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世捨て魔王  作者: R氏
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想定外



 俺の名前はラッシュ。レスティア王国に拠点を置くCランクの冒険者だ。

 冒険者を初めて3年、ようやくCランクまで来た…。長かった…本当に。

 最初は街中でドブさらい、その後は薬草採取……正直何度冒険者をやめようと思ったかわからない。


 だがそんな下積み時代を経て俺はここまで来た

 でもCランクとは言ってもまだ上がったばかりだしそこまで強い魔物を倒してきたわけじゃない。だがそれでも俺はこれまで毎日怠らずに鍛錬を続けてきたし、そんじょそこらの魔物に負けるとは思っていない



 ――――そんな時だった。緊急クエストでワイバーンの討伐のクエストが貼り出されたのは

 このクエストは通常ならBランクのクエストだ。だからもし――Cランクの俺がワイバーンを討伐出来たら即Bランクに上がれるかもしれない…!


 Cランクになった直後にこんなチャンスが巡ってくるなんてな、ようやく俺の時代が来たって事なのかもしれない



 このクエストは緊急クエストなので低ランクの冒険者達も一応参加できる様になっている

 まぁ低ランクの冒険者が来た所でワイバーンを倒すなんて出来るわけも無いのだが…


 だから今このキャンプ場にはEからBまでの様々な冒険者が集まっていた


「うわー…Bランクの冒険者が5人もいるよ…」


 彼らを出し抜いてワイバーンの討伐をするのは生半可な事じゃないぞ…


 だが――やれるだけやってみるか



 そんなこんなで皆の準備も完了し、今は皆でワイバーンが発見されたとされるポイントに向かっていた

 さすがにちょっと緊張してきたな…。最近ようやく自信がついてきたと言ってもワイバーンなんて見るのも初めての魔物だ


 腐っても飛竜の仲間、弱い筈が無い


 だがBランク冒険者が5人もいるこの一団は正直過剰戦力に思える

 これだけの戦力があれば戦いでは無く、一方的な蹂躙になってしまうんじゃないか?



 そんな呑気な事を考えてるとどこかから甲高い魔物の鳴き声が聞こえた


「クェェエエエエエエ!!」


「来たぞ!ワイバーンだ!」


 流石にBランクの人達は反応が早い。俺が呑気に空を眺めている間にもう臨戦態勢に入っていた


「馬鹿な奴だ。この人数相手に勝てると思っているのか?」


「じゃあいつも通りチャッチャと終わらせちゃいましょう」


 ごつい男剣士と綺麗な魔法使いの女性が先頭に躍り出た

 まずいまずい!ぼーっとしてる場合じゃない!俺だって戦功を上げに来たんだ。見呆けてる場合じゃない!


 そう思い先頭にいる二人に並んだ時――――異変に気付いた


 二人が上を見上げたまま驚いた様な呆けてる様な顔をしていた

 その視線に釣られ空を見上げる



 そこにいたのは――――ワイバーンの群れだった



 少なくとも5体はいる。え、まずくないか?これ…

 ワイバーンの討伐ってBランク冒険者込みのPTで受けるクエストだよな


「うわぁぁああああああ!」


 プレッシャーに耐え切れなかったのか低ランクの冒険者が逃げ出してしまった

 確か彼はEランクだった筈、実際のワイバーンを目の当たりにして取り乱してしまった様だ


 ――――バサッバサッ!


「クゥエエエエエエエエ!」


 後方にいたワイバーンが俺たちの一団を無視し、逃げて行った彼の方へと向かっていく


 ……まずい!


「後ろを見ろぉおおお!かがめぇえええええええ!!」


 Bランクの内の1人が叫ぶ。――――だがその声は間に合わなかった

 Eランクの彼は背後からワイバーンの前足に掴まれそのまま口へと放り込まれた

 夥しい量の血液がワイバーンの口から溢れ出す


 ……死んだ?人が――こんなにもあっさりと?



「う、うわぁあああああああああ!!」


 そこからはまさに阿鼻叫喚の騒ぎだった

 俺も含め取り乱す者が続出し、まともに戦えているのはBランクの冒険者達だけ

 だが――彼らもそう長くはもたないだろう。最初に先頭に躍り出ていた剣士は既に頭が無く、他のBランクの冒険者も1人背中を爪で切り裂かれ絶命していた


 それに比べて倒せたワイバーンは一体だけ。全滅は時間の問題だった


 どうしてこんな事に…!5匹もいるなんて知ってたら当然こんなクエストは受けなかった…!

 最近いろんな事が上手く行きすぎていたから無意識のうちに調子に乗ってしまっていたのだろうか


 俺には妻も子供もいるんだ…

 「仕事をやめて冒険者になる」なんて馬鹿な事を言った俺を見捨てずに連れ添っていてくれた彼女

 まだ生まれたばかりで言葉も話せないが天使の様に可愛い娘


 冒険者稼業も安定してきて今が幸せの絶頂だった



 ――――――どうして調子に乗ってしまったんだろう


 別にお金に困っていたわけじゃない

 本当にただの気まぐれだったんだ――軽い気持ちで受けてしまった


 もしBランクになったらあいつも喜んでくれるかなーなんて……



 もう会えないのか…?そんなのイヤだ…



「――れか……誰かぁあああああ!助けてくれぇぇえええええ!!」





「――――よかったぁ…まだ生きてたか」




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