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世捨て魔王  作者: R氏
59/160

はぁ...100LV



 まさかこんな大物に遭遇するだなんて夢にも思っていなかった。


 (こいつはやばい…)


 俺の本能が全力で警告を鳴らしていた。先程までの禍々しい魔物達がどれも可愛く思えるぐらいの絶対的な強者、存在からして違う。

 ちっぽけな人間なんかが勝てる存在じゃないのは見るに明らかだった。


 (――――いや待てよ……そもそもこいつは敵なのか?)


「…ちょっと悪人に追われててね…それでそいつらを倒す為にこの森で武者修行をさせてもらってたんだ」


 この場でウソなどつかない方がいいと直感が言っている様な気がした。

 俺如きの小手先の嘘など目の前の存在にはすぐに看破されてしまう様な気がしてならなかった。


「ほう。それはここが魔王クレナード様の領地だと知っての事か?」


 (――――魔王クレナード?)


 聞き慣れた様な、はたまた今までの生活ではかすりもしない筈のその言葉に嫌でも動揺が走る。


 (……魔王!?ここは魔王の領地なのか?って事はこの森の先に俺が倒すべき奴がいるって事か?)


 それにしても魔王という存在はどれだけ規格外なのだろうか。

 竜に敬称で呼ばれる者がこの世に存在するという事に驚き、そして自分が倒すべき相手がまさにその魔王だという事に絶望が募る。

 魔王が自身の従えている者よりも弱いだなんて可能性はほぼほぼ無いだろう、そんな希望的憶測で行動するのは危険極まり無い。


 (――――どれだけ遠いんだよマジで…)


「いやそれは知らなかったな。でも俺は魔王さんに興味なんて無い。勝手に入ったのは悪かったけど特に敵対するつもりも無いし今回は見逃して欲しい」


「敵対…だと?――――奢るなよ人間如きが!」


【「威圧LV2」を取得しました】


 明確に空気が変わった。異様なまでに肌がひりつき無意識に生唾が飲み込まれる。


「人間如きがクレナード様と対等なつもりか?――――それに『魔王』と聞いた瞬間、貴様の身体は不自然に強張っていたな?我を相手に嘘が通じるとでも思ったか!」


 迂闊だった。だがまさかこんな所で倒すべき宿敵の名が出るだなんて夢にも思っていなかったのだ。誰があの時の俺の事を責められようか。


 それはさておきマズい展開になった。この様子だと戦闘は避けられないかもしれない。

 だがこんな所でこんな化け物相手に命懸けの戦いなど、出来る事ならば全力で遠慮したいところ。


「――そうか。バレていたならしょうがない。……たしかに俺は魔王とやらに対して多少思うとこはある。だが今回は本当にたまたまなんだ。追手から逃げていたらたまたまここに来てしまっただけなんだ」


 必死の弁解をする俺を遥か上空から見据える竜。嘘が見抜けるというのなら俺のこの話が嘘じゃない事もわかる筈だ。

 もしこれでダメならもうやるしかない。正直どう戦えばいいのかすら想像出来ないがこちらだって死ぬわけにはいかないのだ。


 (……例え相手が伝説上の生き物だったとしてもだ)


 やがて竜が再び口を開く。その口から発せられるであろう次の言葉に俺の命運がかかっている。

 緊張が辺りを包む――――そして



「お前を見逃す理由が見つからないな――――死ぬがいい。愚かで哀れな人間よ」


 運命は残酷にも、またしても俺の敵として襲い掛かってきた。

 奴がそう口にした瞬間、湖から大量の竜巻の様なモノが巻き上がりこちらへ襲いかかる。


「――っちぃ!…問答無用かよ!頭かったいヤツだな!」


 俺は即座に身体能力向上スキルを発動させた。スキルにより強化された脚力を駆使し竜巻の強襲を躱す。そしてすぐに竜の首元に狙いを定め風の刃を放つ。


「ふん…。くだらぬ」


 無論こんなモノで倒せるだなんて思ってはいなかったが、それでもなにかしらのアクションは起こすだろうと思っていた俺の予想は大きく外れた。

 竜は特になにをするでも無く、風の刃をその首で受け止めた。


「――っな…!」


 そしてそんな竜の判断を肯定するかの様に、その首には傷の一つも付いていなかった


 (そりゃ避けないわけだわな…。そうか…竜には鱗ってのがあるんだったな。生半可な攻撃じゃかすり傷すらつけられないわけか)



 ――――そこからは自分で言うのもなんだったが壮絶な魔法戦だった。


 水竜は先程使った竜巻の様なモノを常に複数個動かしながら、時折水のブレスをこちらへ放ってくる。

 まだそれらの攻撃は一度も直撃してはいないが、荒れ地と化した周りの森を見ればその凄まじいまでの威力が伝わってくる。

 だがこちらもやられてばっかりではいられないので反撃を試みる。

 水中にいるヤツに近付こうとすれば当然足場が水上になってしまうのでこちらが不利になるのは明らか。よってこちらの攻撃手段も自然と遠距離からの魔法に限られていた。

 生半可な攻撃ではかすり傷さえ付かない事は最初の一合で十分わかった。だから今度は最初の10倍程の魔力を込め攻撃した。


「――っなんだと?…貴様、本当に人間か?」


 すると先程までは余裕の表情を浮かべていた竜の様子が変わった。

 こちらの魔法に対し、時には移動して躱したり躱せそうにない時は俺の魔法に自分の魔法をぶつけ相殺したりして防ぐ様になった。


 そしてそんな様子を見て俺は確信した。


 (俺の刃は―――奴の首へと届き得る……!)


 だが互いが互いに遠距離から魔法を撃ち続けているだけの為、戦局は決定打に欠けていた。

 このままではジリ貧。常人と比べれば遥かに多いであろう俺の魔力量でもいずれは枯渇を迎える。

 奴の魔力量はわからないが、もし互いの魔力が切れ接近戦での戦いとなった場合、あの巨体に固い鱗―――凄まじい膂力を持つ奴の方がどう考えても有利になってくる。


「しょうがねぇなぁ…。上手く行くかどうかわかんないけどちょっと賭けに出るか」


 正面から高速で迫ってくる水ブレスを寸での所で躱す。そしてそのまま奴のいる湖まで全力で駆け寄る。



 (――――イメージするは……あの水竜が最初に俺にしてきた攻撃――――水の竜巻!)


 この湖の全ての水を竜巻にしてしまう、そうすれば奴の自由はなくなり奴のアドバンテージも無くなる。

 到底常人の思考の範疇を超えている突拍子も無い作戦だったが、現状を打開するには最早それ以外ない様な気がした。


 「……っぐ!――きっつ…!」


 予想はしていた事だが流石にとんでもない量の魔力を持っていかれる。あれだけあった俺の魔力ももう残り僅かになっていた。

 全身を襲う絶え間ない倦怠感がそのとてつもない消費量を物語っている。


「――――なっ!なんだこれは!?貴様っなにをした!」


 湖の水が渦を巻き始める。人間なんかと比べれば遥かに長寿であろう竜でさえも流石にここまで奇怪な経験はした事が無いだろう。


「死ぬ前に面白い体験させてやるよ。――――そんなでけぇ図体じゃ空なんか飛べないだろ?俺が手伝ってやるから精々楽しんで来いや」



 そして――――全ての水へ魔力が行き渡り、魔法が完成する。


 湖全ての水を巻き込み起こる大竜巻。最初は足掻いていた水竜も次第にその螺旋へと巻き込まれそのままどんどんと上昇していく。

 そして竜巻の一番上まで上がった水竜は、無防備にも空へと投げ出された。


 そんな大き過ぎる特大の的に向け、残りの魔力を全て注ぎ込んだ特大サイズの風の刃を放つ。


「――ばっ…馬鹿な!この私が、人間如きに…人間如きにぃぃいいい!!」


 その雄叫びを最後に、竜の頭部と胴体が二つに分かれた。


【LVが上がりました】


 やがて巻き上げられた湖の水と水竜の血が雨となり辺り一面へと降り注ぐ。

 そんな中、押し寄せる達成感と倦怠感に身を任せ横になった俺はステータスを確認した。



 【名 前】 ナガヒサ・レイア



 【年 齢】 18



 【職 業】 勇者?



 【レベル】 100



 【攻撃力】 950



 【魔 力】 1020000



 【耐久力】 900



 【素早さ】 1080



 【知 力】 1250



 【幸 運】 10



 【スキル】 Realization (Exist Magic)


         (Exist Skill)


       悪食


       身体能力向上 LV 3


       魔力回復力向上 LV 5


       高速再生LV 1


       気配感知LV 1


       威圧LV 2





「――――やっぱりあったか100LV」


 更にLVが100になると同時に今まで999で止まっていた素早さと知力も再び上がりだしていた。


 (これはなんかしらの壁を越えた……って事なのか?)


 あくまでも希望的憶測に過ぎないのだが、2つのステータスが1000を超えたという事は恐らくレベルも100がMAXってわけでは無さそうに思えた。


「よかった。俺はまだ強くなれるみたいだ」


 まだ全然足りない。もっと……





 ――――もっとだ







大いに励みとなりますので高評価とブックマークの方よろしくお願い致します!


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