はぁ...オッパイ
「あぁーーーーー。…暇だ」
友人くんが急いで門の向こう側へと走って行ったのを見送り、俺は詰所前を少し離れて2メートル程ある岩の上へと座っていた。
決してあの詰所の気まずい空気に耐え難かったからではない。
(……てか結局待つことにはなるんだな。なんなら普通に並んで中に入っていた方が早かったまである)
いや確実にその方が早かっただろう。やはりそこら辺のちっぽけな村とは違いこれだけ大きな国には色々とあるのだろう。なんて考えていた。
「まぁ誰がどう見ても俺のせいなんだろうけど」
それにしても周りの者の反応からしてだが先程の優男は中々に強いのだろう。個人的には全然そんな感じしなかったのだが。
あの程度でも周りからは凄く頼りにされていた様に見えた。もし俺も転移先がこの国だったならあの様な扱いをして貰えていたのかもしれない。
(レスティア王国での俺への扱いとは天地の差でしたよ。ほんとに)
「――――あー、なんか腹立ってきた」
王国に戻ったらあの城にいた奴等マジで全員一発ずつ殴ってやろうか。
そんな事を考えているとまず第一に頭の中に思い浮かんできたのはあのエドとか呼ばれていた賢者の事だった。実際あのエドとかいう賢者はどれぐらい強いのだろうか。
周りのフードを被った者達が敬意を払っていた事からまず間違いなく魔法使いの中で一番強いのはあいつだろう。
(調子こいて喧嘩売って負けたりでもしたら笑えないくらい恥ずかしいし惨め過ぎる……やっぱりまだやめとこう)
あまりにも暇を持て余した俺はちょっと衛兵達に絡んでみる事にした。
「どもども!お仕事頑張ってますか?」
「――ッ!……次の者!」
(……無視ですか)
もしかしなくても先程の事を余程根に持っている様だった。多少威嚇したりはしたが、その後は彼等の方から襲ってきたのを反撃しただけなのに、溝は最早簡単には埋められないくらいに深く出来上がっていた。
「おーい!無視しないでよ。悪かったって!俺はただちょっとだけせっかちなだけの善良な冒険者なんだってば!」
「……我々は仕事中ですので」
そう言い目も合わせてくれない衛兵達。どうやらレスティアに続きこの国でも嫌われてしまった様だ。
(ねぇ……何度でも言うよ?何度だって言うけどさ――――俺勇者なんですけど?
もう扱いがホームレスへのそれか魔族へのソレなんですけど?レスティア王国ではひそひそ陰口言われるし、ナッシュ村では魔族疑惑かけられてたし……全然楽しくないんですけど?そろそろ寂しいんですけど?)
「――――とりあえず友達でも作ろうかな」
友人くんが帰ってきたら俺と友達になってくれないか聞いてみよう。
というかあの時飛び交っていた十賢とは一体なんなのだろう。こちらの想像している文字であっているとした場合、賢者の様な強い魔法使いという事なのだろうか。
もしそうだとしたら尚の事友人くんとは是非とも友達になっておきたい。後学の為にも色々な魔法を見せて頂きたいからだ。
その後しばらく絡み続けてみたが、衛兵達は一向に俺の相手をしてくれず本当にする事がなくなった為、先程座っていた石の上に再び戻り魔法で遊ぶ事にした。
最初は空に向かって無限に火の玉を飛ばして遊んだりしていたのだが、そんな単純作業にもすぐに飽きてしまった為次はファイヤーランスを並べて文字を書いて遊ぶ事にした
色々な文字を書き大分慣れてきた俺が、ファイヤーランスで文字を書き更にそこに半濁点の代わりにファイヤーボールを使うという高等技術を習得した辺りでちょうど友人くんが戻ってきた。
「オッパイ」
空に浮かんでいたそれを見て、彼は驚いているような呆れている様なよくわからない表情を浮かべていた
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