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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第2章 〜生きてこそ得られる幸せってあるでしょ〜

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第2章 その35

重たいシーンが続いてますが

よろしくお願いします。。。

「くっそ!」


 空いたスペースに立ちふさがるフィーレ。


 散り散りになった侵害者の破片が彼の目の前に集まっていく。


 そこを目がけてフィーレが両の拳を交互に繰り出した。


 拳は赤い火をまとっている。

 火撃の魔法だ。

 乙女からの精霊力の伝送がなくても使える初歩的な技。

 しかしそこから五発ほど敵に浴びせたのち、状況が一変する。


「おわあぁぁぁっ!?」


 エティの左手首にあるルビーが煌々と輝く。

 同時にフィーレの拳から一抱えはあろうかという巨大な火柱が立ち、瞬く間に侵害者を焼き尽くしてしまった。


 侵害者が消えると、魔法の火柱も四散した。

 常の暗さを取り戻した森の中。


 エティは木漏れる月光だけを頼りに腕の中にいる少年衛士に語りかけた。


「ねぇ……お願いよ。元気になって。元に戻って」


 神殿で使った時はうまくいったはずの癒しの術が意味をなさない。

 いや。守護者のかすり傷は治している。

 それだけではない。

 岩場のヒビ割れさえ直しているというのに、なぜ目の前の少年の傷は癒えない?


「無理、です、よ……泣かないで、ください」


「いやよ。どうしてあんた、身を投げ出したりしたの?

 命を大切にするって約束したじゃない……話が違うわ」


「すみません……これまでずっと

 身をていして、お守りする……訓練しか。してこなくて。

 いざとなったら……やっぱり習慣って……怖いですね?

 ごめんなさい……」


 エティは少年衛士をきつく抱きしめて首を振る。

 力なく抱き返していた彼の手から力が抜けた。

 だらりと垂れ下がって。

 それが意味するところを悟った彼女は、引きしぼるような大きな声で泣いた。


 キーペが痛みを堪えた面持ちでエティのそばに立つ。

 それだけだった。

 触れるでもなく。

 声をかけるでもなく。

 ただそばにいるだけ。


 それでもたぶん、この時のエティにはそれで充分だったのだ。


「消えない……?」


「コインにならない衛士、初めて見た」


「残ること、あるんだ……」


 守護者たちは戸惑っている様子でエティの腕の中にある屍を見つめていた。


 エティが、ソリに載せたいから誰か手伝ってと頼むと、一番鍛えられた身体をしているワーテルが進み出た。


 小柄な少年衛士は革の鎧を着ていてもワーテルにとっては軽かったらしい。


 水冷の守護者はエティの手から衛士を受け取ると、姫抱きの要領で寝かせた体勢のまま彼を抱き上げた。


 ソリに向かって歩き出すワーテルの、隣に立ってエティも続く。


 キーペも岩場から儀礼具を取ってからふたりを追いかけた。


 残りの守護者もぎこちない足取りでソリへ向かう。


 後方から小走りに駆け寄ってきたキーペがエティの隣まできて言った。


「エティ様。彼は……もしかすると、帰りの道中で消えてしまうかもしれません」


「消える……? どういうこと?」


 まだどうなるか分かりませんが。と前置きしてキーペが続ける。


 意を決した口調は、言いづらいことをあえて言う時のものだ。

 エティは、暗がりでは分かりづらいだろうが、真摯な眼差しを注いでキーペの次の言葉を待った。


「誤解を恐れずに言いますと、これまで盾要員で駆り出されていた衛士の方は、皆様道具扱いだったのです」


「道具? って……キーペ!?」


「怒らないでください。その対応には理由があります。

 衛士の方々は皆様、侵害者に命を断たれるとその亡骸がコインに変化するのです」


「コインに?」


 キーペは、ひとつうなずくと話を続けた。


これがゲームならエティが泣いてる間に

守護者たちの彼女への信頼度が上がる効果音

鳴りまくりだろうなと思います。


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!


※書きためたストックがなくなってしまったので

次回からペースダウンするかもです。

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― 新着の感想 ―
衛士さん……。装備もオカシイと思ってたけど、訓練もオカシイのか……。 人外よりも人の方がコワイ世界だ。 事態が収束したらエティさんにはその辺の改革を頑張ってほしいと思いつつ、ひどい話に萌えつつ続きを楽…
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