表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

少年探偵と黒猫

作者: 斗成

 私の名前はシアン。16歳の少年探偵だ。いつも冷静沈着で、常に状況を分析する力を持っている。そんな私には、もう一つのパートナーがいる。それが黒猫のクロだ。彼はただのペットではなく、私の探偵活動を助けてくれる存在なのだ。見た目は普通の黒猫だが、彼には超自然的な能力が備わっている。


 ある日の午後、私たちはいつものように公園で過ごしていた。その日、特に目立った事件などなく、ただ穏やかな時間を過ごしていた。しかし、突然クロが耳をピクンと立て、周囲を警戒し始めた。彼の本能が何かを察知したのだ。私はクロの様子を見て、何かが起こる予感がした。


「行こう、クロ。何かが待っている。」


 私が立ち上がると、クロもすぐに私の後をついてきた。公園を出て、近くの商店街に向かうと、異なる雰囲気が漂っていた。人々はざわつき、数人が集まっている場所を見つけた。どうやら、地元の宝石店が強盗に襲われたらしい。


 私たちはその群衆の中に入り込み、話を聞いてみた。宝石店の店主が、逃げた犯人の特徴を喋っている。


「その男は黒いコートを着ていて、青い帽子をかぶっていた…」


 私はすぐに思考を巡らせた。青い帽子というのは、容易に目立つ。宝石店の近くの防犯カメラを確認するだけで、犯人がどんな人物か特定できるかもしれない。しかし、その場で行動するのは時期尚早だ。


「クロ、君の力を借りたい。」


 軽く声をかけると、クロは私の指示を理解し、近くの暗い路地へと一目散に向かった。彼は超自然的な能力で情報を収集することができるのだ。クロが路地を探る間、私は周囲の様子を観察する。怪しい動きをする人を見逃さないように。


 数分後、クロが戻ってきた。彼の瞳には、明らかに何かを見つけたような光が宿っていた。


「どうだった、クロ?」


 彼は小さく鳴き、私の元に特定の方向を指し示すように動いた。どうやら犯人が逃げた方向を見つけたらしい。私たちはすぐにその方向に向かう。


 その道を進んでいくと、目の前に小さな倉庫が見えてきた。クロは倉庫の前で立ち止まり、私にじっと見つめてきた。中からはかすかな声が聞こえる。私たちは慎重に近づき、隙間から中を覗いた。


 そこには、黒いコートを着た男が、宝石の入ったバッグを抱えていた。私の中で何かが閃く。彼が見えたのは、まさにその瞬間。逃げる準備をしているのだ。


「クロ、行くぞ!」


 私は躊躇うことなく倉庫の扉を開けた。男は驚いて振り向く。私のその瞬間の冷静さが、まさに彼が捕まる鍵だった。


「警察が来るぞ!そこのバッグを置け!」


 男は一瞬戸惑ったが、すぐに逃げようとした。私は瞬時にクロの動きを指示する。


「クロ、行け!」


 クロは一瞬で男の足元に飛び込む。彼はつまずき、バッグを地面に落とした。その隙に、私は男を捕まえに駆け寄る。冷静な判断で、彼の腕を掴み、警察が到着するまで確保した。


 ほどなくして、警察のサイレンが響き渡り、男が何とか捕まった。彼の手口の冷酷さは、私が想像していた以上だ。しかし同時に、クロの協力がなければ成し遂げられなかったことを実感した。


「ありがとう、クロ。」


 私がクロを撫でると、彼は満足そうに目を細めている。次から次へと事件が起こるこの街で、私たちの冒険はまだ始まったばかりだ。冷静さと推理力を駆使しながら、これからも様々な謎を解いていくことになるだろう。


 少年探偵と黒猫の冒険は、まだまだ続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ