幕間〜プロローグから第1章、その3〜
よろしくお願いします。。。
おー。とか、はーい。とか答えながら皆、寝台を取り囲み、乙女の手の指や頬、瞼、そして額に口付けを落としていく。
その後で唇にもキスをしようとするウードをフィーレがぐーで殴って止めたりもしていた。
「ん? 髪の色が──?」
「変わらない……?」
リヒトとキーぺが眠っている女性の頭を見て不可解そうに呟き合う。
彼女の腰まである髪は真白で、まるで「どんな色にも染まります」とでも言っているようだ。
それを見てとったリヒトは何やら笑みを堪えて彼女の頭を撫でた。
彼と対照的に、心配そうに顔を曇らせたのはキーぺだ。
異世界から召喚された救世の乙女は、まずこの世界に馴染むため、大気中に満ちている精霊力のうち、最も相性の良い属性の精霊をその身に取り込むことをする。
七種類ある属性のうちどれが最も相性が良いのかを判定するために、各属性の守護者から祝福を受けるのだ。
精霊を身に宿すと髪の色が変化する。
逆を言えば、髪の色が変わらない場合は精霊を内包できず、この世界にその存在を安定させることができないということを意味する。
「何だか年齢といい属性といい、今回の乙女は少々想定外なようだねキーぺ?」
「そうですね……」
「というか彼女はこのままで大丈夫なのかい? 無属性ということは精霊神からの加護を受けられないということでは……」
「ぼくもそれを気にしていました。しかし……しかし、呼ばれてきた以上、今回は彼女にがんばってもらうしかありませんし」
「厳しい規則だね。まあ私たちも可能な限りサポートするよ。な? 皆」
「ああまあ」
「それはもちろん」
「ありがとうございます。では守護者の皆様は引き続き棺へとお進みください。
いつものことで恐縮ですが、これまでの記憶を消すか残すかを選択いただけます。
消す場合は丸テーブルの上にある小瓶に入った薬草水をお飲みください。
記憶を残す場合はそのままで棺の中へどうぞ。
全員の入棺が確認できましたら3470人目の救世の乙女を覚醒させます。
皆様のご健闘を幾重にも深くお祈り申し上げます。
──今度こそ精霊神のご加護がありますように!」
七人の守護者はそれぞれ丸テーブルへ歩み寄ったが、皆、何もせず、それぞれの棺へと収まっていった。
毎回大抵一人か二人は記憶を消して次へ向かうのだが、今回はめずらしくリヒトを除く全員が過去を覚えている状態でのスタートとなった。
──覚えていることに深い意味がある周回が始まる。
それを察知したのかもしれない彼らは、すぐに棺の中で死んだように深く眠りについた。
ようやく幕間が終わりました。
次回は本編に戻って、乙女らしからぬ乙女が活躍…すると良いなと思ってます。
がんばれエティ!
お読みいただきありがとうございました。




