囚たちは投降した。 やはり罪の軽いものたちは脅されて協力していたらしかった。



「それで、帝国が人型のディシーストを作ったのか」


 ぼくたちはフロストを縛り、会議場の外で尋問していた。  


「なんのことだ...... 人型のディシーストなどつくってどうする。 人形劇でもしてるとでもいうのか」


 そうブロストは嘲笑した。 


『こいつ、しらきるつもりか!』


(いや、そんな感じじゃない。 ミーシャのこともしらなかった。 もしリジェクトと仲間ならしってるはず)


「あなたたちを脱獄させたものたちは何者です」


「......しらんな。 看守が爆死したあと、奴らは突然現れ牢をあけて、星幽石を渡してさったからな」


『そんなわけないだろ。 何の利点もなく、お前たちを解放してそいつらに何の得があるんだよ』


「しるか。 奴らのことは初見だ。 帝国の諜報員なら、私を逃がすか、さっさと殺している」


(確かに、捕まった諜報員を助けるでもなく、口封じに殺すでもない

おかしいな。 やはり帝国とは関係ないのか......)


「ああ、そういえば、この国にいまも反乱を企ててる奴らがいるのは知っている。 おそらくそいつらの仕業じゃないのか」


 ブロストはせせらわらった。


「反乱を企ててる奴らとは何者です」


「......そうだな。 条件次第では話さなくもない。 上ととりつげば、がっ......」


 いいきる前にブロストはうなだれる。 その額から血が流れた。


「なんだ!? 狙撃! ミーシャ伏せて!」 


 ぼくたちは伏せてしばらくして見ると、ブロストは絶命していた。

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