第2章 その30
よろしくお願いします。。。
次の雪積場まで、ソリの車中ではキーペ以外皆うたた寝しており、言葉を発する者はひとりもいなかった。
一台目から二台、三台目までは列車のようにつないであり、一号車に乗っているキーペの精霊力だけですべてを動かしている。
三台目の方でも昼食後の温かさとほどよい振動とのおかげでみな眠っていたそうだ。
二時間たっぷり寝たおかげてフィーレは全回復している。
エティはと言えば「若いって良いわねえ」とつぶやいて自分の肩を叩いていた。
「婆くせえ」「ババアだぜ」とひそひそ言葉を交わすフィーレとワーテル。
エティは「聞こえてるわよ」と目つきを鋭くした。
雪積場にやってきたのは、今回はエティ、ワーテル、キーペ。遅れてゴルドも続いた。
「ゴルド? 見学したいの?」
少女と見紛う愛らしい風貌のゴルドは、傾きかけた陽に照らされた白金色の頭を傾けて答える。
「いいえ。サポート役、今回はボクの番なんです。
本当は適任なのは土岩属性のソイル様なんですが、不在なので」
「なるべくサポートが必要なくなるくらいがんばるわね」
「はい。期待してます」
ゴルドに漂っていた緊張感が少しゆるんで代わりに安堵が顔をのぞかせる。
やっぱり心配だったのだろうか。
見た目で判断してはいけないことは分かっているが、エティは守護者の中で一番、守らなければいけないと感じるのがこのゴルドだった。
守らせるなどとは論外だ。
逆に、一番心配いらなさそうなのが守護者たちの最年長であるワーテルだった。
度の強そうな眼鏡の奥からこじんまりした青い瞳がこちらを見つめている。
彼は落ち着いたもので、普段は自身が身に着けている通信用の魔石が付いたペンダントを、いざという時のためにソリの見張りに残してきたウードへ預けていた。
「それでは始めましょう、か……?」
向かい合って立つエティとワーテルの間へ進み出て、エティの右手首にあるバングルの中から一本をつまんで引っ張ったキーペだ。
その環にはアクアマリンがはめられている。
が、キーペの様子がおかしくなったことに気付いたエティは首を傾げて少年神官に問うた。
「どうしたのキーペ? 何かあった?」
「いえ……あの。おかしいな。そんなはずはないんだが……」
「キーペの超感覚の鋭さは皆一目置いてるんだぜ。
気にせず言えよ」
「ワーテル様……はい。実は……月闇の極が近くにあるようなんです」
「なんだって!?」
「まさか! ゼーソンにあるんじゃなかったんですか?」
「どこどこ? どんなもの?」
急展開が欲しくてやりすぎたかと心配しつつ。
たまには意外性が欲しかったんですー。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




