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おい今度の救世の乙女は何だか想定外だな?〜誰に理解されなくてもあたしは信じた道を進むことにした〜  作者: 夜朝
第2章 〜生きてこそ得られる幸せってあるでしょ〜

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第2章 その34

よろしくお願いします。。。

ラスト重たい展開になってしまいました。

気楽に明るく読みたい方は、さくっと飛ばしてください。

「なあ。本当にいかなくていいと思うか?」


「本人が良いって言ってんだぜ。野暮な質問してんなよ」


「でもなあ。新入りだってがんばってんのに、おれらがいかねってのは」


「お前な、どっちにしろだぜ。

 神官殿は今回、ソリに術をかけていかなかった。

 何があるか分からねぇ。数人はソリに残るべきだ。

 それがオレらで何の不都合がある?

 ねえだろ。充分、理にかなってる」


「ソリなあ……神官殿、おれらに大義名分を与えてくださったのかなあ……」


「あんなガキにそこまで気が利くかね」


「まあなあ」


 儀式が終わるのを待っている間。

 夜になって闇が濃くなると、オオカミの群れがソリに近付いてきた。


 衛士たちは無駄口を辞めて腰の剣を抜く。


 それから群れのリーダーが倒されてオオカミたちが撤退していくまでに十分はかからなかった。


 * * *


 キーペとフィーレが岩場に片手を置くと、二つに分かれた光と闇が彼らのほうへ集まっていった。


 シャンパンのような淡い金色の光がフィーレのほうに。

 赤ワインのような黒っぽい紫色の闇がキーペのほうに。

 そして岩場の穴には墨のような真っ黒い闇だけが残った。


 無言で同意を求めてキーペへ視線を向けるエティ。


 キーペは空いている右手でうやうやしく岩場の穴を示した。


 エティは軽く息を吸い込み、それを止めて利き腕を前へ出した。

 慎重に伸ばす右手。

 その中指の先に強力な静電気のような刺激が走る。

 エティは、ぱっと手を引っ込めて身構えた。


 それと同時にキーペが告げる。


「来ました! 侵害者(インベーダ)です!」


 岩場にとどこおっていた真っ黒い闇が数日前に神殿で見た影絵のようにふくらんで、エティの頭上で、にたりと笑った。


 少年衛士がエティの前まで回り込んでくる。


 それとフィーレが彼女へ向けて左手を伸ばすのとがほぼ同時。


 少年衛士とぶつかりながらフィーレと握手したエティは、どうしたらいいの、とキーペへ顔を向けた。


「大気に満ちている精霊力をバングルの精霊石へ送ってください!」


「ちょっとそれどうやって!?」


「大丈夫です、開通の儀式を思い出してください。できます!」


「おい来るぞ! バングル守れ、エティ!」


 握手を解いたフィーレがエティと少年衛士を背にする形で割り込もうとするが、もう岩場との間の距離が足りず入り込めない。


「エティ! さがれ!」


 ワーテルは背後からエティに近付き彼女の両肩をつかんで後ろ斜め下へ引いた。


 エティは転びそうになりながら後退して二歩、三歩。たえかねてしりもちをつく。


 その直後、ふくらみきった月闇の侵害者が弾けて、幾筋もの鋭い刃となって彼女たちに襲いかかった。


「きゃあぁぁぁ!!」


 エティは左手で右手首をかばったが、そうすると今度は左手首にはまっているフィーレのバングルががら空きになってしまう。


 そこへフォローに回ったのが少年衛士だった。


「エティ様!!」


 少年衛士は細い身体を投げ出すようにしてエティの前面を覆い、びくっ! と何度か跳ねて口から呼気を漏らすと、ぐたりと動かなくなった。


「ちょっとあんた!? ムリすんなってあれほど──ねえ! しっかりしてよ!?」


 力も入っておらず。

 急速に失われていく温もり。


 それを腕の中に抱きながら、エティはただ両の目から涙をこぼした。

 ぎりっと奥歯をかみしめる。

 黒い瞳の奥で剣呑な光がひらめいた。

この物語にはないのですが、もし誰も死なないルートがあるなら、何度でも周回して見つけたいですよね。


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
ここまで読ませていただきました。月闇の侵略者が、ついに…そして少年衛士が身を挺してエティを。今まで必死に衛士たちを守りたいと思ってきたエティだけに、衝撃は大きそうですね。 でも相手は本当に手強そうで…
盾になる前提ならせめて装甲板を仕込んでおくとか……。 でも、それで動きが鈍くなったら本末転倒か? 死なないルートを目指すなら、装備や戦術を改善すればあるいは……。 いやしかし、不定形が相手だと難しい…
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