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世捨て魔王  作者: R氏
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はぁ...ざまぁみろ



「――――――――――?」


 最早声は出なかった。なんだか体のバランスおかしい、人の体とは基本的に限りなく左右対称だった筈。

 右にあるものが左に無い。それはまさしく異様だった。


 あまりの衝撃に思考が止まり頭が追い付いていかない。

 コンマ数秒遅れてようやく何かが込み上がってくるのを感じた。


 痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱いイタイイタイイタイイタイアツイアツイアツイアツイ


「――――ッッ!ぅぁああああああああ!!」


 それは痛みであり熱さでもあった。痛みも限界を超すと熱になる事を俺は知った。

 そしてその次に訪れたのはとてつもない喪失感。

 それが片腕を失った事に対する心から来る喪失感なのか、今も延々と流れ続けている自分の血液によるものなのかはわからなかった。


 (――――どうしてこんな事になった?なにが起きた?)


 まず俺の魔法が消えた。その直後に何かが視界の端に写った―――魔法だろうか、魔法で腕を切られたのだろうか。

 当たり前の事だが未だ血は止まらない、今尚夥しい量の血が流れ続けている。


 やがてようやく思考が回復し始める。


 ――――このままでは死ぬ


 (ヒール!ヒールヒールヒールヒールヒール!!)


 無我夢中でヒールを重ね掛けし続ける。幸いな事に徐々にだが出血は止まっていった

 だがわかってはいた事だが当然腕は戻らない。


 (もう一生このまま?こんなんじゃ元の世界に戻ったって生活に困るな。

  障碍者手当てとか貰えたりするのだろうか)


 混濁を極めている脳内は次から次へとくだらない思考を浮かべていく。


 ――――俺は今落ちている。気分がとかそんな話じゃない、本当に真っ逆さまに落ちている。

 先程まで争っていた場所は結構な高さだったし、このまま落ちればいくら強くなったと言っても衝撃で死ぬかもしれない。

 腕が無くなった衝撃で乱れに乱れていた思考は未だ落ち着いてはいない、いないが死ぬわけにもいかない。

 恐らく生存本能というモノが働いた結果なのだろう、地面にぶつかる直前に俺は自身の真下に風魔法を放ち落下の速度を和らげた。


 だがそんなんじゃ着地なんてモノも勿論出来るはずが無く、容赦なく地面へと身体を叩き付けられた。


「――がはっ!……生きてる…か?」


 ――――生きている。俺はまだなんとかだが生きていた。未だに左半身には異様なまでの激痛が続いていたし、更には落下の衝撃により身体中もあちこち痛めていた。

 恐らくだが骨も何本か折れている。でも今はそんな事を気にしている場合じゃない、上から俺を見下ろしている奴等からどうにかして逃げ延びなくてはならないのだ。



 ……こんな所で終わってたまるか。



 ……俺はまだ死ねない。





 ――――――――少なくともこいつらを全員コロスまで。



 痛みがある程度落ち着き喪失感にも慣れ始めた頃、次に俺の全身を支配していたのはドス黒い憤怒だった。

 だがそれも当たり前だった。別に何も悪い事などしていないのにここまでズタボロにされ、挙句には片腕までをも奪われたのだ。



 ――――許せる筈が無い。抑え込める筈が無い。



 だがその復讐を成す為にも、今だけは惨めにもこの怒りを抑え込みこの場から逃げ延びなくてはならない。

 やがて奴等はゆっくりと降りてくる。遠くからアルシェも近づいて来ているのが見えた。


 (――――まさに絶体絶命だな……正直どうしようもないな)


 ほんの僅かだが可能性があるとすれば――――視界の右側を埋め尽くすあのドデカい森の中に逃げ込む事だ。

 勿論それでも追っては来るだろうが、こんな遮蔽物も建物も無い平地で逃げ回るよりかは幾分か逃げ切れる確率も上がるだろう。


 問題はあそこまでどう行くかなのだが、正直先程から考えていた妙案が1つだけあるにはあった。

 だが―――その作戦を実行した場合、下手をしたらその時点で俺は死ぬ。


 それくらいにリスクの高すぎる作戦ではあったが、このまま何もせずに殺されるのだけは絶対に御免だった。



 (――――やるしかないか)


 意を決した俺は己を鼓舞し最後の強がりを見せる。精一杯の余裕を見せた表情で奴等の方を向く。


「死んだら死んだでしょうがねぇ。だがそれでもこのままお前らに殺されるよりかは何百倍もマシだしな――――じゃあな」


 折れた足を折れていない方の足で支え気合で立ち上がる。そしてそのまま片足のみの力で限界まで跳躍した。

 そして自分から見て左下の地面に向け―――――巨大なファイヤーボールを放った。



 ドォォォオオオンッッ!!



 轟音が鳴り響いた直後、辺り一面を覆う熱波と爆風。

 当然至近距離にいた俺にはどちらも直撃。爆風に飲み込まれそのままの凄まじい勢いで森の方へと吹き飛ばされる。


 全身を大火傷し、更に何本か骨の折れる音も聞こえた。だが――――かろうじて意識は残っていた。


「――ッつ…!ぁっちぃ…」


 飛ばされる寸前に一瞬だがアルシェと目が合った。

 今までずっと不敵な笑みを浮かべていたアルシェも今回ばかりは流石に唖然とした表情を浮かべていた。



 ――――ざまぁみろ



 てめーらの思惑通りになんか……死んでもなってやらねぇよバーカ。



【「魔力回復力向上LV5」を取得しました】





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