クレナードの感激
(私は今モーレツに感動していた!)
何故私のテンションがこんなにも高いのか、それはずっと気になっていたあの人間の出自に起因していた。
不思議な存在だとは思っていたがまさか異世界から来ていたなんて想像している筈も無かった。
元の世界に戻る為に私を殺すとか言っていた時は少し頭のおかしい人なのかとも思ったが、色々と話を聞いているうちに彼の言っている事が嘘ではないと思えてきたのだ。
リスト以外の者と話す事などしばらくの間無かった私には彼と話す時間が楽しくて仕方無かった。
始めは彼の不思議な強さに興味があっただけだったのだが、今ではそれ以上の感情もある様な気がしていた。
(――――クレナ。だって…
私の事をそんな風に呼ぶヤツいる!?いやいないよ!これが親しくなった者同士が呼び合うと言う愛称ってやつね!)
良くも悪くも周りから恐れられていた私には親しい者が異常に少なかった。リストの様に私の事を慕ってくれている者もいたがそれも"友達"とかいう感じでは無い――――ましてや恋人なんて存在が出来る筈も無かった。
まず大体にして男達が弱すぎるのだ。弱いくせに言う事だけはいっちょ前、そういう男を見てると虫唾が走る。だから言い寄られる度にぶち殺してきた。
でもそんな事を続けていたらいつの間にか私に言い寄ってくる男などいなくなってしまっていた。
(でも女の子が強い男を求めるのって当たり前の事よね?)
自身の強さ故の贅沢な悩みというのもわかってはいるのだが――――強すぎると言うのも正直微妙なのだ。
満足に戦い合える相手もいないし魅力的だと思える異性も自然と少なくなる。
このまま一生独身で死んでいくのかなー。なんて思ってた時に彼――――レイアを見つけた。
レイアは他の男とは色々と違った。まず私の事を恐がらない、それにそこら辺の魔族よりも彼は全然強かった。
(――――しかもあの能力…)
恐らくだがレイアは近いうちに私と同じぐらいの強さになってしまうと思う――それがいい事なのかそうじゃないのかは私にはわからないが。
強さ故の孤独を味わっていた私としては、仲間が増える事は嬉しいが彼のこれからの事を考えると多少思う所があった。
(まぁそれは置いといて!しかも異世界から来たって事だから私が知らない事もいっぱい知ってるの。行ってみたいなーレイアのいた世界に…)
レイアが帰る時に一緒に連れてってもらっちゃおっかな。とか考えているのはここだけの話だ。
更に彼が元の世界に帰りたいと言う理由、それは母親に会いたいからだと言う。
私は家族に対しての愛情なんて持っていないからその気持ちを理解出来るとは言えないのだが、それを恥ずかしそうに語る彼の姿はとても可愛らしく見えた。
あの時のレイアの照れくさそうな顔を思い出すと何故だか少しにやけてしまう。
母親を安心させる為に死ぬかもしれない戦いに挑むなんて事そうそう出来る事では無いだろう。
(でもそっかぁ…いつかは帰っちゃうのかレイア…)
彼があの紛い物の魔王に負けるとは思えない。あんな覇気も何も無い雑魚なんてすぐ倒してしまうだろう。だがそうなると彼とはもう一生会えないのかも知れない。
そう考えるともうこれ以上彼とは仲良くならない方がいいのかもしれない。そんな考えが過る。
だが彼と話すのは楽しいし、それ以上に一緒にいると不思議と落ち着く様な気もするのだ。
――――――なんだか苦しい……はぁ




