第2章 その21
よろしくお願いします。。。
「あんたどうしようもないわね。全然分かってないじゃない!
いい? あたしはね、それじゃだめだと言いたいのよ。
こういう時に必要な覚悟は、いつでも死ねることじゃなくて
──何があっても生き抜いて、必ず待っている人の元へ戻る覚悟なのよ!」
「分かってないのはエティ様のほうだ!
待っててくれる人なんか、ぼくたちにはいないんだから!」
「──!!」
そこでエティの脳裏に思い浮かんだのは、見送りで彼の父親が言っていた言葉。
──五人目ともなれば子どもでもムダ飯食らいだ
「口べらし、なの?」
エティがフィーレからそっと手を離した。
少年衛士へと真正面に向き直る。
うつむいていた少年衛士は目元を手の甲で拭って強くうなずいた。
「神殿にお仕えすることに決まった時、戻ってくるなと言われました」
涙声だ。
エティは少年衛士の頭を抱いてぽんぽんと叩いた。
「ばかね。間に受けないで。
そのままの意味じゃないのよ──
仕事に就くってことはね、退路をふさいで真っ直ぐに愚直に向き合わなきゃモノにできないものなのよ。
あんたが生きて帰ったら。
あのお父さんきっと笑うわ。きっとよ」
彼女の胸に抱かれた頭を左右に振り、少年衛士が言った。
「神殿に雇われてから、今日、久しぶりに会ったんです……。
でもお父さんは、ずっと嫌そうに顔をしかめてた!
ぼくのこと、きっともう会いたくもなくて。
死んだら良いって思ってるんだ!」
「ばか!」
平手では足りないと思ったのか。
エティが胸から引き剥がした少年衛士の頬へくり出したのは、かたく握ったこぶしだった。
殴られた少年衛士が雪の上を転がった。
目を真ん丸にして殴られた頬を押さえている彼が息を呑んだのは、エティの目から滴がとめどなく流れ始めたからだった。
エティは緩めたこぶしで自分の胸元を押さえ、ぼろぼろと泣きながら言う。
「自分の子どもと、これが今生の別れになるかもしれないのよ?
本当なら『行くな』って。『代わりに俺が行く』って。
言いたかったに決まってるじゃない!
でもそれが言えないから、泣きたくても泣けないから。
全部こらえてがまんしてたら、苦虫を噛みつぶしたような顔になるの当たり前じゃない!
どうしてっ……どうして、分かってあげられないのよ〜っ」
最後のほうはしゃくり上げながらの言葉。
エティは自分の手の甲で何度も何度も涙を拭いた。
それを見て少年衛士が雪の上に正座して言う。
「申し訳ございませんでしたエティ様。
ぼくが浅はかでした。
心を入れ替えますから。
だからどうかもう泣かないでください」
「本当っに、分かった、ん、でしょうっね?」
大人になってから、こんなに感情が爆発したのは初めてのことで。
エティは泣き止もうとするが、なかなか呼吸が整わなかった。
なんか昭和のアニメでありそうな感じのシーンじゃないですか?
いや、いつもそんなに、いま風のお話は書いてないですけども。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます!




