第2章 その8
よろしくお願いします。。。
それを聞いたキーぺの表情は明るかった。
「ああ! それは月闇の精霊ですよ。安心してください。
侵害者じゃありません。
そっか、エティ様いつも眠ってたから、今まで見たことなかったんですね」
「あれ侵害者じゃないの? そっくりだったけど」
「角がなかったんでしょう?
侵害者は精霊が悪化したものなんですよ。
見た感じの違いは角くらいです」
「そうなの?」
エティは、ぽかんと口を開けてキーぺを見つめた。
キーぺは、くす。と笑って彼女の手を取ると、そっと誘導して食堂へ向かう。
「はい。怖がらなくても大丈夫ですよ。
むしろ精霊たちは精霊神様が遣わす、人々の営みの守り手だと言われています」
エティは手を預けて誘われるまま食堂に入った。
テーブルのそばまできて離された手で頬に触れ、ふうん。と相槌を打つ。
「それじゃ守護者のみんなは、精霊を操ったり出来るの?
戦う時に使役したり」
「あー、それには向き不向きがあるようで。
ゴルド様はお得意なんですけど。
後の皆さんは精霊力をそのまま敵に叩きつけたり。
剣の形にして斬りつけたりなさいますね」
「えーと、ゴルドっていうとあの、見た目女の子みたいな……」
「そうですそうです。その方です」
「器用ってことかしらね」
「そうですね、そんな感じで」
食事の間、本日の話題はもっぱら精霊について。
「月闇の精霊って、窓には映らないのにカーテン越しには見えるのね」
「月闇は窓から部屋の中を覗くのが好きなんですよね。
なので皆、カーテンを閉めて隠してるんです。
布でさえぎるので影になって映ります。
エティ様、カーテン開けてみたんですか?
あんなに怖がってたのに、勇敢ですね」
「ごめん逆よ。
開けたまま寝てて、目が覚めた時に思い出したの。
ああ、そう言えばキーぺがカーテン閉めるように言ってたわって」
キーぺはそれを聞くと苦味の混ざった笑みを浮かべた。
「良いんですけどね、別に。
覗かれるだけで中に入ってくるわけじゃないので。
エティ様が良いならカーテン開けてても」
「うーん、閉めておくわカーテン」
「それがいいと思います」
キーぺの顔から苦味が消えた。
エティは、そうねえ。覗かれるのは嫌よねえ。と、うんうんうなずいてから、ポリッジの椀を傾けて残りを口内に流し込むと、ごくりと飲み込んで両手を合わせた。
ごちそうさま。
と、ふたりでハモる。
同時に席を立ち、使用人たちに礼を告げると足早に食堂を出た。
通路を進みながらエティが問いかける。
「今日も練習よね? いい場所は残ってるの?」
「いえ、それなんですが……」
キーぺは言いづらそうに言葉を濁した。
これまでのんびり日常でしたが、
次回から徐々に冒険の気配が混ざり始めます。
エティには頑張ってもらうしかないのです。
ふぁいと!
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!




