はぁ...空間魔法?
――――そして至福の時間はあっという間に過ぎ去り
(し…しあわへ…)
この世界にもこんなに美味しい料理があった事に感動が留まる事を知らない。
俺はレスティア王国の王城に滞在していた筈なのにこんな美味しい料理は一度たりとも出てこなかった。
それが単純にレスティアよりもクレナディアの方が食文化が進んでいるからなのか、それとも俺の料理だけ質素な別メニューにされていたからなのかはわからないが。
(―――考えると悲しくなるからやめよ)
食事も終わり優雅にティータイムを過ごしていると、少し前からどこか他の所へ行っていたユウジンが戻ってきた。
「それで?レイア君はこれからどうする予定なの?」
「んー…特に何も考えてないんだよなぁ――――友人くんの知り合いで一番強い人ってだれ?とりあえずその人に会わせてくれない?」
そう言うと、もう今日だけで何度見たかわからない呆れ顔を浮かべるユウジン。
「本当に何も考えずに来たんだね…
ただそれなら間違いなくアルシェ様だね。でもアルシェ様はお忙しい人だからアルシェ様に会いたいならあの人の方から来てくれるのを待つしかないと思う」
(おいおいそんな事言って、来るのが一月先とかだったりしないだろうな…)
こちらに興味を持っている。とは言っていたがそれがどういった類の興味なのかが凄く気になる為出来る事なら早めに会っておきたい。
ふと窓の外を見るともう夜だった。
ユージンの家が少し街はずれの場所にあるからなのかわからないが外は既に暗かった。
そうなってくると今日のうちに出来ることはあまり多くない。知らない地の夜の街などトラブルの種しか転がっていない気がするからだ。
「実は俺さ、あんまり使える魔法の種類が多くないんだけどさ。友人くんはどれぐらい使えるの魔法」
はるばる遠い帝国まで来て、更にはその中でも指折りの実力者。
そんな彼を前に何も得の無い無為な時間を過ごすなど言語道断。今この時を有意義な物にする為、俺は彼から色々な魔法を盗ませて貰う事にした。
「ほんとに?あれだけすごい魔法を知ってるのに…?僕は少なくとも50以上は使えると思うよ」
「――――50っ!?」
思っていたよりもずっと多いその数字に自然と期待が膨れ上がる。
この世界の指標において実際にそれがどれくらい凄いことなのかはわからないが、少なくとも10個も使えない今の俺からしてみれば彼は十分偉大な魔法使いに思えた。
「すごいな!じゃあ得意な魔法とか便利な魔法とかあったら軽く見せてくれない?――――後学の為に!」
この時の俺の顔はさも悪い顔をしていた事だろう。
「うーん…得意な魔法とかはあまり無いんだよなぁ。あ、便利な魔法だったらこれとかどう?」
そう言い不意に右手を上げるユウジン――――するとそこに異空間ホールの様なモノが現れ、その中から薄手のカーディガンを取り出した。
(――――なん…だと…?そ、それはまさか……!くっ、くく、空間魔法というヤツでは無いんですかい友人様!?)
「それは……まさか空間魔法ってヤツ?」
すると少し照れた様な顔で説明を始めるユージン。
「そうだよ。まぁでもこれは使える人もあまりいないし、レイア君が使える様になるかどうかはわからないけどね」
(……馬鹿だ。馬鹿がおるぞここに!
くっくっく、笑いが止まりませんのぉ…)
「そうなのか。て事は空間転移とかも出来たりするの?」
「流石にそれは無理だよ!この魔法は収納するだけで、空間転移出来る人なんて見た事も聞いた事もないよ!」
こちらはどちらも似た様な魔法だと思っていたのだがユージンの反応を見るに両者の間には天と地ほどの開きがある様だった。
だがこれは大きな収穫だ。この魔法があれば一人旅もかなりやりやすくなる筈。
思わぬ収穫に若干興奮しながら自分の優雅な未来像を妄想していると、更なる幸運を告げるアナウンスが脳内に鳴り響く。
【「魔力回復力向上 LV1」を取得しました】
(おぉぉぉぉおお!?これは思わぬ拾い物!
友人くん…君いいモノ持ってんじゃないの…隠しちゃってもぅ…いけずなんだからぁ…)
「他には?他には何かいい魔法ないの?」
「そんなにがっつかなくても…。そもそも魔法は見せた所でそんなすぐに使える様になるわけでもないしあんまり意味無いと思うよ?」
「いいからいいから!」
そんなこんなで若干――――いやかなり引いていたユージンに半ば無理やり気味に色々な魔法をせびり、20個程の魔法を見せて貰った所でこの日はお開きとなった
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