はぁ...帰りたいな
ガサガサガサ――ッドン!
「っつぅ…」
自らの魔法の爆風で吹き飛ばされた俺は、あれからしばらく大木の枝にひっかかり宙吊りになっていた。
そこで再び自らの身体にヒールを何度も重ねがけし、しばしの休息を取りなんとか命の危機を脱していた。
そしてひとまず地面に降りる事にしたのだが――――
既に腕からの出血も止まっていたし、他に出来た新しい傷が多すぎてそちらに意識が向いていたせいだろう。
俺は自分の左腕が無い事をすっかり忘れていた。そして見事にバランスを崩し背中から地面へと落下したのだった。
(――――なんだかもう痛みにも慣れてきたわ…)
「追手は……無し…か?」
あれから1時間は経った様に思う。だが何者かがこちらの事を追ってきている、または探しているような気配は無い。
「うまく『死んだ』と思ってくれたのか?」
恐らくだが奴等はこちらが回復魔法を使える事を知らない。
あの時確かに腕の出血を止めはしたが俺の回復魔法には詠唱が必要無い。更に言うなら普通の魔法使いには回復魔法なんて使えるわけが無いからだ。
(いや、だがアルシェは俺のステータスを見たと言っていた。あの言葉が本当でスキルまで全て見られていたとしたら……
まぁ今はバレてない事を願うしか無い……か)
「とりあえずはなんとかなった…のかな。だがこれからどうするか…」
そう――――問題はこれからだった。
ひとまず追手は来ていない様だが、流石にこのまま普通に森を出てレスティアまで帰れるとは思えない。
あれだけ人数を揃えてキッチリ俺を殺しに来たのだ。外に見張りがいないとは到底思えなかった。
――――かと言ってこのまま森を進むのもそれはそれでだいぶ骨が折れそうに思えた。
何故なら――――ここは明らかに普通の森じゃない。
木立が密生していてどこからも日は差し込んでこない。時折聞こえてくるのは魔物の雄叫びと何かしらの生き物の断末魔のみ。
恐らくここはレスティアで言うアザレアの森の様な場所なのだと思う。
(……片腕も無いこんな状態で魔物と遭遇して俺は勝てるのか?)
急に色々な事が起こり他にも考える事が沢山あった為、自然と頭の片隅の方に置かれていた。
だが一先ず命の確保が出来、心に余裕が出来てしまった事で改めて思い出してしまう。
(――――俺…片腕無いのか)
「やばいなーこれ。これ見たら母さんなんて言うかな」
(やっぱり怒られるかな…いや怒られるだけならマシだ。
もしかしたら泣かせてしまうかもしれない)
色々考えていたらなんだかつらくなってきた。
「あー……――――家に帰りたいな」
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